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腸脳軸で考える、コロナ禍以降に慢性疲労症候群(CFS)が急増
コロナ禍以降に慢性疲労症候群(CFS)が急増している背景を考慮すると、腸脳軸の視点からも重要な示唆が得られます。特に、腸内環境の変化が神経・免疫機能に影響を与え、慢性疲労症候群の発症や悪化に関与している可能性が指摘されている
1. コロナ禍以降の慢性疲労症候群(CFS)増加の背景
コロナ禍以降、長引く感染症(Long COVID) や社会的ストレスが、CFSの発症率を押し上げていると考えられます。CFSは、極度の疲労感、思考力低下、筋肉痛、睡眠障害 などを特徴とし、免疫異常や自律神経の乱れが関与するとされています。
主な要因として、以下の3つが考えられます:
ウイルス感染後の免疫異常(特にCOVID-19)
慢性的なストレスと交感神経の過剰活性化
腸内細菌叢の変化と炎症反応の持続
2. 腸脳軸とCFSの関連性
CFSの症状と腸脳軸の関係を探ると、特に免疫系、神経伝達物質、エネルギー代謝 の3つの要素が重要です。
(1) 免疫系と腸内環境の変化
CFS患者の多くは腸内細菌の多様性低下(ディスバイオシス)を示す。
腸内細菌の乱れは全身性の炎症を引き起こし、脳の神経炎症にも波及する。
特に、**LPS(リポポリサッカライド)**という腸内細菌由来の毒素が血液中に漏れ出す「腸漏れ(リーキーガット)」が起こると、脳のミクログリアが活性化し、慢性的な神経炎症を引き起こす可能性がある。
(2) セロトニン・ドーパミンの異常と疲労感
セロトニンの90%は腸で作られるが、腸内環境が悪化すると産生量が低下し、疲労感や抑うつ症状が強まる。
CFS患者はドーパミン機能も低下しており、これはやる気の低下や「脳の疲れ」に関連する。
(3) エネルギー代謝の異常
CFS患者は、ATP(エネルギー分子)の産生が低下していることが報告されている。
腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(SCFA)はエネルギー代謝を助けるが、ディスバイオシスが起こるとこの供給が減り、さらに疲労感が増す。
3. CFS改善のための腸内環境アプローチ
腸脳軸の視点から、CFSの管理や改善には腸内環境の正常化が重要です。
(1) 抗炎症的な腸内環境を作る
プレバイオティクス(食物繊維・オリゴ糖):腸内細菌のバランスを整える。
プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌):特にB. longumやL. plantarumは炎症を抑える効果がある。
発酵食品(納豆・キムチ・ヨーグルト):短鎖脂肪酸の産生を促す。
(2) 腸漏れを防ぐ栄養摂取
グルタミン:腸粘膜の修復を助ける。
オメガ3脂肪酸(魚油):抗炎症作用があり、神経炎症を抑える。
(3) 自律神経の調整
腸マッサージや深呼吸で副交感神経を優位にし、迷走神経の活性を促す。
マインドフルネスや瞑想でストレスを軽減し、腸の動きを正常化。
4. まとめ
コロナ禍以降に増加するCFSの背景には、感染症・ストレス・腸内環境の乱れが複雑に絡んでいる。腸脳軸の視点から考えると、腸内環境の改善が疲労感・認知機能低下・神経炎症を抑えるカギとなる。
食事・サプリ・ストレス管理による腸内環境の正常化が、CFSの改善に役立つ可能性が高い。
今後、腸内細菌をターゲットにしたCFSの治療法が発展していくと期待される。
腸脳軸の研究が進めば、「疲労は腸で治す」 という新たなアプローチが標準治療になっていくかもしれない。