自分で買い物できるって、やっぱり嬉しい!
迎えの時間ピッタリに、二女が通う生活介護施設の中へ入って行くと、なぜだか娘が表彰されていました。
♪チャーン チャーン チャチャーンチャーン チャララララチャーチャーチャーン
の曲に合わせて、施設長さんから何やら渡されています。
これは、空き缶潰しのリサイクル活動で得た収益を、利用者さん全員に分けていただいた分配金なんです。
頑張ったご褒美に、ひとり1000円。
娘は肢体不自由の特別支援学校を卒業してから施設に通い始めて、今年で9年目なんですが、この分配金をいただくのは5回目です。
初めていただいた時は、娘が労働でお金を稼げるなんて、嬉しくて嬉しくて涙が出ました。
こんな大事なお金、もったいなくて使えません。
しかしずっと額に入れて飾っておくわけにもいかず、娘本人がこのお金を使えたらいいなぁって、ずっと思っていました。
そんな時に出会ったこちらのもつにこみさんのnote。
とっても感動しました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はこのnoteをきっかけに、娘の施設にも移動販売車に来てもらえるよう、施設長にお願いをしてみました。
そして、快諾していただきました。
そのことについて、もつにこみさんが記事にしてくださり、私は宝物のように、このnoteを何度も読み返しています。
実際に娘が買い物できたことをいつか記事にして、もつにこみさんに感謝をお伝えしたい、とずっと思っていました。
あれから2年半、ようやくその日が来ました。それまでの経緯と、その日の様子を書いてみようと思います。
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施設長さんに話した後、施設の職員さんや保護者の方にも手伝ってもらって移動販売車を探しましたが、ど田舎に暮らしておりまして、そもそもそんなハイカラなものがない。
そんな時、ある保護者さんが、「知り合いの移動販売のパン屋に来てもらえるよう、お願いしてみようか?」と提案してくれました。
パン屋さんは了承してくださり、施設に移動販売のパン屋さんが来ることになりました。
わーい、施設の皆さんが買い物できるぞ!と、ワクワクしました。
ところが、コロナの波がやってきて、施設を一時的に閉鎖するくらいに感染者が出てしまい、パン販売は急遽中止になってしまいました。
その後も、落ち着いたらパン販売をやろうと言いつつ、コロナの波がまた来てしまって、結局、パン屋さんが来る話は頓挫してしまいました。
はてさて、どうしたものか。
もう無理なのかなぁって内心諦めかけていた時に、新しい案が出てきました。
ヤクルトの移動販売です。
施設長さんは諦めずに、ヤクルトさんに販売してもらうことを考えてくれました。
そうしてようやく、昨年からヤクルトさんが毎週来て、乳酸菌飲料やヨーグルトを販売してくれることになりました。
娘もぜひぜひ、職員さんと一緒に買い物を!と楽しみにしていましたが、なんと残念なことに、娘が通う曜日ではない曜日がヤクルト販売日でした。
残念!買えないよー!っていう状況が続いていたのですが、今年の10月から販売日が娘の通う曜日に変わり、やっと娘も買い物ができることになりました。
待ちに待った買い物当日。
販売時間は午前11時半からで、ちょうど私が娘を迎えに行く時間です。
玄関を入ってすぐの場所に即席で作られたお店の前には、買い物を待つ利用者さんがたくさんいました。
希望者だけが購入するのですが、いつもたくさんの方が買い物されているそうです。
娘はちょっと横入りして、1番に買い物させてもらいました。
娘は手に500円玉を握らせてもらって、職員さんと品物を選びます。
私は少し離れて、その様子を見ていました。
「二女さん、これがいい?」
「これも美味しそうだね、これにする?」
そう言って、娘の顔の前に品物を近づけながら語りかけてくれる職員さんに、娘はニッコニコな笑顔で自分の意志っぽいものを伝えていました。
次から次へとやってくる利用者さんも、自分で選んで買い物できることがとっても嬉しそうです。
そしてこれが、娘の買った品物です。
ようやく、娘が自分で買い物をすることができました。
娘にとっても、私にとっても、今年一番の買ってよかったものになりました。
娘のように車椅子が必要だったり、何かしらの重いハンディを持っている人は、大きくなると、親が買い物へ連れ出すのが難しくなり、自分で買い物する体験はなかなかできません。
連れ出したとしても、本人がお金のやりとりをする機会はなかなかありません。
だから、施設にお店が来てくれて、好きなものを自分で選んで買えることは、人として、とっても貴重で嬉しい経験になると思います。
買い物している娘を見ることができて、私もほんとうに幸せに思いました。
もちろん、娘の稼いだお金はやっぱり使えず。それはいつか、彼女のために使いたいと思っています。
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もつにこみさんのアドベントカレンダーに今年も参加させていただきました。
何日もうまく登録できずにソワソワモタモタしていたら、25日だけしか残っていなくて。
最終日を私が書かせていただくことになり、誠に恐縮しております。
もつにこみさんのアドベントカレンダーの中にこのお話を入れることができて、嬉しく思っています。
もつにこみさん、ありがとうございました。