身体を癒す嫁様
「来たみたい。風邪」
先日から体調が芳しくなかった嫁様が
ぽつりと宣言した。顔がうっすら赤い。
季節の変わり目というのは本当に怖い。
幸いにも今日はお互い休日。
よし、暖かい格好をして寝てなさい。
ぼくが葛根湯を買ってこようじゃないか。
パタリとノートPCを閉じるぼくに嫁様は
「いっしょに行くぶえっくしょん」
お出かけ宣言&くしゃみを披露した。
寝てた方がいいと思う。本当に。
見なさい、おでこも首も熱を帯びている。
幸い近所にドラッグストアがあるから
ぼくが車でブーンと行ってくるよ。
「ワタシ、行く。一緒に、クスリ見る」
カタコトの日本語を披露する病人が爆誕。
王様のティッシュで鼻をチーンする彼女こそ
一度言い出したら絶対意見は翻さない嫁様だ。
仕方ない、パッと行ってパッと帰ってこよう。
・・・
「うひひ…買いすぎてしまったね」
葛根湯に飽きたらず市販の風邪薬も買い
更には栄養剤や柑橘系お茶をドカドカ購入。
体調を崩した嫁様はリミッターが壊れ気味だ。
まあなんだかんだ言って全部消費するのだから
ある意味買い物上手と言えなくもない。
すぐさま家に帰ると薬をあおった嫁様は
ベッドに深く沈みこんだ。おやすみである。
さて、お昼ごはんだ。
冷蔵庫の食材とぼくの料理スキルを検討した結果
カレーライスを作れることが判明した。
布団の海に漂う嫁様におそるおそる訊く。
ねえ、君はカレーを食べたいかい?
料理のレパートリーが極端に少ないぼくは
病人相手にとんでもない提案をしたのだが
意外や意外、嫁様は笑顔で親指を立てた。
本当か、カレーでいいのか。すまない…!
グツグツとカレーを煮込んでいると嫁様が
弱ったタヌキの動きでキッチンにやってきた。
「わたしがサラダを作ってしんぜよう」
ばかな、無理をするな!寝てるんだ!
…と言いたいところだが嫁様のサラダは
いつだって絶品なのでお言葉に甘える。
またたく間にハムとキュウリとレタスの
ヘルシー激ウマサラダが爆誕した。流石すぎる。
「大丈夫だよ夫くん、大分良くなったから。
チーン。チーン。チーン(鼻をかむ音)」
滝のように流れ出る鼻を見せつけられても
説得力がないんですがそれは。
「あのね、本当に大丈夫だよチーン。
頭痛とかダルさが無くなったんだよ~」
どうやらクスリが効いたらしい。
こんなに短時間(2~3時間)で効くのか?
不安はあるが嫁様の顔色は良くなっている。
ぼくとしては寝ていてほしいが
一度決めたら梃子でも動かない嫁様だ。
いいだろう。たらふく食べて貰って
血糖値爆上げしてまた寝て貰おうじゃないか。
というわけでお昼は大盛りカレー&サラダ。
どう考えても病人に出すメニューではないが
嫁様はおしゃべりしながらモリモリと完食。
うーんさすがだ。漲る生命力が好きすぎる。
「ぐふぅ…片付け…頼むね…」
お腹いっぱい夢いっぱいになった嫁様は
寝床へ帰っていった。やったぜ。
その後片づけをダラダラとこなしたぼくは
嫁様と一緒の寝床でパンパンに膨らんだ腹を
さすりながら疲労を回復したのでした。
ちなみにぼくは超が付くほど健康体なので
風邪なんか滅多にかからない。
だから嫁様の風邪が感染ったことは一度もない。
怖いのはコレステロールと健康診断くらいだ。
これを読んでくれたみんなも
季節の変わり目と体調変化にご注意!
もしダウンしたらぼくの特製カレーライスを
毛穴から流し込んであげようひっひっひ。
嘘ですごめんなさいうっふっふ。
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