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そり立つ壁

嫁と一緒にドライブ。

走り慣れた街の道から少し外れて

少しさびれた小高い住宅地へ出た。

おや、目下に見えるのは、工場?

作業員が休憩をするような小屋に

なにかしらの大きな文字が書かれた

パネルが5~6枚張り付けてある。

パネルには文字が書いてあるようだ。

なんて書いてあるのだろう?

よし、行ったことがないけれど

あそこへ降りてみよう。いいよね?

ぼくは車を走らせる。知らない道へ。

嫁も興奮気味。久しぶりのミステリーツアー。

案外、迷わずに、着いた。謎の小屋へ。

どれどれ、パネルには…なーんだ。

どうでもいい、つまらないことしか書いてない。

「見てよ夫くん。大きい機械が動いてる」

すぐ隣には大型体育館ほどの、ゴミ処理場。

ぐおん、ぐおんと規則的に音を立てていた。

どうやら行き止まりみたいだ。戻ろっか。

下ってきた坂道を今度は車で登り始める。

…?あれ、あれ、坂が、なんか…キツイ。

気が付けば坂の斜面がありえない角度に。

たとえるならそうSASUKEのそり立つ壁

「お、夫くん、車が、ひっくり返りそう…」

少しでも重心が後ろにかかればたちまち

ぼくたちの車は坂の下まで転げ落ちる。

ぼくは慎重にアクセルを踏む。うぬぬ…

ハンドルに力が入る。

近くに古びた民家が数件見える。

なんだってこんな急斜面に家なんか…

・・・

という夢を見たんだよ。
と朝、嫁ちゃんに話をした。

「なんだ、夢の話だったの。変だと思った」

ぼくたち、夢の中でも一緒だったんだよ。
これってすごくないかい?相性バッチリよ。

「それはそうとよく夢の内容覚えているね」

そうだね、ぼくは印象深い夢については
けっこう覚えているんだよね。
しかもね、こうして君に話すことで、より
夢で見たことをハッキリ記憶できるのだ。

「はいはいすごいすごい」

めっちゃ棒読みだね。
そんなに喜んでくれてぼくは嬉しいよ。

「喜んでないんですがそれは」

あんまり嬉しいから昨日洗い終わった食器を
食器棚に全部片づけてあげようじゃないか。
ここは任せてくれたまえ。

「それは助かる」

珈琲も淹れちゃうぜ。

「わたしにもちょうだい」

もちろんだよ、はいどうぞ。

「よし、唐揚げ弁当を作ってあげよう」

まじっすか。嬉しい!

「いいってことよ」

・・・

ぼくたちの朝は大体こんな感じ。


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