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30年のサイド・バイ・サイド

わたしが愛するハリウッドスター、ブルース・ウィリスの主演映画に『ハドソン・ホーク』(1991年)という作品がある。

ブルース・ウィリスは、10年の刑期を終えて出所した泥棒、エディ役を演じる。シャバに出たら盗みの世界から足を洗うと決めていたのに、のっぴきならない理由からまた泥棒業に手を出さざるを得なくなる。それも、狙うはレオナルド・ダ・ヴィンチが遺したとされるお宝!

……というストーリーだ。「アクション×コメディ」の世界観に絶妙なくだらなさも加わっているところが魅力である。

ただ、世の中では駄作と酷評された作品でもある。「ブルース・ウィリスが金に飽かせて好き放題した映画」という評も見た。なんとゴールデンラズベリー賞まで受賞している。

けれど、わたしはとても好きだ。「ハドソン・ホーク」の異名をとるエディは、盗みを働くとき、必ず歌う。歌い終えるとともに「仕事」を完了させるのだ。小粋な設定じゃないか。

エディの相棒、トミーを演じるのはダニー・アイエロ。この怪盗コンビのかけあいも見どころである。太ったトミーに対してエディが皮肉かつ辛辣な声をかけるところなんてたまらない。

二人が作中、泥棒仕事をしながら歌う『Side by Side』がとんでもなくかっこいい。軽妙でおしゃれで、大人の仕事はこうでなくちゃと思わせる。しかも、サイド・バイ・サイド(「隣同士で」「並んで」「いっしょに」などの意味)。

怪盗コンビはお互いを信用しあっているけれど、寄りかかりあってはいない。あくまでも隣りあう二人、サイド・バイ・サイドな関係である。

このあいだ、長い付き合いの友人たちとホテルでティータイムを楽しんだ。毎年会うみんなは、相変わらずおもしろくてかっこよくて、きれいで、センスがよくて、そしていい感じにインディペンデントだった。

わたしたちは中学1年生で出会ったから、付き合いはおよそ30年になる。ずっとよい関係でい続けられるのは、それぞれが寄りかかりあっていないからだろうと思う。

個性は強いし、過度に共感しあうこともない。でも、わたしたちはつながっている。

「30年のサイド・バイ・サイド」がもっと長く続きますように、と祈っている。素敵すぎる女友達に感謝したい。

リッツ・カールトンのツリーは今年も華やかです。


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