詩「仏壇のバナナ」

おばあちゃん家の
仏壇の前に
バナナが一房

少々黒々としている
人間でいうと熟女みたいな
甘ったるくて重めのバナナ

誰も食べない 
そのまま腐っていくバナナ

だから
私がいただく熟女のバナナ

あまり好みの味でないけれど 
仏壇の前で笑う 
ご先祖さまは 
この味が好きなのかもしれない

あの、
"ご先祖さま
私は熟女より青二才みたいなバナナが好みなんです"

と、謎めいたことを呟いて 
困らせてしまった

ちょっと間を置いて
苦笑いをしてみる

甘いバナナで渇いた口の中を
ゴクリと水で流し込んだ





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