苦言
世の夫婦がどうなっているのか分からないけど
これやってる夫婦は仲イイよね!というものが
いくつかあると思います。
よく耳にするものでは「会話」。
あと「尊重」とか「スキンシップ」とか。
どれもカラーマーカーでチェック推奨項目。
今回はそういった基本的な事じゃなくて
(えっ、マジでそれ仲良し夫婦に必要!?)
と賛否が分かれそうなものをひとつ
書いててみようと思いました。
ちなみにウチで結構重要視しているものです。
・・・
それは何かってと「苦言」です。
要はパートナーへのダメ出し。
もっと言うとパートナーへの否定。
「苦言」は長年夫婦をやっていくうえで
大事なことだとウチでは思っているのです。
いやね、パートナーのことを
一から十まで全部肯定するのもね
いいと思うんですよ。でも
ちょっとそれは無いんじゃないの!?
と相手にモヤモヤすることってありませんか?
ウチではめっちゃあります。
で、相手に抱いたモヤモヤをね
毎回スルーするのが大人の関係なのか?
それって良い夫婦と言えるのだろうか?
って話なんですよ。
私はそう思わないんです。
相手にモヤモヤしたら我慢我慢…よりも
イヤだと思った事をイヤだと伝えるほうが
長い目で見て仲良しが長く続くのかなぁと。
そんなふうに思っているんです。
・・・
たとえば、整理整頓。
私って結構キレイ好きなんですよ。
私が独身時代の頃は自分の部屋を
モデルルームみたいにするのが大好きで
余計なモノを絶対に置かなかったんです。
コーヒーグッズをディスプレイしたりね…
とてもとても気に入っていた空間でした。
でも結婚して嫁様と共同部屋になってから
私の整った部屋は見る影もなくなりました。
個別に部屋を持とうとしない嫁様は私との
共同スペースで過ごすことが何よりも大事。
みるみる嫁様の私物が積みあがって行く…。
そんなある日のこと、ブッチーン。
私はブチ切れました。
「俺のキレイな部屋を返せぇえええ!!
貴様の私物は貴様の部屋に置けええ!!」
やがて罵り合いに発展して
醜い争いは長い間続きました。
一向に解決の糸口が見えない私は
(うーむ、これは離婚したほうがいいかも)
なんて考えるほど頭を悩ませていたのです。
ダメですよ。
これをスルーなんてできない。
自分が心から大切にしているモノを
理不尽に侵略されて湧き上がる負の感情。
これをスルーして自分を押し殺すのが
大人の関係だっていうんなら願い下げです。
大人げなくてもいい。
嫌われても仕方ない。
私は言う。苦言を呈する。
魂でぶつかって砕けることも辞さない。
そんなわけで結婚当初はかなり
嫁様とバトった私であります。
もちろん腕力に物を言わせたDVはしません。
でも言葉の暴力はけっこうやったかも…。
うーん未熟。新米デコボコ夫婦って感じ。
・・・
皆さんも知っていると思いますけど
相手に苦言を呈すると、険悪になります。
どれだけ公明正大かつ正当な理由があっても
バッチバチに火花が散ります。それが苦言。
なにより
苦言を呈したところで相手が
「はいそうですね」なんて心を入れ替える事は
99%ありえません。心を入れ替えるどころか
余計に反発して意固地になるのがデフォです。
下手したら苦言をきっかけに夫婦に溝ができて
心が通わなくなり離婚に発展するかもしれない。
苦言ってリスキーなんです。
メリットよりもデメリットが大きく感じます。
それでも、なお。
私は「苦言」が大事だと思うのです。
なぜなら、好きな人に苦言を呈するってことは
裸の心でどすこーい!ってぶつかることです。
「俺はこう思っているんじゃー!」って
浅知恵も駆け引きも捨てて特攻することです。
あるいは単なる愚策なのかもしれません。
でもそんなぶちかましを喰らった暁には
二人ともども大ダメージは必至。
ズタボロになって骨折するかもしれませんが
「ぶつかる」って行為が良いと思うのです。
ぶつかる回数が増えれば増えるほどに
お互い「しっくり」来るようになるというか。
「良いぶつかり方」をすればするほど
腹の底を見せ合う仲になるというか。
なにかしら特別な「関係性」が二人に
芽生えてくると思うのです。
ウチの場合、苦言を続けているうちに
(もっと柔らかい伝え方はないか?)と
あれこれ調べるようになったんですね。
そこでアサーションをはじめとした
対人コミュニケーション術に巡り合い
ウチの夫婦改善に超絶活かされたんです。
で、色々な道をぐるぐる回った結果
めっちゃ仲良し夫婦になれたんです。
今でも小さなケンカはしてますけど
それも必要な事かなって。
・・・
もちろん、重箱の隅をつつくように
「あれがダメ!」「これもダメ!」と
朝から晩までネチネチ言うのはNGです。
(それはもう苦言じゃなく鬼姑なんよ)
苦言って言う側はもちろん、言われる側も
途轍もなくエネルギーを消耗してしまうので
連続使用は控えるのが良いと思います。
肯定9、苦言1くらいのバランスで
じっくり時間をかけて。
相手の状況を見極めつつ、慎重に。
嫌なヤツになりすぎないように。
そういった「バランス感覚」が
ウチでは養われていきました。
あ、誤解のないように言っておきますけど
事なかれ主義で波風立てずに暮らす人々を
否定するつもりはないのです。
苦言を呈してぶつかり合う夫婦こそ至高!
なんて言うつもりもありません。
「ウチではこうして上手く行った」
という一つの事例のお話でした。