ぼくたちの回転寿司
嫁ちゃんの体調がおかしい。
自慢ではないけどぼくは他人のことを
本当に、まるで、見ていない。
たぶん関心が無いんだと思う。
しかし嫁ちゃんに関しては別だ。関心がある。
鈍感を自称するぼくでも嫁ちゃんの
表情の変化には気付いてしまうのだ。
今日はサウナに行く予定だったけど
ベストコンディションじゃないのに
行ってる場合ではない。予定変更だ。
「じゃあわたし、買い物に行きたいな」
食材確保を嫁ちゃんより提案された。
ふたつ返事で了承して車を走らせる。
せっかくだから何か食べようと提案。
「うーん、じゃあ温かいモノのがいいな」
なるほど温かい食べ物か…ふむふむ。
温かい食べ物と言えばお寿司だなぁ!
ようし回転寿司に行こうではないか!
「いやなんでやねん!」
関西人でもないのに関西風ツッコミ。
流れるような夫婦漫才をありがとう。
さすが嫁ちゃん弱っていても面白い。
「お寿司はいつから温かいモノになったの?」
なーにを言っているんだマイハニー。
回転寿司には揚げ物や味噌汁がある。
つまり温かい食べ物ってことだよね。
「うん…?うん。うん??もう、それでいいよ」
ありがとう、理解が早くて助かるよ。
快諾した嫁ちゃんは流れるしぐさで
アプリを開く。空き状況を見る為に。
「よし夫くん、ス●ローに行こう。5組待ちだ」
ウチの嫁ちゃんはナビゲーターとしても一流。
運転手のぼくに超有益な情報を与えてくれる。
他にも突然歌いだしたり、突然踊りだしたり
かと思えば芸能人のモノマネをしてみたりと
とにかくぼくを飽きさせない。「はとバス」
のガイドさんだってこんなにしてくれないぞ。
(はとバスに乗ったことがないので想像だが)
ちなみにモノマネは腹が痛くなるほど面白い。
ぼく的に本家の芸人さんよりも面白いと思う。
モノマネを他の人にも見せてあげたいのだが
「絶対にやらない!!」とマジ顔で拒否する。
うーん惜しい。この才能が埋もれるのが辛い。
・・・
そんなこんなで今日は回転寿司の日。
ぼくは嫁ちゃんと外食に行くのが好きだが
とりわけ回転寿司で食べるのが好きなのだ。
だが勘違いしないでほしい。
ぼくは元来、他人との外食は得意ではない。
人には好き嫌いがある。アレルギーもある。
だから〇〇が食べれないというのは当然だ。
食べるペースだって人によってまちまちで
マナーというか品性というかも人それぞれ。
それは分かっているけどやっぱり気になる。
「ぼくと全く違いすぎる他人の食べ方」が
気になってしょうがないのだ。
みみっちい男で我ながらイヤになるけど
この性根は変わらないのだから仕方ない。
その点、ウチの嫁ちゃんは奇跡のように
ぼくと食べ方の価値観が一致している。
まずお手拭きで手をキレイに拭いてから
お茶で喉をうるおし、タッチパネルの
季節の新作メニューから順に見ていく。
「うわ!これいいね、食べる?」と
確認をして期待と興奮で胸が躍るのは
食べ方の価値観が相当合っていないと
できないことだ。これが本当に楽しい。
一皿ごとの感想もたまらない。嫁ちゃんの
美味しさを的確に伝えてくれる言葉選びが
ぼくは本当に好きなのだと毎回実感できる。
お互いお腹がふくれるタイミングも一緒で
〆に食べるのが茶碗蒸しな所も共通してる。
店を後にしてからも車内での感想会が続く。
外食は楽しい。嫁ちゃんとの外食は楽しい。
回転寿司は品数のバリエーションが豊富で
他の店よりも数多く意見交換ができる所が
ぼくはとっても好きなのだ。
おしまい。
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