映画「愛がなんだ」
髪を切った。
私がばっさり髪を切るときは
大体なにかグッとしたとき
1回目は高校生のとき
受験に立ち向かうのが怖くて
2回目は大学入学したてのとき
周りのキャピキャピ女子が
キラキラしすぎていて
そして、2ヶ月ほど前
映画「愛がなんだ」を観たとき
心がグッとしてどうしようもなくなって
長かった髪をばっさり切った。
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。
私にはマモちゃんがいた。
マモちゃんは優しい、良い人だ。
マモちゃんをイライラさせるのは
いつも私だった。
私はマモちゃんがいないと生きていけなくて
マモちゃんだけが私の存在を認めてくれる。
マモちゃんだけが私の生きる希望だった。
マモちゃんは
私のことを大切にはしなかった。
でもマモちゃんは優しい、良い人だ。
「私はマモちゃんになりたい」
好きとか、愛してるとか、
そういう次元じゃなかった。
マモちゃんと同じものを見て聞いて
同じことを感じたい。
生まれてきてから今日まで
そしてこれからも
マモちゃんと同じように生きたい。
そこに自分はいらなかった。
「幸せになりたいっすね」
2時間の立ち見、
エンドロールが終わると
どっと疲れが押し寄せた。
「幸せになりたい」と思った。
私は、髪を切った。