身体の叡智に委ねる
現在、5ヶ月の息子。
5ヶ月を迎える手前で寝返りをしました。さすが男の子。かなり筋力が強いです。(今は彼の蹴りの強さに手を焼いています...)
一方、今、4歳になる娘は、最後の最後まで寝返りをしませんでした。歩けるようになった後、しばらくしてから寝返りもできるようになりました。
これは、彼女が自分で寝返りをする前に、先に”大人の手で”お座りをさせてしまったのがいけなかったのだなと、後々反省したものです。(今は首のすわらない赤ちゃんさえもお座りできてしまうような便利グッズがいろいろあるので...)
写真は5ヶ月当時の娘さん
お座りの方が断然視界が広いし、みんなの顔が見えるし、うつ伏せで踏ん張るのは苦しいし...と、当時の娘の気持ちはよく理解できます。
しかし、成長にはしかるべき段階がある。その発達段階を一段飛ばしで次の工程に進んでしまうと、そこが未開発のまま残ってしまう可能性があります。
この教訓を活かして、息子は基本的に寝っころがした状態にさせていました。すると、白い天井ばかりを見ているのではつまらないらしく、身体をよじったり反らせたりしながら自分の後ろを見ようとしたり、欲しいものに手を伸ばしたり...をしているうちに体幹の筋肉が発達してきて、だんだんと彼の思いと身体の動きとが連動してくるようになってきました。
今、彼の主要な移動方法は"背中ズリバイ"です。
辿るべき発達プロセスを、彼本人は、というよりも彼の身体はよくわかっている。
自分がボディワーカーとして仕事をする際には、クライアントさんの身体の動きたい方向へと動きをサポートすることを通じて、自然な調整を図る、という手法をよく用いているのですが、相手が赤ちゃんだとこの動きがかなりわかりやすいのです。
息子が自分で寝返りをできるようになる前から、私はよくその触り方で彼と遊んでいたのですが、そうすると面白いようにコロコロと転がって喜んでいました。
今は、(正規のうつ伏せ)ズリバイへの移行期らしく、彼を床の上に一人放っておくと、うつ伏せになってウンウンと唸り始めます。そんな時、仰向けに戻して欲しいのかというとそうではなく、(無理に戻すと泣いて怒ったり不満そうな顔をしたりするので)どこが動きたがっているのだろうと身体を触ってみると、脚を膝から前に動かしたいのだということがよくわかります。そう、目指しているのは、爬虫類のような体幹をくねらせながら、両腕両脚を連動させて前に進む動きです。
その動きを胸のあたりで身体の重さを支えながらサポートしてやると、満面の笑みになります。
そんな時、身体は自分が思っているよりもずっと賢いのだ、身体とは叡智そのものだと実感します。
私たち大人の身体にも、発達させきれなかった未完了の動きや、本当はこう動きたかったのに、なんらかの制限によって顕現できなかった動きが眠っていることがよくあります。
それらを解放するために、時には四つん這いで歩いてみたり、くねくねと金魚運動をしてみたり、いろいろな動物になったふりをして子どもたちと遊んでみるのも良いかもしれません。
魚類から爬虫類、鳥類、哺乳類と、進化の過程をたどって私たちの人間の動きは成立しました。でもそれらが包括された動きを発動させる場が現代社会にはあまりないので、身体のポテンシャルをフルに発揮するために、意識的に下位レベルの動きを取り入れていく必要があるとも言えます。
無意識のうちに制限された動きを開放するには、寝る前などに、自分の身体がどう動きたがっているか、意識を向けて、身体の思いに身を任せて自由に動かしてみる、というのもオススメです。(本来であれば、寝ている間に適度に動きながら自己調整できるようになっていますが、その機能が大分衰えてしまっている人が多いので。)
私も、そして4歳の娘も、5ヶ月の息子に倣いながらゴロゴロと一緒に転がって、身体の再調整をする日々を楽しんでいる最中です。