もりもりの木

FreeWomanです。 普段、考えていることや思っていることを ショートストーリーや散文詩などで表現しています。 皆様に癒しを、 そしてくすりと笑って頂ける作品を提供します🤲

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最近の記事

ショートストーリー「パンチ」

あいは前田パンチや。 人語は分かるけど、人間の言葉は話せられへん。 フルーツパンチと呼ばれることもあるんやで。 ハジメが付けた名前や。 あいの友人とも兄弟とも言えるハジメに出会ったんは彼が9歳の時やった。 ハジメが親の転勤で中国に来た年やったかな。 その頃、あいはイロハ雑技団の演者の一員で人間どもに操られる人形のように働いていたんや。 元々は山猿のボスとして君臨してたんやけど、 悪戯の度が過ぎたところを人間どもに捕まえられてしもた。 すばしっこい、 ずる賢い点があやつらに受

    • Short Story コロナの嫁と呼ばれて2

      私が彼と出会ったのは 33年前の1989年の春でした。 そして細菌大学に入学した18歳若かりし日のことであります。 私は入学に関する手続きをするために大学の教務課に足を運んでいました。 そこで、彼は職員と大喧嘩をしていたんです。 旦那のコロナは大学の5年生、22歳。一年留年していました。このままでは卒業できない、もう一年分の大学費用を払って残りの単位を取るようにと言われていたのです。ごく当たり前のことのように私は思っていましたが、彼は納得できない様子でした。 後に知ったこと

      • Short Story コロナの嫁と呼ばれて1

        みなさん、はじめまして この度、コロナの嫁と呼ばれてを書かせていただきました、コロナの妻、カロナール好子と申します。 このような挨拶初めてで少し緊張しております。 コロナとは、この世に猛威を奮っているコロナウイルスであり、私の旦那はコロナウイルスの生みの親でございます。 世界の皆様、旦那が多大なるご迷惑をお掛けして申し訳ございません。 謝って済むような問題ではございませんが、妻の私でさえも止められない暴走ぶりでごさいます。  私たちいのいる世界では旦那は指名手配中でし

        • しゃもじの心中

          自己紹介します 私、しゃもじ 坂本家に嫁いで六十年 趣味は人間観察かな、 ここ最近はちょっと暇になってきたとこよ 私って炊飯器の横に置かれてることが ほとんどだった それが一般家庭では当たり前 白飯が基本 時々、炊き込みご飯とかお祝い事だと赤飯だったり あとは酢飯かしら 色んな粒目に出逢ってきて それぞれに色や味がありましたよ こちらからは中々冒険できないんだけど しゃもじの人生も各家庭によって変わるから 私の愚痴は一つこの真っ白いのね 白一色もウェディングドレスみたい

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        • 詩集
          9本
        • Short Story
          4本
        • 筆ペン詩
          2本

        記事

          笑顔の下手な妖怪

          ぎこちないというかね、ふふって笑うのは妙に無駄な体力を使うのね 笑顔が一番可愛いというのは私には似合わない 不細工な顔をしてガハハハッと笑うのが良くってよ 通りで異性にはモテないさ 不安定な性分だから                         心許ないことでも簡単に愛想笑いしちゃって                  何が面白いのか分からずに そうするとさ                             人相も型崩れしてきてね この通り笑顔の下手な妖

          笑顔の下手な妖怪

          Short Story「どうぞのおじさん」 

          アーケード街に佇む 老舗の眼鏡売り場にて 鼈甲柄の縁眼鏡を手に取る 似合うかしらとかけてみるものの 鏡を見るといまひとつ 眼鏡を外そうとした、その時 「どうぞどうぞ」と お地蔵さんみたいなおじさんが 優しい笑顔で手招きする ここの店主ではないようで 一体誰なのだろうか そこには全く怪しげな雰囲気はなく いんちき臭い感じもしない 「どうぞどうぞ」とそれしか言わない その言葉に 見事に引き込まれていく とことことついて行くと 小さな家がぽつん 「どうぞどうぞお

          Short Story「どうぞのおじさん」 

          詩「魂中の私」

          ざわざわする 鼻はいつもより効かない 何がしたい 何が言いたい 魂中の私は人生幾度目か 肉体はあっさりしていて 思っていたよりすぐに灰となり 生命去りし跡の人骨は虚しい なぜ私に肉体を施したのか 顔や手や脚や 複雑な動きを私に与えたのか 四六時中 物事を思慮し 新しい誰かと出会うのは 煩わしくなり 身体が逃げていく 魂中の私は何がしたい どこへ行きたい 今の私の自我は失われつつある 何度となく人道を生きた 私の中のあなたは 嘲笑しているだろうか もっと私は世渡

          詩「魂中の私」

          詩「寂寥の人」

          僕が発言する一言ひとことを 君はどんな風に捉えるのだろうか 嬉しい、好き、嫌、辛い、痛いとか きっと沢山あるのだろう でも、どれかは分からないし 僕が想像するどれにも当てはまらないかもしれない 読み取ろうにも完璧にはできない 今日の君は 少し嬉しそうだった ただ、徐々に薄れていく表情と共に 言葉数少なくなっていった いつの間にか みんなより先に帰ってしまった君 いつも泣きそうな顔をしているね どんな想いでこの殺風景な帰り道を歩いたのか 僕には分からない 知りたいよりも

          詩「寂寥の人」

          女と生理

          パンツを下ろし 真っ赤な血が少し乾いて 少々黒めいた色が現れている 私は生理になる度に 女であることを再認識する 何だか恥らしくなり 私は少し女々しくなる   お腹の底がきゅっと熱くなりだして その日はか弱い女の子になる 身体が熱い 誰かに抱いて欲しいと 性が盛んに動き出して パンツの中を指でまさぐると 手にべったりと血が付いてしまう その度に 私は女であると気付かされる 下品だろうと お上品だろうと あの子にも訪れる か弱くなって女々しくなる 鼓動が高鳴って

          その先は

          流されれば どこかへ辿り着こうか 一人の気持ちに浸るのも案外良くて 遠くへ流されてみてもいいと 自然と心が思う 海に感情はあるのだろうか 止まらず流れ続ける 優しく激しく情感に動きが見える だから止まる私はこわい どこへ行くのかどこに辿り着くのか 一向に分からず ただ波の流れは心地よく 真似できないのがもどかしい 海なんぞ 波なんぞ と舌打ちする 行方の知らない 流れの中を見つめる 無心に見つめる

          また明日

          バイバイじゃなくて "また明日ね"と手を振るのは 明日もちゃんと元気に会えますようにという 祈りを込めている いつかの学生時代 夏の暑い週明けの月曜日 ホームルームに重い空気が漂った 顔も知らないけれど 先週まであの子はあの教室にいたはずなのに あの階段を登って 誰かと言葉を交わして だけど もうこの世にいないあの子は 誰と最後に言葉を交わしたんだろうか バイバイはいやだ "また"と付くだけで 少し安心できる私がいる 今日も誰かに "また明日"と ちゃんと

          冬眠人間

          うるさく嘆かわしいと感じてしまう時 この人間界が少しの間 時が止まったかのように皆眠ってしまう 冬眠人間になればいいのにと 人間より寿命が短い動物にも 休まる時間があるのなら 日々喜怒哀楽は交差する それが一度 時止まったら この世はどんなに見えるだろうか この頃 騒がし過ぎると耳元で囁いた あの妖精は この地は害虫のように蝕むこともあれば やわらかな風が ふわふわと包んでくれることもある 何とも言い難い世界だが いやではないと言った ただ疲れ果てても眠れないと

          詩「隣のあの子」

          知っているようで 何にも知らない 知ったかぶって近づいてみても いつもと変わらずで 急にそんな自分が恥ずかしくなり 無意識のうちに頭を掻いている 隣にいるのに あの子との距離は  依然として変わらないまま 今日もあの子とぼくの挨拶は 声を交わさない会釈でおわった だけど いつまでも胸の高鳴りは続くようで ちらっと隣を見ることしかできない このぼくは弱虫なのだろうか きっとどんなに頑張ってみても 変わることがないように思えて 何ならこの頃気が付

          詩「隣のあの子」

          詩「猫の手懐け」

          ごろんと横になった 広げた手の中に しっぽをふりふり 丸い目で見つめる 分かりやすい甘えかたは 何処で覚えたのか 知らんぷりしても もふもふの身体をスリスリ 男にべったりボディタッチのように きみは甘え上手 そっぽを向く冷たさも 人間より一枚上手 見ていると いじらしくてたまらない 凝り固まっていた心がゆさゆさと 母性本能とやらが動きだす 身体に引き寄せ むぎゅとほっぺにチュッ 猫に手懐けられた 人間がここに一人

          詩「猫の手懐け」

          詩「郵便ポスト」

          あなたに送るこの手紙の封筒に いっそ私も入りたい 何食わぬ顔で私を運んで ゆうびんやさん 単車で2ケツも許して おまわりさん 何ならいっそ 猫にでもなってしまいたい 子猫なら 郵便屋さんも きっと癒されるわね 怖い顔をしたおまわりさんもくすっと笑うかな "あとは郵便屋さんよろしく頼みます" なんて言ってウトウトする あなたへの道すがら 海のにおいを微かに感じて 眠りについた頃 郵便ポストの前で待っていたあなた 私をそっと抱っこして 優しい笑みを一つこぼした

          詩「郵便ポスト」

          詩「台風の自我」

          いつも 唐突に現れる ありのままに素をさらけだす 前に人間に付けられる名前は 数字ばかりでつまらないと言っていた ぼくにも自我があるんだと 雨もかみなりも風も どんなふうに動かすかぼくが考えてるんだよ 色々強弱も調節して ぼくが好きなリズムで指揮をとるんだ きみは賢いのね 自分がしたいこと理解して動いてるなんて うん 次の方向性が決まったからちょっとやってみるんだ なんて上手いこと言うんだから 今回は少し優しい雨だけど 風はそれなりに馬力を効かせるんだと

          詩「台風の自我」