価値のあることを、同期や会社が勧めるとは限らない。 大企業時代 1/3
スキ、フォローをして頂いたみなさん、ありがとうございます。全くの無風も覚悟してたので驚きました。。どこから書いてみようか迷ったのですが、パンチのアリそうな新卒入社〜No.1を取るまでのストーリーから筆をとってみます。
これは、本当に大事なことは、必ずしも同僚が実践していたり、会社から推奨されているとは限らない、という学びの断片です。
新卒で入った大企業では、新卒研修という3ヶ月の研修があり、総合職も技術職も同じく過ごすものがありました。
最初の1週間はパソコンのセットアップや会社概要やお偉いさんの話で終わるゆるいもんですが、その後は新卒全員で実際に新規営業をやるという実に体育会系なカルチャーでした。
しかもチーム対抗で行い、全員1件以上の契約が取れないと1ヶ月の研修が終わらないという無制限サドンデスのサバイバル研修でした。
またまた冗談だろう!新卒を脅したいだけだろうと思ってタカを括っていると、人事の人は「2年前は研修が相当長引いて配属が1ヶ月遅れました」的なことをさらに話していて背筋が冷えたのを覚えています。
万が一、成約が取れなかったら新卒全員に睨まれるし、「研修」をこなせない人間がマトモな社会人になれるわけがない、というプレッシャーに襲われ、本当にドキドキしました。
が、そんな一方で、入社した同期の新卒は、コミュ力の高く、ポジティブでイケイケな人が多く、そんなプレッシャーを微塵も感じず人生初めての営業も躊躇うことなく電話をかけ、自分が見たこともない商品を全力でアピールしてる人が多くいました。
今思えば、それが営業という才能なんだなとわかるのですが、僕はその商品を自ら試したこともなく、本当に価値があるのか、と自信を持てない状態では怖くて電話ができませんでした。
しかもその商品は自分で試すには長い時間試したり、自分で事業をやってみないと良さがわからないものでした。
「なぜ、一度も触ったこともなく、ユーザーの話を聞いたこともないのにそんなに自信を持って売れるのか?」当時は本当に謎でした。
いきなりの電話で相手の状況も知らず、自分の商品も知らず、仮に商品を買ってくれたとしてその人は幸せになれるのか??
分からなかった僕は、必死に考えて商品を知るすべはないかと探していたところ、たまたま同期が先輩社員からもらった商品の利用事例集に目を止めました。
それは、100,200を超える細かい事例が数十の冊子となっている既存のお客さん向けの「読み物」でした。
とにかく怖くて電話もしたくない強烈な抵抗感があったので、朝1時間・昼休みの1時間・営業終了後の退社までの1時間ほど、残り時間をかき集めてひたすら事例を読みまくってお客さんの価値を考えることに集中しました。
おそらく同期の中でも一番事例を知っていた自信があります。こういう場合はこんな使い方があって、会社の規模はこれくらい、といったようにその時あった冊子をめちゃくちゃ読みまくって勉強してました。
そうしてひたすら事例を読み込みつつ少しずつ電話していくことで、前は断られることが多い電話も、すっと話を聞いてくれることが増えるようになりました。
そうして余裕が少し出てきて、周りを観察しているうちに、今度は大体の優秀な人は電話件数・時間が圧倒的に多いことに気がつきました。
「成約するかは分からないが、電話をするだけなら誰でも出来る」と思い、朝にお客さんがしっかり納得する事例付きのトーク20秒を用意して、ひたすら電話しまくりました。
結果、研修の序盤でなんとか1件成約を取ることができ、無事に自分のノルマをクリアすることができました。(本当に死ぬかと思った。)
こうしてノルマを終え、安心して過ごしていると、終盤でも数字を取れない人が一定数出てきていました。その数が割と多かったことで頭を悩ませた人研修の責任者が特別ルールを設け、「数字が取れない人の分はチーム全体で補うこと」、という状況になりました。
実は研修の終盤には、数字が1件も取れない人がいる一方で、優秀な奴は3件、5件と販売数をかなり伸ばしていたのです。
序盤から調子良くたくさん電話をしていた人たちは、終盤には3件、5件と成約し、英雄のように全員の前で褒められる。。そうして自信をつけ、また数字を取ってくる。。。そこに目をつけて人事が全体でうまく帳尻を合わせる方針に舵を切ったのです。
当然、僕もチームのために頑張るぞ!と思い電話はするのですが、、、どうにも腑に落ちないことがありました。確かに周りの人も優秀だけど、自分だって事例をたくさん調べてベストな提案を考えている、なのになぜ彼らはたくさん販売できるのか?
実際、そういう数字の多い人はよくよく電話を聞いてみると「随分と無茶苦茶なこと」を言っている場合もかなり多かったのです。
それってどうなのかな?と思いながらも、新卒の周りは誰も全く否定しないし、人事部ももっとやれ!と後押しをしている、、、
「こんな無理やりできた数字に、ユーザーにとって、僕らの会社にとって価値はあるのか?」凄まじく疑問でした。
僕は商談のアポ数は終盤では100人中3位くらいで、もし同じやり方をすればあと3,4件成約も取れたかもしれません。が、最終日まで無茶な提案をすることはしませんでした。周りはみんな肯定しているけれど、胸の中では「買ってくれるユーザーが不幸になることは、最終的に自社にとっても不利益になるはずだ」とずっと思ってました。
結局最後は、そうした無茶な提案のできる腕力のある人が多めにとってきて、全員分が達成しました。
その際に、きっと人事部は評価も見極めて配属を考えていたと思いますが、僕の評価は「可」くらいだったはずです。そこで凄まじく数字をあげた人は花形の部署、珍しいマーケティングの部署などへ配属され、僕は地方の営業配属になりました。
営業は踏み込んだギリギリの駆け引きも必要です。何としてでも達成をしなければならない時もあるかもしれません。しかし、どれだけ周りが、上司や会社がそのやり方を認めていて、評価をしていたとしても、直感的にユーザーが喜ばないことはやめるべきです。その後、商品を契約した人の行く末を見ていましたが、やはりすぐに返品したりトラブルになるケースが頻発していて、クレーム処理に終われる人件費が無駄にかかることが大半でした。
とはいえ、そんな青臭いことをやろうとしていると、社会では本当に評価もされず、死にそうな思いをすることの方が圧倒的に多いです。
研修が終わり、夏に営業配属された後、そうした理想と現場の苛烈なプレッシャーで悩む日々がやってきました。価値のあることだけしようとすると全く数字が出せず、同期と差が開き焦る日々です。理想で飯は食えない、さてはて、人生は甘くないぞ。。(次回に続く)
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