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べつべつの光

このあいだの夜、次女が熱を出した。一晩で解熱したと安心していたら、数日後の夜にまた発熱した。鼻をぐずぐすさせるようにもなり、見守るわたしたちも心配な日々を過ごした。

小児科でのコロナやインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎などの検査はすべて陰性で、原因がわからない。結局、抗生物質を処方していただいたら、すっと熱が下がった。わたしも夫も、ほっと胸をなで下ろした。

熱が下がってからもしばらく、次女は学校を休んだ。双子の姉である長女は一足早く学校生活に復帰していたから、次女は家でわたしと二人きりで過ごすことになった。ときどき、夫がリモートワークの日があったけれど、彼は自室にこもっているため、実質は二人っきりである。

最初は「わー、ママをひとりじめやあ」と喜んでいた次女も、だんだん退屈しはじめた。わたしが仕事をしているあいだはとても、とてもおとなしく一人遊びをしていてくれる(助かる)。

しかし、お昼ごはんのタイミングになると、彼女はぼやく。

「ねえー、長女ちゃんと遊びたいなあ。長女ちゃん早く帰ってけえへんかなあ」

しょっちゅう喧嘩をしているくせに、この恋しがりよう。なんだかかわいいなあと、わたしはにやにやしながら次女の横顔を眺めた。

双子の彼女たちは、わたしのお腹の中にいた頃からずっとべったりいっしょだ。幼稚園では3年間同じクラスだったし、家では二人で頭を寄せあって遊んでいる。結果、喧嘩に発展してぎゃあぎゃあ騒いでいる。

それでも、相方がいなくなるとやっぱり寂しいのだ。

こんな二人も、中学生になる頃には、はっきりと別の道を歩むようになるだろう。最近、少しその気配が感じられるのだ。二人は、興味を持つ対象がぜんぜん違う。きっと違いはもっと顕著になっていく。小学校に上がってからはクラスも別になった。

二卵性とはいっても、だいたいなんでも同じタイミングで経験してきたのに、これからはお友達も別、新しいことを知る機会も別なのだ。

「これからちょっとずつ、なんでも別々になるからさ。でも、仲良しでいてね。できればね」

わたしがそう語りかけたとき、次女は子ども部屋に積み上げた本をかたっぱしから読んでいた。長女のお気に入り、『ルドルフともだちひとりだち』もある。

「ねえねえ、長女ちゃんもう帰ってくる?」

本から顔を上げた次女は嬉しそうだ。長女が帰ってくるまで、あと15分。「もうすぐやで。待ち遠しかったね」。

べったり楽しい時代を思う存分満喫したら、それぞれが自分の道を歩いていくのもまたよし。これからの娘たちをそうっと見守ろうと決めた。


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