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アイスクリーム屋さんの夢をもう少しだけ
6歳になったばかりの双子の娘たちが、将来の夢について語るようになった。
「長女ちゃんね、大きくなったらアイスクリーム屋さんになりたいの!」
アイスクリーム屋さんかぁ。このあいだまでは「研究者さんになりたい」と言っていたけれど、方向転換したらしい。職業図鑑のような本を一冊持っていて、娘たちは今、そのなかから心に響く仕事を探すのに夢中だ。
ちなみに次女の夢はパティシエール。ふたりとも、甘いもの好きなのね、うんうん。
先日、目をきらきら輝かせた長女に言われた。
「アイスクリーム屋さんを開いたら、ママと次女ちゃん、食べに来てね! あ、パパもね! おいしいのつくるから」
親バカながら、その発言がすごくかわいいなあと、にまにま微笑んでしまった。おいしいアイスクリームをみんなに食べさせてあげたいから、素敵なお店を開きたいんだそうだ。なんてピュアなんだろう。
私自身の成長過程を振り返ると、年齢を重ねるとともに将来の夢は現実味を帯びていったものだ。
幼い頃、私の夢はフルーティストだった。母に連れられて、フルーティスト・神崎愛さんのコンサートに行って以来、ずっとそう言っていた。その美しい姿と、優美なフルートの音色が頭から離れず、あんなふうになりたいと強く思った。
コンサートをきっかけに、フルートを習いはじめた。練習を続けるうち、プロになる夢を追うなんて私には無謀だと気づくときがやってきた。夢は夢でも、それは夜に見る夢に近いと思い知った日の悲しさ。
次に、私が将来の夢として据えたのが、図書館の司書さんだ。大きな勘違いをしていて、司書さんは図書館のなかで本をたくさん読んでいればいいのだと思っていた。
小学校高学年の頃、私は名探偵ポワロやシャーロック・ホームズ、長くつ下のピッピの世界でふわふわ泳ぐのが好きだった。だから、そういう時間がずっと続く司書というお仕事は、最高だと思った。「司書とはそういう仕事ではないのだよ、モナミ」。今の私からはそう言いたい。
以降、どんどん現実を知る段階に入り、最終的に「将来の夢」は「就けそうな職業」へと形を変える。○○系の会社員、みたいなものに落ち着いた気がする。
そんなこんなを思い出してみると、純粋に憧れや希望が夢に結びついていた頃はとても輝いていたなあと、懐かしくなる。
子どもにはいつまでもピュアでいてほしいなんて、きっと親のエゴだ。そのピュアさだけでは世を渡っていけないと知るときがきっと来てしまうから。
でも、もうしばらくは「わたしのアイスクリーム屋さんに来てね!」と誘ってもらえる時間を噛みしめたいと思っている。