私たちの生活を支える森林を育てている人たちがいる
日本の7割は森林です。
森林は、
台風や大雨の時には、土砂崩れを防ぐ・森林が水を溜める・洪水を緩和する
森林の土壌が、水を綺麗にしている
大気痛に二酸化炭素を吸収し、地球温暖化防止に貢献している
など、私たちの生活を支えてくれています。
こういった森林の多面的機能を発揮するためには、「木を植える→育てる→使う→植える」のサイクルを作り、健全な森林を育てていくことが重要です。そのためには、人の手によって行われる「森林整備」が必要なのです。
では、私たちの生活を支えてくれている森林はどのような場所なのでしょうか。森林整備とは、どんなことをするのでしょうか。
「東京の木・多摩産材エコツアー」は誰でも参加できる
現場に足を運び、話を聞くために、2022年12月12日に東京の森で開催されたエコツアーに参加しました。私たちが参加した「東京の木・多摩産材エコツアー」は誰でも参加することが可能です。林業に詳しくない一般の人々でも、日本の森林を身近に感じ、体験することができます。
東京都あきる野市舘谷台(たてやだい)にある JR東日本 武蔵五日市(むさしいつかいち)駅。
駅の高架下にある秋川渓谷の魅力に出会える飲食店「do-mo factory blan.co(ブランコ)」に集合しました。外壁はヒノキ、内装はスギが使われており、イスは角材でした。調べてみると、多摩産材だそうです。多摩産材とは、東京都の多摩地域で生産・認証された木材のことです。
東京の木・多摩産材エコツアーのスケジュールは、下記のような流れでした。
はじめに、東京の木「多摩産材」についてのオリエンテーションです。
秋川木材協同組合エコツアーガイドの髙濱 謙一さんより
日本の森林の話(日本の森林率は、世界第三位で67%である)
東京の森林の話(東京の森林率は約4割ほどで、その7割は多摩地域に偏在している)
多摩地域の針葉樹と広葉樹の話(70年前にはげ山になり、針葉樹を植え始めた)
多摩産材の話(木材自給率が約4割ほどで、良くなっている。今が針葉樹の使い時である)
林業の流れ、間伐方法の話(暑い時期に下刈りという草を伐る作業がある)
といった内容のお話がありました。
山と海はつながっている
オリエンテーションが終わり、みんなでバスに乗り山のふもとまで移動します。バスを下車すると、歩いて多摩産材の森・檜原村(ひのはらむら)グリーンサンタの森に向かいます。途中には多摩川につながる南秋川があり、川と森林、林業の繋がりのお話を聞きました。
山の湧水が川に流れ出し、海につながっています。その際に、山の土に含まれている鉄分が川に流れ、海にいきます。そして、その鉄分は海の生態系が育っていくのにとても大切です。豊かな森が豊かな海を作るのです。
昔、多摩川では木を運ぶ重機がなかったため、水を溜め鉄砲水のようにし、川の流れも利用して木を流し運んでいました。
川の傍には、現在使われていない宿泊施設があります。昔は、その宿泊施設を林業家の方たちが使っていたそうです。
山に入る前の道では、スギやヒノキを見つけました。そして、スギとヒノキの見分け方を教えていただきました。
スギの葉は、長さ1センチほどの小さな葉が、螺旋状に集まり尖っています。漢字の「大」という文字がつながっているように見えます。
ヒノキの葉は、羽状で平たく、広がっているように見えます。
人の手によって管理されている山を登る
見渡す限り木がたくさん生えている森をどのように管理しているのでしょうか。
森には「森林簿(しんりんぼ)」というものがあり、森林の所在地や所有者、何年に何を植えたといった管理をしています。その森林簿を使い、エリアで木の年数を分けながら森を回しているそうです。
私たちが訪れた山は、80年サイクルで回しているそうです。
エコツアーで登る森は、比較的登りやすく、見学しやすいようになっており、近隣の小学生の子どもたちも授業の一環として訪れるそうです。昔の子は山遊び経験も豊富でしたが、今ではそのような機会もぐっと減り、山登りに苦戦する子が増えたそうです。
山道に入る前には、「不安な方は山道の下で待っていた方がいいですよ」と説明があり、危ないので一人一つヘルメットが準備してありました。
話を聞くだけでも大変な急斜面で、林業家の方たちは作業している
山道は狭く急斜面なだけでなく、足元には風で折れた枝や落ち葉がたくさん落ちていました。また、雨の降った翌日だったため、とても滑りやすく不安定な足場でした。
登り進めると、足元が不安定なことからみんな少しずつバラバラになり、何度もツアーガイドの高濱さんに待っていただき、足並みをそろえました。私も含め、普段の生活で山に登り慣れていないエコツアー参加者も、狭い道に急斜面と歩くのが一苦労です。
カメラで写真を撮るだけでも、細い道から落ちてしまわないか心配でドキドキし、「こんな大変な場所で作業をしているとは」と、林業家の方たちの大変さを身をもって実感しました。他の方たちも落ちないように慎重に足を進め「これは大変だ…」という声が漏れていました。
森林整備という、森の手入れをしている
林業の方たちは、このような足元が不安定で、危険が隣り合わせの山で森林整備を行っています。森の手入れと考えると想像しやすいかもしれません。
森林整備の作業は、植栽(しょくさい)、下刈り(したがり)、除伐(じょばつ)、間伐(かんばつ)、主伐(しゅばつ)の主に5つあります。
この中にある「間伐」という言葉を聞いたことはありますか?「間伐材」という言葉もあります。
森林整備の中でも間伐はとても大切な作業です。間伐の具体的な方法を教えてもらいました。
木を切り倒す方向は、運ぶ際の効率だけでなく、安全面も考慮し、臨機応変に対応する。
間伐はいっきにたくさん伐るのではなく、少しずつ伐っていく。そうすると、年輪が綺麗になる。
急斜面で重機が入らない山で、人が一本ずつ木を伐っている
冬の山は14時くらいには日が入らなくなり、真っ暗になるのでそれ以上の時間は作業ができなくなります。また、夏の間伐作業はとても暑く、直接塩を舐めて作業しているそうです。
私たちが登った12月の冬は、山の中は寒いけれど、登れば熱くなり、立ち止まると寒かったです。山の中では衣服の着脱が簡単にできないので、温度管理や衣服調整も大変だろうなと感じました。
そして、こんな急斜面の山には重機が入れないことが分かりました。
重機が入れないということは、
人の手によって、1本ずつ木を伐らないといけない
林業の方の人数が少ないと、1人当たりの負担が増える
といった現状も目の当たりにしました。
やはり、実際に足を運んでみないと分からないことがたくさんあると思った体験でした。
この後、原木市場(げんぼくいちば)や製材所にも連れてっていただいたので、
続きの記事をまた更新したいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私たちCODESIGN TOKYOが、
子どもたちが育つ未来のためにできることはないかな?
子どもたちの笑顔につながる事業を興したいな。
そんな想いがきっかけで、「日本の森林のこと」「東京の木」について
自分たちで調べ、学び、体験したことを発信することにしました。
「日本の森林のこと」「東京の木」についての、「cocomoku-子どもたちの未来のために-」シリーズとして記事を更新しています。
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