6月生まれの夫、長女からのお祝いに歓喜する!
夫は今日(6月27日)で、58歳になる。
「赤いちゃんちゃんこ」まで、あと2年だ。
(一応お伝えしますが、私とは少し歳が離れています。)
夫の誕生日が来ると、5年前の朝を思い出して笑ってしまう。
当時、働き始めたばかりの長女は、遅れて来た反抗期の真っ只中だった。
幼い頃の長女は、夫にくっついて、2人で嬉しそうに出かける子だった。
中学生になると口数は減ったが「反抗期って、この子には無いのかな?」と思うくらいに、わりと穏やかだった。
しかし、高校生の後半あたりから、「別に」というwordが増えて、戸の開け閉めが激しくなった。
大学生になると、さらに態度も口調も荒くなっていった。
何を聞いてもめんどくさそうだし、受け応えがすべて単語。
顔を見るだけで「なんなん?なんで見てくるの?」と怒り出す。
息子と「お姉ちゃんのことは、お兄ちゃんって思うことにしようか」とコソコソ話をするほど、いつもトゲトゲしていた。
当時、長女は2時間もかけて自宅から大学に通っていた。
往復4時間だ。
しかも、バイトで帰宅は遅く、レポートや資格の勉強に追われる日々。
休みは満タンに遊びの約束を入れて、旅行三昧。
そりゃあ、疲れるはず。
それで当然のように、家族に当たり散らしていた。
完全なキャパオーバーだった。
就職してからも仕事で気をつかい、当時の彼とはうまくいかず、ストレスもあったのだろう。
目がいつもつり上がっている娘に対して、私は腫れ物にさわるように接していた。
娘は、私よりも夫に、さらにキツい態度だった。
しかし、夫は全く気にしない。
常にいつも通り。
娘が嫌がろうが、迷惑がろうが、自分の思うままに娘に話すし、娘を見るし、娘と接していた。
当然、娘は「うざい」とうっとうしがるが、夫は「かわいいもんだ!」と笑い飛ばすだけ。
夫はメンタルが強すぎるのか、抜群に鈍感なのか、ただ幸せな人なのか。
娘が夫に優しいのは、大好物を食べているときか、駅やバイト先まで夫に送迎してもらっているときだけだった、と思う。
*****
今から5年前の、夫の53歳の誕生日の朝。
娘は就職して、まだ3ヶ月。
ゆとりがなく、その日も朝からイライラしていた。
「もう、出かける?今日、お父さんの誕生日だから、出かける前におめでとうくらい、言ったら?」
誰よりも早く起きて、ひとりで朝食を済ませ、洗面所で髪を整えていた長女に、私は背後から話しかけた。
「分かっとる!」
と、ぶっきらぼうに娘は応えた。
朝の支度で忙しいのに余計なことを言ったかな、と思いながら、夫と息子の朝食の支度をするため、私はキッチンへ向かった。
いつもは洗面所から玄関へ直行する娘が、私たちがいるキッチンのほうへドカドカと歩いてくる。
扉を開けると、珈琲を飲みながら新聞を見ている夫に向かって、娘が声を掛けた。
「なぁ、お父さん、いくつになったん?」
「53やけど」
夫はびっくりした顔をしている。
「まだ53か!54かと思ったわ!」
それだけ言って、娘は扉をさっさと閉めて、仕事へ出かけた。
言葉足らずで、うまく優しい言葉が言えない長女の、精一杯の「おめでとう」だった。
それがおかしくて、かわいくて、私と夫は目を合わせてクスクスと笑った。
「あいつ、俺の誕生日を覚えていてくれたんやな。」
と嬉しそうな夫には、私が洗面所で長女に話したことは内緒にしておいた。
*****
長女の反抗期は、仕事を始めてから1年くらいで終わり、憑き物が落ちたかのように、娘はすっかり柔らかくなった。
新しい彼との出会いが、長女を穏やかにしてくれたのではないかな、と私は思っている。
その彼と、娘は最近、結婚をした。
今年は何事もなく(なんにもなく)父の日が過ぎた。
長女は、いない。
息子もバイトで、いない。
普通のSundayだった。
二女を風呂に入れている時、夫はボソっとつぶやいた。
「男親なんて、どうせ、こんなもんだ。」と。
ごめんね、今年も盛大な母の日で。
それから3日後、夫の誕生日の5日前の夜に、長女はビールとおつまみのドライフルーツ、そして誕生日のケーキを持って、突然うちに来た。
「はーい!遅くなったけど、これ、父の日のね!それと誕生日も、まとめてプレゼントねー。」
夫は目をパチクリさせて、笑顔の娘を見つめた。
「父の日、おぉ、忘れてなかったんかぁ。誕生日と一緒に、か…。そやな、ありがと。」
と言って、目尻の皺をクシャクシャにして、娘からのプレゼントを受け取った。
結婚するまでは、父の日と、誕生日のプレゼントは、それぞれ用意していた娘。
結婚したら、まとめるよね。
ドンピシャな日に渡すのも、無理だよね。
私の父も6月生まれ。
しかも18日だから、たまに父の日とバッチリ重なる。
結婚してからは、毎年私も、父の日と誕生日をまとめて、父へプレゼントしている。
しかも、こちらの都合で、実家に行ける日に…。
それはさておき、長女から忘れずにお祝いをもらい、みんなで少し早めの誕生日ケーキをいただき、夫は上機嫌だった。
ちなみに息子は、
「俺も、そのプレゼントに入れてよ。」と、慌てていくらかのお金を長女に渡しておりました。
さて今夜の夕飯は、夫の好きなものを作ろうかな。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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