異世界転生漫画はなぜ面白いのか
久しぶりにブログを書きます。K研究員です。
最近ずっとアプリで漫画を読んでいます。メインはLINEマンガとマンガUPですが、どちらのアプリも人気なのは異世界転生漫画です。
今回は異世界転生漫画がなぜ面白いのか考察していきます。
ひとつ目の特徴 日本すげーを超えて地球すげー
一時期外国人が日本を褒めるテレビ番組が流行りました。私はそれも好きですが、異世界転生漫画はその流れを汲んでいます。
主人公は転生者としてチート能力と言われるスーパーパワーを身に着けて転生することが多いですが、それだけではなく転生先は地球の中世に似た文明レベルなので地球に暮らしていたときの知識や技術もチート級の武器になります。
例えば「異世界転生したら賢者で無双!! 転生賢者の異世界ライフ」では主人公ユージはチート級の魔法が使えますが、それだけではなく社畜だったので徹夜で警戒警備してても平気だったり、学院の入試を日本の中学レベルの知識で満点を取ってしまったりします。地球と異世界を比べたときの地球の文明レベルの高さが描かれ、日本すげーと同じ地球すげー的な嬉しさが得られます。
あるいはこちらの韓国の漫画「史上最高の領地設計士」では主人公はやはりチートスキルを持っていますがそれだけではなく土木学を大学で学んだ経験があります。その経験を活かして床暖房やコンクリート建築など異世界にない建築物を作り出して問題を解決し、領地を繁栄させていきます。地球文明はすごい。
もう少し直接的に日本すげーをアピールする作品もあります。
異世界居酒屋のぶは日本の居酒屋が異世界に繋がってしまったというストーリーです。日本で仕入れた食材で作った料理を提供して食べたお客さんは「こんなの初めて食べた!」「こんな新鮮な魚が手に入るとは」と驚くのが楽しい漫画です。冷蔵技術も調理技術も地球のほうが圧倒的に高いので、ビールや唐揚げといった馴染の料理もごちそうになります。「豆腐を作るのにそこまでするのか」「木の根(ごぼう)を食べるのにここまでの労力を」みたいなエピソードも楽しいです。
韓国漫画の異世界料理漫画だと「味見のついでにごっくん!」という漫画があります。
こちらも異世界転生した主人公は料理が好きで料理の力で処刑される運命を変えていくという少女漫画テイストの作品なのですが、やはり地球の料理であるフライドチキンなどを作って人々を驚かせます。そして、「コチュジャンがあればもっと美味しいヤムニョムチキンが作れます」みたいな話になります。当たり前ですが韓国の漫画では韓国の料理が取り上げられるのが面白いです。
2つ目の特徴 主人公への期待値があまり上がらない
転生主人公はチート能力と文明の知識を有していますがそれだけではありません。地球の先進国の人権意識も有しています。
異世界転生漫画のよくある展開として、奴隷を買ったり、助けたりします。
もちろん主人公は奴隷制度のない日本や韓国から来ていますので彼、彼女を一人の人間として扱います。そうすると、奴隷の俺(私)にこんなふうに接してくれた人は初めてだ!となります。ここも地球すげーポイントなのですが、その後も特徴的です。
人間というのはどうしても期待値が上がるものなので奴隷でなく一人の人間としてみてくれるなら、それなりの報酬が出たり、平等なパートナーとして仕事や家事は分担するみたいなのを期待しがちですが、異世界では奴隷は感謝しつつもずっと奴隷でいてくれます。
主人公側もこの作業やってくれたからこれも頼めるでしょみたいな期待値上昇はしません。ずっと尊い主従愛が続きます。
ちなみに奴隷と言っても、賢くて性格もよく、学があったり向上心に満ちています。
「今日も絵に描いた餅が美味い」では男性の殺人を犯した犯罪者奴隷を買いますが、主人公は彼を犯罪者扱いしないため、奴隷の男性はそれに驚く姿が描かれます。
「異世界でスキルを解体したらチートな嫁が増殖しました」では少女の奴隷を購入します。彼女は魔族ですが主人公は別け隔てなく接し、しかしその一方で少女の要求水準が上がることはなく、主人公ラブな状態が継続します。
そもそもこれらの主人公はチートな能力があるので単純作業者をそんなに必要としておらず、なんでも自己完結できるので奴隷としての活動はそんなに必要ないのです。
ところで我々も現実世界では転職すると期待値がゼロリセットされるので、「彼は即戦力だ」などと褒められるわけですが、一年も経つとそれができて当たり前になりどんどん仕事が舞い込んできます。仕事が増えて期待値も上がれば、期待値を下回る仕事をしてしまう場合も出てくるもので、「彼は仕事を抱え過ぎだ」とか「できないことまで手を回さないほうがいい」とか言われてしまったりもするわけです。
男女間でも、奮発してサプライズプレゼントをしたりして、期待値が上がってしまうと来年はもっとすごいのではと思われ期待値がすれ違ってしまうことはよくあります。
そんな難しい人間関係に疲れた我々には、期待値上昇が起こらない優しいファンタジーが必要なのかもしれません。
まとめ
異世界転生ものには読者が楽しくなれるポイントが散りばめられています。それらのポイントが特段新しいわけではないのですが、地球では普通の知識や人権意識から接続されるので、特別な勇気をもった主人公ではなく一般人としての自分から自然に入っていけるため、感情移入しやすいのです。そういうところが我々疲れた現代人のこころを掴んでいるのではないでしょうか。
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