食パンバトル
ああ！
無性に！
食パンが食べたい！
この思い、どうすればいいんだ！
「話は聞かせてもらった」
嫁ちゃん、いつからそこに！？
「実はわたしも、食パンが欲しいのよ」
夫婦の目的がひとつになるとき
この世は楽しいステージへと変わる。
いざ行かん。食パンを求め。
いざ行かん。夕方のスーパーへ。
食パン大好き夫婦の明日はどっちだ。
・・・
「じゃあどーんと12枚くらい買おうか」
待て待て、そんなに買ってどうするのだ？
さすがに賞味期限内に食べきれないと思うよ。
「夫くんは、食パンをどうやって食べたいの？」
よくぞ聞いてくれた。
ぼくはね、コメダ珈琲店のピーナツクリームを
塗りたくって食べたいんだよね！
「こないだ買い物に行った時買ってたやつね」
そうそう！めちゃ美味しそうじゃない、これ！
「わたしはピーナツ苦手だから…」
そうだったね。
じゃあ嫁ちゃんは
食パンをどうやって食べたいの？
「ピザパンを作ろうと思うんだ」
ピザ…パン…？
「そうそう。美味しそうでしょう？」
今まで作ったことあったっけ？ピザパン。
「いや、ないよ。初めてだよ」
どうして作ろうと思ったワケ？
「なんか推しのYouTuberが作っててね
美味しそう！わたしも作る！ってなったのよ」
ならんならん。そうはならんだろ。
「わたしはなったのよ。だから作るのよ」
分かった。止めやしないよ。
止めたって聞かないだろうきみは。
かくして食パンは買い物カゴへ入れられた。
ピーナツクリームを塗った食パンと
ピザパンに加工した食パン、果たして
どちらが美味しく仕上がるのだろうか？
・・・
もしゃ、もしゃ
うーん、ウマい。
コメダ珈琲店のピーナツクリームは絶品だった。
お世辞抜きに過去一美味しいピーナツクリーム。
ピーナツクリーム自体はなめらかなのに
ピーナツの食感をじゃりじゃり感じる。
こういうのを待っていた！を具現化した商品。
世のわんぱく男子の90％は好きそうな味だ。
こんな美味しい商品が世に出ていたとは…。
これだから買い物はやめられない。
「美味しかった？よかったじゃん」
ぼくがピーナツクリームに舌鼓を打っている中
嫁ちゃんはというと
テキパキとピザパン作りに励んでいた。
その数なんと10枚分。
ちょっと作りすぎではないだろうか。
「大丈夫。冷凍しておくんだから」
冷凍！その手があったか！
ということは、このピザパンって…
「そう。ウチの非常食よ」
なんということだろう。
ぼくが欲望のまま貪るのを横目に
非常食をせっせとこしらえていたなんて。
人としてのステージの違いを見せつけられた。
「食べたいときにオーブンですぐ焼けるから」
いよいよ佳境に入ったと思われる
10枚の食パンの上には大量の具材が
これでもかと敷き詰められていた。
うう…美味しそうだぞ。
「玉ねぎ、ツナマヨ、トマト系パスタソースを
めっちゃ塗った上に、爆量チーズ乗せてみたよ」
へえ、ツナマヨなんだ。
あんまりピザっぽくないというか。
でもきみのことだからきっと美味しいんだろう。
「だいじょーぶ。わたしにまかせなさい」
かくしてピザパン作りは終了した。
ラップをして全て冷凍庫へinである。
明日以降のお楽しみってわけか！にくいね！
・・・
こうして我が家の食パンバトルは終了した。
否、次回へ持ち越した。
ぼくが推すピーナツバタークリームと
嫁ちゃんが推すピザパン。
どっちが勝つのか楽しみすぎる！
ああ早く食べたいな！