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おうち美術館を楽しむ。思い出とともに

私は展覧会に行った時、
特に印象に残った作品の絵はがきを買って帰ります。

絵はがきは、思い出の扉を開く鍵のようなもの。
気分や季節に合わせて飾って眺めることで、
その時の感動がよみがえります。

名画を手に入れることは夢のまた夢
絵はがきなら気軽に作品を楽しむことができます。

以前は、お菓子の空き缶にざっくり入れていましたが、数が増えて、もはや何があるのか分からない…

そこで、今はファイルに分類して管理しています。

無印良品「ポケットが選べるコレクションバインダー(A4ワイド)」を使用
お気に入りの埴輪ステッカーを貼っています
中は、「専用リフィルA4ワイド用 ポストカードサイズ」を使用
リフィルは増やせるから便利
リフィルの種類を変えたら規格外サイズの絵はがきにも対応

今回は私の「コレクション」からお気に入りをご紹介します

題して「おうち美術館」
開館です!


青の画家

私のコレクションの中で最も枚数が多いのが、敬愛する東山魁夷画伯の作品です。“青の画家”と言われるほど、深く美しい青色の作品に魅了されます。

2021年に長野県立美術館(東山魁夷館)がリニュアルしたときは、すぐに駆けつけ、時が経つのを忘れるほどに作品に見入りました。

(左上)吉野の春(右上)緑響く
(左下)初紅葉(右下)年暮る

東山作品の中でもとりわけ私が好きなのが、1968年に描かれた「年暮る」
初めて本物を目にしたのは、東京・広尾の山種美術館でした。

「京都は今描いといていただかないとなくなります、京都のあるうちに描いておいてください」と、作家・川端康成から言われたのをきっかけに、定宿だった京都ホテル(現:ホテルオークラ京都)から見た大みそかの風景を描いたもの。

静寂さと美しさ。
作品を前にした時、あまりの美しさに息をのみました。
瓦屋根が連なる情感あふれる京都の雪景色に見惚れてしまいます。

「緑響く」で描かれた御射鹿池(長野県茅野市)にも行った。
冬で緑じゃなかったけど(笑)

また、東山作品は、春夏秋冬の風景が揃っているので、毎月入れ替えて飾っています。

東山作品は、毎月入れ替えて飾っている。
今月(2月)は、「霧氷の譜」

シルクロードへの憧れ

同じく、日本画の平山郁夫画伯の作品。
シルクロードを描いた作品の数々は、その美しさだけでなく、キャラバンの息遣いが聞こえてくるような物語性に溢れています。

数千キロ離れた遠くの世界に思いを馳せることができます。

平山郁夫美術館(広島・尾道市)
平山郁夫シルクロード美術館(山梨・北杜市)
佐川美術館(滋賀・守山市)

全館回って、全部良い(笑)

中でも生誕の地に建てられた「平山郁夫美術館」は、画伯の原点となった瀬戸内海の青い海とともに作品を感じられる特別な体験でした。

やっぱり青色が好きです

ミナ ペルホネン

ファッションデザイナー・皆川 明さんが展開する「ミナ ペルホネン」のシリーズです。独特の優しく可愛い図案と美しい色彩のテキスタイルが魅力です。
京都河原町四条下るにある直営店も、まるで美術館のような素敵な空間です。

ミナ ペルホネンに囲まれたい…
そんな願望を小さく叶えてくれる絵はがきです。

2020年に兵庫県立美術館で開催された特別展「つづく」で
とても印象に残っている展覧会

富士山

日本のシンボルといえば、そう富士山。
私は相性が悪いのか、新幹線で通過する時はほぼ曇りか雨。
いつもガッカリしています。
くっきり綺麗な富士山を見たのは2、3回ほど。

絵はがきだったら常に美しい富士山を拝めます。

(上)「小泉富士」平山郁夫
(下)「夏之富士」横山大観

青が好き、だから私は海も好き。

海を題材にした作品の絵はがきもたくさん持っています。
その中から、選りすぐりがこちら。

(左上)「カリブ海、ジャマイカ」杉本博司(右上)「海暾(かいとん)」横山大観
(下)「海と空」千住博

私は、世界各地の海をモノクロで表現する杉本博司さんの「海景」シリーズが好きです。古代なのか今なのか、未来なのか。

この作品を眺めていると、時間の壁を飛び越えて、悠久の時間の広がりと不変の精神性、哲学的な問いを感じます。

青くない。
そう思われるかもしれませんが、白黒写真は実にカラフルです。

大学時代に学んだ文化財の現場では原則、白黒写真でした。
色が変わらず、再現性が高いのが理由です。
そのため、私は白黒写真に、多彩な色を感じるのかも知れません。


白黒写真といえば、20世紀のフランスを代表する写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンの作品も好みです。

特に気に入り、常に飾っているのが『サン=ラザール駅裏』。
水たまりの上を飛び跳ねるおじさんに待ち受ける運命とは…
切り取った瞬間のその後に物語が続く、ユーモアを感じます。

ずっと手元に飾っている作品。
写真だけど映画のように、次の情景が流れる

現代美術

現代美術は私にとって発想の源です。
特にインスタレーション作品は、一期一会になるので絵はがきに記憶を留めます。

(左)「川はどこにいった」磯辺行久
(中上)「LOST#6」クワクボリョウタ
(中下)「巡る記憶,2022」塩田千春
(右)「関係項-サイエンス」李禹煥

クワクボリョウタさんの作品とは、2012年に東京駅のステーションギャラリーで出会いました。
静寂で叙情的な世界観に心奪われ、新潟の「大地の芸術祭」や香川丸亀の猪熊弦一郎美術館など、全国の展示を追いかけていました。

李禹煥さんの作品も好きで、香川県直島の「李禹煥美術館」をはじめ、展示があると知れば巡っています。

兵庫県立美術館で2022年に開催された展覧会が感動的だった


(左)「風神図」村上隆(右)「長い長い長い夜」奈良美智

村上隆さんは昨年、京都市京セラ美術館で開催された展覧会から興味を持つようになりました。ポップだけど歴史的名作を解釈した世界観が面白かったです。

奈良美智さんの作品も、追いかけている作家さんのお一人。
いつか青森に作品を見に行きたい。

村上隆 「もののけ 京都」にて。
なかなか衝撃的な展覧会でした。

最近の“推し”

私が最近、気になっている作家さんをご紹介。

藤巻佐有梨さん

画家・イラストレーターの藤巻佐有梨さん。

京都の学芸出版社さんから送られてくるメルマガの挿絵で知りました。
青を基調にとても繊細で美しい絵を描かれます。

見ていると心がすっと落ち着いてくる。
静かな物語を感じる。
そっとささやくように、幸せを運んできてくれる作品です。

(左)ブロックメモ「休日、昼下がり」(右)空飛ぶ記憶
(フレームは無印良品のアクリルスタンド)

水森蒼(Aoine)さん

noteで出会った水森蒼(Aoine)さん。
にじみを生かし、詩のような絵を描かれます。

そよ風のような、さざなみのような
優しく、はかなく、そして美しい。
自然と小さな命の尊さも感じる作品です。

京都を中心に個展などを開かれていて、東京のイベントにも出展されるなど活動を広げておられます。

絵はがき、というより詩集

京都西陣のギャラリーで開かれた個展に伺い、作品に一目惚れ。

その後、「習作」などを中心に取り扱うnuunu KYOTOでも作品が取り扱われており、この度、わが家にお迎えしました。

私の日常に、ひそやかな潤いを与えてくれています。

《Winter in a bottle》

髙井みいる(巳白)さん

髙井さんともnoteで出会いました。
とっても繊細で美しい日本画を描かれます。

文化財修復にも携わってこられた知識と、すごい探究心にいつも感心というより尊敬しています。

京都三条で開催された個展にも伺いましたが、
心象風景が現出したような、幻想的な世界
静寂と躍動感が共存する神秘性
岩絵具の深みやきらめきで、目に見えぬものを描き出すような美しい作品の数々に惹き込まれました。

そんな髙井さんは、絵はがきも本気。

絵の美しさはもちろんですが、直筆としか思いえない質感と発色から作品に対する真摯な思いが伝わってきて、見るたびにとても幸せな気持ちになれます。

(左上)朝に染まる(右上)夜のまたたき
(左下)星祭り(右下)灯りをかこんで

私の写真では良さを伝えきれないので、ぜひ実物を


美術館は私の心のオアシスです。
その時々の作品との出会いは、明日を生きる力となります。

展覧会の感動をそのまま家に持ち帰れたなら…
そんなステキな夢をちょっと叶えてくれる絵はがきは、見て楽しむだけではなく、その時の感動を思い出す“記憶の鍵”です。

そして今を生きる作家の方々とのつながりを感じられるもの。

私のコレクションブックはますます分厚くなりそうです。

まだまだあります
お気に入りに終わりはない

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