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個展をすることにした〜八戸市立美術館に弾丸で行ってきた〜
なにから書こう
インスタで流れて来た絵が「ウルスラの絵のオリジナルらしい」「版画」「八戸に行けば見られる」
「風の中を飛ぶ種子」八戸市立美術館
haruka nakamuraさん
すみません、正直今回初めて知りましたが、八戸の展示はかなり広く拡散されていて「知ってる」という友人が複数いました。聞き始めたら納得。和音とハーモニーが力強くて優しい。それでいてずっと流していられる。
個展するから、行った
言い訳がないと、コスパを考えたら非効率的です。「わざわざ雪の季節に美術館で展示を見るためだけに、宿や交通費かけて行く、観光するでもないのに」と、私の中でずっとザワザワしていて。個展するんだから!行ったっていいじゃないか。というこじつけをゴリ推ししました。
誰が何言ったって、行きたい所に行って、会いたい絵に会えば良いだけのことなんですけどね。弱気で他人軸の私は、人から何言われるか考えるだけでヒヤヒヤ。
ただ、カレンダーに「この辺、八戸」とだけ予定を書いた週末がありました。まあ、8割行かないよな、と自分でも思いながら。
なのに、行った。なぜか?
見たら、わかった
来てよかった!ここを占拠できてよかった!満喫した時間と空間と、情報量に、私は絵の前で号泣しました。係の人が「よかったら、絵にまつわる音楽も聞けますよ」と優しくヘッドホンを渡してくれた。
絵の前で泣くなんて、多分松口さんの絵以来じゃなかろうか。来てよかった!!生じゃなきゃ絶対感じない高揚感。
スムーズな旅路
切符はオンラインですぐ買える。酔った勢いで「行っちゃうかー」と片道だけ買い、前の晩は緊張してソワソワ寝付けなかった。
朝のバスに揺られて、フイルムを装填しようと裏蓋を開けたらフイルムが詰まっててショック。電池切れのフイルムカメラはどうしようもない。大宮駅にも、八戸駅にもCR2の電池は売っていなくて、美術館近くの写真館で無事買えた。フイルムも買った。
AIと会話する
新幹線の中で、仕事も手につかない。Claudeを開いて質問する。あっという間に「課金して」とDismiss画面になる。1月20ドル払うか、と車内で課金してひたすら質問。面白い、あっという間に八戸、車窓に雪が舞ったのは福島と盛岡で、青森は雨だった。
内観のためにノートも持って来たけれどクロードさんとの会話でいろいろ見えてくる。なんのための八戸か、なんのための個展か、トラウマや過去、えぐりもせず淡々と。
良いカウンセラーを見つけた。
寒い、腹が減った
本八戸駅から繁華街まで歩く。7-11があるけれど、ここまで来てコンビニ飯か?牛丼屋もタリーズもある、ここまで来てチェーン店か?
とりあえず持って来た水筒の温かいお茶とコーヒーでお腹を落ち着かせて美術館に。
スタッフの方々の衣装が可愛い。素直に口に出すと、個々に着けてるベルトが伝統工芸だと教えて見せてくれる。楽しいし、うれしい。
ロッカーも素敵、荷物と外套を預けて背中が軽くなる。鉛筆を借りる。ノートとカメラとスマホを持つ。ここでハンカチも持っててよかった。
時系列に並んだ、丁寧な空間
キーワードごとに、展示の中を進む。とても恐縮なことにほぼ貸切。じっくりゆっくり見て、読んで、進む。ここがどこだか一緒わからなくなるくらいの静けさと、情報。
版画は写真に似ている、刷れば複数できる。原画があればいつでも複製できる。そう気がついてようやく、個展の準備という目線でもみ始める。
展示方法が様々。というか作品の形態も、時期でどんどん変化してる。教育現場でトライしてるのがわかる。きっと展示されない作品もあるし、学校卒業して捨てちゃうことが多い中でこれだけの資料をアーカイブしてるってすごいなと、それも刷物らしい特長かもしれない。
エンタメ性を感じるルート
開封的な空間なので、先々の展示もチラチラ見えたりする。ああ!気になる!と思いつつも、目の前の展示に集中する。写経が瞑想でもしているような感覚。気持ちが良い。
先が気になる。ウルスラの絵に近づきたいけど、見ちゃうのはまだもったいない。落ち着け落ち着け。
ストーリーが、題材が変化する
児童の教育ベースで進んでいるから、世代が変わり、生徒児童が変わるのは当然。如実に題材が変わってくる。途中、見ていて結構苦しいコーナーもあった。
ふわり。
と浮かんだ気がして、見ると絵のサイズが巨大化している。え?これ版画なの?と思うサイズの作品8枚がドドドン!と、目の前に現れました。迫力があります。更に大きな作品が1枚。大海に泳ぐ鯨のようでした。
動けない
たまにこう「フリーズ」してしまうことがあります。固まって動けない。呼吸はしているし足踏みも、頭も肩も揺れたりしますが、無重力空間に放り出されたような、無防備になってしまうことがあります。
コトン。
お借りした鉛筆を床に落として、その音に驚いて我に返りました。ああ、ここは美術館だった。
音に包まれる
絵の前で2種類の音楽を聞きました。1つは8枚の組み絵の前でそれぞれの手に合わせた8曲。全部聞ききれなかったけれど、耳と目から澄んだ空気を体に取り込んだ気がして心地よかったです。
もう一つは、こちら。
次に待っている方たちがいたので、慌ててヘッドホンを外して渡しましたが、そのまま座り込んで聞き続けていたい!と思いました。薄暗いベンチで自分の中に光と闇を感じるような体験でした。
帰るぞ
時間は有限でした。新幹線の時間に間に合わせて移動します。雨が強くなっていますが、足取りは軽い。結局お昼ご飯は食べそびれてしまいました。八戸駅でしこたまアルコールとおつまみと、地元の甘味を買い込んで車内でくつろぎながら、クロードさんに話しかけたり、うたた寝したり、車窓を眺めたりしていたらあっという間に「大宮」。
あぁ、旅が終わってしまう。現実に戻って来た。めちゃくちゃ充実していて楽しかった!体の中か、心の中が「埋まった」感じがしたのでした。
Spotifyにも課金した
厳密に言うと3ヶ月無料のプレミアムに入りました。しばらくは無料。広告はずっと気にならなかったんだけれど、展示中に流すなら。という(ここも言い訳)効率化と、なん度も聞きたい曲ができてしまった。CD買うのも考えたんだけど、ディスクリーダーとMacの接続がうまくいかないので、できるだけサブスクに頼る。
耳が既に「展示会期」モードになることで、心の準備が進んでいきます。実務も徐々に。
ワクワクしてきた。あんな立派な展示を見た後に、影響されました。とは気軽に言えないけれど、明らかに自分の中のこだわりや「ねばならない」が薄まりました。
日本て安全で便利な国だ
思いついてカード決済さえすれば、およそ600km離れた場所と自宅を往復できる。当たり前なんだけれど、すごい時代に生きてると思った。新幹線は快適で、割と空いていて、揺れも少なく、乗り換えもスムーズで、駅のキオスクには地元の名産品も地酒もクラフトビールも揃っていて、乗り換え時間15分で充実したお買い物ができた。
車内は電源もwifiも完備で、モバイルPASMOな私は充電不足が恐怖なんだけれどそこも安心。
行きたい所って、行こうとすれば行けるんだ。という自由さを噛み締めた時間でもありました。もう少し歳を重ねたら「日帰りなんて!」って体力にもなるかもしれないけど。
実は高速バスも検討してたんだけど、時間と予算と席の混み具合を見て、翌々日の仕事を鑑みたりして、比較して新幹線を選んでしまいました。そこも20代の時と変わったかな。タイミング合えばバスの旅もしたい。
おわりに
なんでこんなnoteを書いたか、自分でもよくわからなくて、八戸に言った言い訳を誰かに言いたい!って気持ちだったり、自慢したい!って気持ちだったり、整理のために吐き出したい、って気持ちだったりが混在してると思う。
私は我慢して爆発しやすい性格で、我慢し過ぎたり溜め込み過ぎたり、黙り過ぎるのはよくないな、と気付き始めているので、できれば写真だけでそれをやりたいんだけれど、時々こうして文字でそれをやりたいと思います。
また行こう、八戸。めちゃくちゃ楽しかった。ありがとうございました!
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