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おひとり様の京都案内|名匠からの挑戦状

皆さん、こんにちは。
混雑を避けての癒しの京都旅。
今回ご紹介するのは、山科にある「毘沙門堂門跡」さんです。


J R、市営地下鉄、京阪(京津線)が乗り入れる山科駅。
京都の東の玄関口でもあります。

この駅からJ R線の線路をくぐって北に徒歩約15分。
住宅地の中を抜け、琵琶湖疏水を渡っていきます。

明治時代に開削された琵琶湖疏水も見所。お時間のある方は散策をオススメ

そして行き着く先の山際に静かに佇んでいるのが「毘沙門堂門跡」です。

毘沙門堂の創建は703(大宝3)年。文武天皇の勅願で御所の近くに開かれます。
その後、戦乱などを経て江戸時代(1665年)、現在の地に再建されます。
ご本尊の毘沙門天は、比叡山延暦寺のご本尊(薬師如来)を作った際に余った材で、伝教大師最澄が刻まれたものと伝わります。

暑さを忘れんと一気に登り切る

急な階段を一気に登り切れば朱色が鮮やかな仁王門があります。
吊るされた「大提灯」が印象的。

門の内側から

正面の唐門や本殿も鮮やかな朱塗りや装飾が。
それもそのはず、徳川家に寄進されたもので、日光東照宮の影響を強く受けているのだとか。

唐門と本堂

本殿で手を合わせてから、奥へと進んでいきます。
霊殿に至ると打って変わって、門跡寺院らしい風情に包まれます。

後西天皇から拝領した霊殿の天井には、狩野永叔主信による迫力ある龍の絵が描かれています。
ぐるっと回ってどこから見ても龍と目が合う「八方睨みの龍」。不思議ですよね。本当にずーと見つめてきます。

門跡寺院の雰囲気が漂う

続いて向かうのは、宸殿。
こちらには各部屋を入ったり出たりしながら襖絵を見てまわります。
撮影不可なので、写真ではお見せできませんが、こちらの襖絵、いわゆるトリックアートになっています。

見る場所によって、机の大きさが細くなったり太くなったり!
鳥の飛んでいる向きがこっち向いたりあっち向いたり!
が私歩く方についてきたり!
はたまた少年の顔が歳をとったり…

ウソやろーと見てみたら、ほんまや!

なんで?なんで!?なんでなん!?

もう大混乱です。
まさに名匠からの挑戦状。
「どや?わかるか?」
どっかでほくそ笑んでる顔が浮かんできそうです。

写真で見るより、これは現地で本物を見てください。
感動しますよ。

立派な桜の木

最後に向かったのが、通称「イケズの間」

「梅にウグイス、竹に雀」が定石のところ、
こちらの襖絵には
「梅に山鳥、竹にコマヒヨドリ」が描かれています。
つまり「鳥が合わない」で「取り合わない!」

こちらに部屋に案内されたお客さんは、ご門主さんに会えないんだそうです。
いかにも京都らしいお気遣い(イ・ケ・ズ)

私なら、ずーっと気づかずお茶を啜って待っていそう。
この人いつ帰るねんと睨まれながら…

自分がされたら震えますね。

宸殿の裏側は、江戸時代に作庭されたと伝わる「晩翠園」があります。
奥に観音堂があり、池の中には亀石や千鳥石などが配置され静謐な雰囲気で心安らぎます。秋にはモミジやドウダンツツジの紅葉が綺麗だそうですが、今はサルスベリが静かなお庭に色を添えていました。

晩翠園。風情あるサルスベリの枝ぶり

最後に本堂裏の高台弁財天さまを参拝。
豊臣秀吉の母・大政所ゆかりの弁財天だそうで、大阪城や京都の高台寺を経てここに辿り着いたそうです。深い緑に覆われた朱色のお堂が印象的でした。

高台弁財天。緑の中に朱色が際立つ

ここでも、私、ただひとり。
受付の方に「貸切みたいでゆっくり見れたやろ(笑)」と声をかけられました。

様々な建築様式と、謎に満ちた日本の“トリックアート”に魅せられた時間でした。

ぜひ、訪れてみてください。

(訪問)令和6年8月下旬・午前中

拝観時間
(3月 ~ 11月)9:00 ~ 17:00(16:30受付終了)
(12月 ~ 2月)9:00 ~ 16:30(16:00受付終了)
入山拝観料
一般700円・高校生400円・小学生300円



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