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うっかりキョーフ体験

『今仕事終わったよ。すぐに帰るね』

ぼくはこのように、仕事が終わると速攻で
嫁ちゃんにLINEを送っている。

すると「了解」の意味合いを持つ
スタンプが嫁ちゃんからポン!と送られてくる。
これがウチの仕事終わりのいつもの光景なのだ。

いつからこうしているのかは忘れてしまった。

ただ、過去に数回だけ
仕事終わったよLINEを忘れたまま帰宅
したことがある。

そのときの嫁ちゃんのキレっぷりといったら
ちょっとハンパではなかった。
怖いけどそのあたりを記してみようと思う。

・・・

「んぅうぬぅあんでれんらくしないのよぉ!?」

えっ、ごめん、何て?

「帰るなら連絡ッ!!してよ!!もう!!!」

これは余談だけど
ウチの嫁ちゃんは少々背が低めだ。
そして太ってはいないが丸っこい。
平たく言うと小動物っぽいのだが
その小動物がプリプリ怒っている。

うーん、かわいい。なでなで

「頭撫でるなッ!そこになおれッ!」

キッチンで包丁を握っていた嫁(小動物)は
いつもより迫力がマシマシだった。
なんだか知らんけど怒っているっぽいぞ。

「あのねぇ夫くん」

はい。

「こっちにも都合ってもんがあるのよ。
そこんとこわかる?わかりますかー?」

うんうん。めっちゃわかるぜ。

「わかってねぇだろおおぉお!もおぉおお!」

包丁をまな板に置くと体当たりをしてくる嫁様。
ぐえっ、ちょっとぐえっ、待っぐええっ
キッチンの隅、冷蔵庫近くの壁に追い込まれる。
ご乱心のカピバラを想像すれば大体合っている。

「わたしがなんでこんなに怒ってるかわかる?」

わかるよー。LINEしてないからでしょ?

「ちっがーーーう!!」(体当たり)

ええ…LINEじゃないの?じゃあ、どうして?

「見てよこの鍋!このキッチンを!」

はい。見たけど…?

「わかるでしょ!?」

ええ…わかんないです。

どごーん(体当たり)

ぐえっ。

「わかるよね!?」

わ、わか、わかります。ぼくが悪かった。
ごめん、ごめんよ。

「わかればいいのよ…」

謝罪の気持ちが足りなかったのだろうか?
よくわからないが嫁ちゃんは落ち着いた。
うむむ、美味しい珈琲でも淹れるべきか?

「いいから着替えてきなさいな」

促されて即着替えを済ませるぼく。
キッチンに戻ると嫁ちゃんは落ち着いていた。

「わたしはねぇ、最高の状態にしたいのよ」

嫁ちゃんはぽつりぽつりと語りだした。

「夫くんが帰ってくるときにねぇ
万全の夕食を用意しておきたいのよ。
お腹を空かせて帰ってくるだろうからさ
こっちもそれなりに作っておきたいわけよ。
夫くん夕方になると腹ペコチャンピオンでしょ。
三品とか四品のおかずを用意したいわけなのよ。
そんでね、いっしょに食べたいのよ。わかる?」

おぉ…わかる。今度はわかる。

「だからね、LINEで事前に連絡がほしいの。
そうすれば合わせて作ることができるでしょう」

うむ。その通りだ。

「わたしが怒ったワケ、わかった?」

うん。ごめん、ぼくが悪かったよ。
そう言ってハグするぼく。ぎゅう。
happy end!

・・・

【今日の教訓】
帰りの連絡を怠ると嫁ちゃんがキレる

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