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-教育の未来を語る - みんなのコード、2023年学術会議参加記録

みなさん、こんにちは。みんなのコード未来の学び探究部、部長の釜野です。普段は学校教育の授業研究のプロジェクトやチームのマネジメントをしています。もうすぐ2023年が終わりますね。

2023年、広報部を中心に発信により力を入れてきたみんなのコードですが、
メディアの発信だけではなく、様々な学会に発表者として参加しました。

ここ数年、未来の学び探究部では、2030年に改訂される予定の次期学習指導要領に向けて、複数の授業研究を行っています。

授業研究は、長期にわたることが多いので、現時点で見えてきたエビデンスを、積極的に発信することを心がけています。学校現場のみなさんと一緒に行っている研究をかたちに残すことで、多くの方々と議論を深め、アップデートをしたいと考えています。

今回の記事では、2023年に私たちが学会で発表した軌跡をご紹介したいと思います。

2023年の学会発表の一覧

  • 4月【学会誌】日本産業技術教育学会(実践事例集「テクノロジーとエンジニアリングの教室」第2巻 2022)

    • 「クライアント・サーバを模したモデルによるチャットシステムの問題解決のための教材開発と実践」

    • 執筆者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当(中学)千石 一朗

  • 8月19日(土)~ 8月20日(日)【口頭発表】日本産業技術教育学会(第66回全国大会)

    • 「画像認識AIを活用した枝豆選別機の授業実践」

    • 発表者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当(中学)千石 一朗

  • 8月24日(火)【口頭発表:オンライン】日本教育学会(第82回大会)

    • 「生成AIと子どもの対話関係についての研究」

    • 発表者:未来の学び探究部 特任研究員 宮島 衣瑛

  • 9月16日(土)〜17日(日)【ポスター発表】日本教育工学会(第43回 秋季全国大会)

    • 「「情報I」の授業に係る全国実態調査の実施とその概要」

    • 発表者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当 永野 直

  • 10月27日(金)~28日(土)【口頭発表】日本教育工学協会(第49回 全国大会) 

    • 「学びの表現手段としてのプログラミング教育の探究ー「学びの作品化」の提案ー」

    • 発表者:未来の学び探究探究部 特任研究員 宮島 衣瑛 / 共同研究者 東京学芸大学附属竹早小学校 教諭 中村亮太 / 共同研究者 佐川町教育委員会 黒瀬忠行

掲載・発表ごとに概要

ここからは掲載・発表ごとに概要をご紹介します。

4月【学会誌】日本産業技術教育学会(実践事例集「テクノロジーとエンジニアリングの教室」第2巻 2022)

「クライアント・サーバを模したモデルによるチャットシステムの問題解決のための教材開発と実践」
発表者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当(中学)千石 一朗

 中学校学習指導要領 1)の D(2)「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」には、クライアント・サーバシステムについての記述はないが、今日の社会でネットワークを利用した様々なサービスはクライアント・サーバシステムで成り立っているものが多い。そこで、本実践ではアーテックロボ 2.0 を用いてクライアント・サーバシステムを模したモデルを構築し、子どもたちがチャットシステムの問題解決のためのプログラミングを可能とする教材を開発し、実践から成果と課題を明らかとすることを目的とした。

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8月19日(土)~ 8月20日(日)【口頭発表】日本産業技術教育学会(第66回全国大会)

「画像認識AIを活用した枝豆選別機の授業実践」
発表者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当(中学)千石 一朗

 学習指導要領のⅮ(3)「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」では、各種センサから入力されたデータを元にコンピュータが判断を下し、各種アクチュエータを制御している。一連の流れはコンピュータでプログラムされており、プログラムを変更することにより色々な条件や課題について動作させることができる。
一方、今日の社会ではセンサからの入力だけでなく、カメラからの画像データやインターネット越しの遠隔地のデータに基づいて制御を行うシステムが数多く存在する。本発表では、WebカメラとTeachable Machineを用いて、画像認識AIから得られるデータを元にサーボモータモータを制御する、えだまめ選別機を製作した。
AI技術を単独で学習するのではなく、実社会で利用されている事例を参考に、計測・制御と組み合わせて学習した実践例を報告する。

発表の様子はこちらです。

発表資料はこちらです。


8月24日(火)【口頭発表:オンライン】日本教育学会(第82回大会)

「生成AIと子どもの対話関係についての研究」
発表者:未来の学び探究部 特任研究員 宮島 衣瑛

 本研究は、生成AI、特に大規模言語モデルであるChatGPTを使用した教育の文脈における、子どもたちとAIの対話関係を分析するものである。教育学の分野では、AIに関する議論が一般的に技術利用の観点から行われているが、生成AIの教育への影響に焦点を当てることにより、新たな知見を得ることを目指している。
 千葉県印西市立原山小学校の5年生43人を対象に、生成AIを用いた授業を実施し、子どもたちの対話記録、ワークシート、授業の映像記録を分析した。この過程で、教育用生成AIサンドボックスツールを開発し、子どもたちが生成AIを直接利用する機会を提供した。このツールは、教師が対話履歴を確認できる機能を備え、GPT-3.5 APIを利用している。
 分析結果から、子どもたちは生成AIとの対話を通じて、人間とAIのコミュニケーションの相違点を認識し、技術的特性や利用方法について深い洞察を示した。また、将来のAIとの関わり方について、ツールとしての活用を想定しながらも、人間らしいコミュニケーションへの期待を持っていることが明らかになった。

発表資料はこちらです。


9月16日(土)〜17日(日)【ポスター発表】日本教育工学会(第43回 秋季全国大会

「「情報I」の授業に係る全国実態調査の実施とその概要」
発表者:未来の学び探究部 講師・研究開発担当 永野 直

 学習指導要領の改訂によって2022年度から「情報I」が開始されたことに伴い、授業の準備および実施時間の状況、各内容の教材、また大学入学共通テスト「情報」に対する印象などについて実態調査を実施した。全国の授業担当者550名より回答が得られた結果の概要を報告する。本調査が情報教育の充実に向けた情報提供となり、情報教育関係者や政策立案者の議論の参考となることを期待する。

発表資料・学会の様子はこちらです。


10月27日(金)~28日(土)【口頭発表】日本教育工学協会(第49回 全国大会)

「学びの表現手段としてのプログラミング教育の探究ー「学びの作品化」の提案ー」
発表者:未来の学び探究探究部 特任研究員 宮島 衣瑛 / 共同研究者 東京学芸大学附属竹早小学校 教諭 中村亮太 / 共同研究者 佐川町教育委員会 黒瀬忠行

 本研究は、教科等で学習した内容をプログラミングによって作品にすることを通して、作品へのこだわりが学習内容へのこだわりへと回帰するきっかけとなり、学習内容それ自体を自ら深掘り広げていくことができるようになる「学びの作品化」を提案するものである。小学校4年生及び5年生を対象とした実践から、社会科や総合的な学習の時間で学習した内容を、アニメーションやミニゲームの題材として活用し作品を作ることで、作品へのこだわりが、学習内容そのものへのこだわりに変化することが示唆された。

発表資料・学会の様子はこちらです。

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2024年も、授業研究や取りまとめた報告書等を通して、学会に積極的に挑戦していきたいと思います。


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