春を待つブラウスと冬の心
私の部屋には、少しずつ春が届いている。正確にいえば、春物の洋服が、である。
今日の大阪はしびしびと雨が降っている。「ああ、もう寒いのにも飽きた」なんて呟いてしまいそうなほど気温も低い。それでも、春の陽気を見すえた新作はすでに手もとにいくつかある。
なかでも、12月に予約していた「yori」のブラウスがかわいい。一般的にティアードと呼ばれるデザインは、同ブランドの定番。身頃の生地をなん段かに切り替えて、テントのように裾広がりのシルエットをつくってある。今回はそのティアードブラウスの新作を購入した。
春先に活躍してくれるのはやはりホワイトだろうと思って、この色を選んだ。軽やかさと上品さを兼ね備えたトーンの白が、顔色も明るくしてくれる。
最下段のふくらみはしっかりと丸みをおびて張りだしているから、立体感たっぷりのシルエットが維持されている。
シーズンに一枚は買っているyoriのブラウスのうち、ダントツ気に入りのものになった。それまでは、ペプラムシルエットのセレモニーブラウスが長いこと一位につけていた。
ああ、もう少しモデルが良ければ着用画像なんて載せてみたい。それが叶わない自分の体形が恨めしいくらいに素敵な一着だ。
こうやって、次の季節へと楽しみをつないで毎日を過ごしている。今日悲しいことがあったとしても、ほんの少し前を向けば、ちょっとした楽しみが待っている。なんとかそこへたどり着けるまで、足を動かして歩いてみよう。その一歩がまた明日を連れてきてくれる。
私の生活は、そんな足運びの連続でできている。今日まで生き延びてこられたのは、小さな楽しみを少し先に置いておく習慣のおかげかもしれない。生きていると苦しいこともあるけれど、楽しみという光を追いかけることで救われてきた。
いろいろとわけあって、いまはまだ私の心は冷たい冬のまま。しばらくこの調子が続きそうだ。
でも、これらのブラウスが着られるようになる頃には、あたたかで優しい心持ちでいられるといいなあ、と思う。もちろん、現在つらい状況にある人々にも穏やかな春が訪れるように祈っている。私にできることを少しずつしていきたい。