壮絶な闘病
2022年12月6日、アニソン界のアニキ・水木一郎さんがご逝去されました。壮絶な闘病の姿は、がんと闘う私にとっても心の希望でした。
以下の記事は別なブログに発表したものをリライトしたものです。
心に汗を
今回は「心に汗を」をご紹介します。
これは「新巨人の星II」のオープニングテーマで、水木一郎さんが歌われています。
作曲は「ゆけゆけ飛雄馬」同様、渡辺岳夫さんによるものですが、この「心に汗を」は以下の点で大きな変化が見られます。
3つの特徴
(1)根性が前面に出ていない
山川啓介さんの詞による力が大きいのですが、根性のかわりに、青春や夢などがフィーチャーされています。
根性という言葉を「どう生きる」「自分に勝つ」「心の汗」「生きる手応え」などと表現しなおしているのも印象的です。
(2)曲調の変化
「ゆけゆけ飛雄馬」のような勇壮さは陰を潜め、明るい感じの曲調で青春色を強めています。
(3)アニキの歌声が優しい
この「心に汗を」最大の特徴はアニキの優しい歌声にあります。
おおらかで、全てを包み込む、大人の優しさが感じられます。
この時期は「ムーへとべ」「信じるかい」など、「優しいアニキ」の歌がたくさん発表されています。
実は「オタケビ」だけの人ではないんです!
根性から青春へ
「新・巨人の星II」は前作「新巨人の星」より半年の期間をあけて放送されましたが、これは「宇宙戦艦ヤマト2」の放送を間に挟んだためです。
放送されていた時代は根性論から次第に青春路線にシフトチェンジしていく過渡期にあたっています。
1978年、アニメ版「新巨人の星」が始まったこの年には、あだち充さんの「ナイン」という作品の連載がスタートしています。
「ナイン」は大ヒット作になった「タッチ」のプロトタイプ的作品で、83年にはアニメ化もされています。
飛雄馬からアムロへ
その際、主人公である新見克也を演じられたのが、星飛雄馬役でおなじみの古谷徹さんでした。
79年には「機動戦士ガンダム」でアムロ役を担当された古谷さんですが、実は同年に「新巨人の星II」で星飛雄馬も演じられています。
根性路線の「巨人の星」と、青春路線の「ナイン」。
毛色の異なる
全く毛色の異なる両作品で同じ声優さんが主演されたという事実は大変興味深いですね。
こうした個人や時代の過渡期を見事に表現しているのが、「心に汗を」という曲ではないかと私は思うのです。(実は私のカラオケの十八番です^^)
水木一郎アニキのご冥福を心よりお祈り申し上げます。