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母は憧れている(1月6日)

夜12時前に眠りにつき、朝は7時か8時くらいに起きる。こんな規則正しい生活を送っているのはいつぶりだろうか。朝起きるとご飯が出てくる。本当ならいつも朝は食べない。でももう作ってくれているし、食べないというと余計な心配をかけてしまいそうなので、黙って食べる。食べたら食べたでちゃんとおいしい。お腹を満たすだけのカップラーメンとは違って、栄養がある食事なのは見ただけでもう分かった。

朝食を食べた後、特に予定はない。弟と帰省期間が被っているはずに弟は朝から晩まで友だちと出掛けていて、トータルで1時間くらいしか一緒にいる事はなかった。ゆっくりしに帰ってきているのに、予定があると気持ちが休まらない僕は、予定を立てる時はなるべく直前に立てることにしている。本当に同じ腹から生まれたのだろうか。兄弟でこうも性格が違うものかと毎度のことながら驚きを隠せない。

母はその日休みでずっと家でテレビを見ていた。僕は別の部屋で携帯を見ていた。あまりにもその時間がゆったりしすぎていて妙な危機感にかられた僕は、朝食を食べたばかりでお腹は空いていなかったが母とラーメンを食べに出かけることにした。

人気なラーメン屋さんはこの東北の真冬の時期にに外に並ぶタイプだった。その日の気温は7℃で東京の少し寒い日とさほど変わらなかったが、山が近いせいか明らかに空気が澄んでいるのが分かった。真冬の雪道でもスリップなど恐れず自転車を漕いでいた高校生の頃と同じあの空気の冷たさ。いつもはほとんど家の中にいるので気づくことはなかった。並ぶ場所には喫煙スペースがあり男が数人談笑しながらタバコを吸っている。東京では絶滅しかけている光景だ。後ろの山の背景が霞むほどモクモクと煙を立てている。このクソ寒い中で吸うタバコはきっとうまいんだろうなと思いながら見ていた。

ラーメンを食べた後、母に「スタバでコーヒーでも飲む?」と誘われた。僕が地元を離れた時には存在しなかったスタバが、ここ数年で2店舗も爆誕していた。最初こそ母の口からスタバなんてハイカラな言葉を聞く日が来ようとは、と思っていたが、ここ最近は帰ってくるたびに「スタバでコーヒーでも飲む?」を聞いてる気がする。スタバの悪魔が田舎を侵食し始めているのを感じた。

次の日また車で母に送迎してもらう機会があった。するとまた母が「スタバでコーヒーでも飲む?」と言ってきた。買ってもらえるならと思い、行くと返事をしたが、なぜか注文は1つ。「あれ?飲まないの?」と聞くと「まだ昨日のが残っている」と言ってドア下のドリンクホルダーから昨日の冷めきったコーヒーが登場した。わざわざ俺のためにありがとう母。でもきっと母はスタバに憧れている。

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