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揮発性の感性に振り回されるなと言い聞かす

私が芸術に惹かれたのは、
単に、NYでモダンアートの理解が出来なかった私に

「綺麗な絵なんてありふれてるけど、creepy(気味が悪い)だからこそ人を惹きつけられる。なにもない無関心よりずっと良い。」

と言われ、鳥肌が立つほど感銘を受けたからだけではない。


美しい絵も分解すれば、絵具の羅列でしかない。
むしろ、絵ではなくそれは何かの成分でしかない。


なにかの本質に触れようとするとき、気づかないうちに失っていくものは感性だよね、という話。

これは結構賢いことなんだろう、と思う。
日々を生きていくにあたって、喜ばしいことだとか、怒りだとか、哀しみだとか、楽しさだとかは予期せずにやってくる。
なのに、超絶なるインパクトを残して去っていく。

そして、ヤヤコシイ問題に出くわした時には、
「どうしてこんな感情になっているんだろう。」
と考える。
昔よりちょっと経験豊富になった私は、その原因にぶち当たる。

そうやって、物事の本質を深堀りして原因と要因が見えたところで、安堵するのだ。

こうやって、ちょっと研究者みたいな日々を過ごしていた。

そうした日々を過ごしていると、問題の原因は自分の中で色濃く確実にハッキリとしているのに、
「ねぇ、そういえばね。」
と話だすと、あの時ほどの感情がどうも思い出せなくて、聞き手より興醒めしてる自分に出くわす。

幼かった自分は、たくさんの経験を積んで成長した。

でも私は、成長に対する寂寥感みたいなものがいつまでたっても離れない。


だから、芸術が好きになった。

無邪気で、幼かった自分の気持ちを忘れないように、今日も美術館に足を運ぶ。

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