なるほど東照宮(8)
それでは続きです。
神輿舎
東照宮に祀られているのは、実は徳川家康だけではありません。
明治の初め以降、東照宮には、安土桃山時代の武将・豊臣秀吉、鎌倉時代の武将・源頼朝も合神として祀られており、その3基の神輿がここに収められています。
神輿は、千人武者行列の主役となり、それぞれ約800kg、55人で担がれます。
唐門
東照宮の一番聖なる本社の正門が唐門です。
この門は普段は使われることはなく、江戸時代においても、大名などしか通り抜けることができなかったそうです。
門柱には寄木細工の昇竜・降竜が、屋根の上には東西に竜(昼を守る)南北に恙(つつが)(夜を守る)が施されています。
余談ですが、柱近くにある鶴のデザインはJALのマークの基だとか(諸説あり)
舜帝朝見の儀(しゅんていちょうけんのぎ)
唐門には、中国の七賢人などの彫刻がありますが、中でも正面にある「
舜帝朝見の儀」が有名です。
これは堯帝から舜帝への政権交代の際の儀式で、秀吉から家康への時代の流れになぞらえられます。
なお、この彫刻は、1枚の木に彫られており、そこにいる27人の人々は全員正面を向いています。
ちなみに「朝見の儀」は、日本の皇室でも今も行われている儀式です。
本社
東照宮の最も神聖な場所。拝殿・石の間・本殿が「工」字型に組み合わされた構造で、権現造りの名の発祥と言われています。(日吉東照宮の説もあり)
撮影禁止なので写真はありませんが、本社の拝殿・石の間・本殿には次のようなものがあります。
◆拝殿◆
格天井には100頭の竜の絵があります。
これは、狩野一門が描いたもので1頭1頭デザインが違います。
また、仕切り戸には、右側に麒麟、左側に白沢(はくたく)が描かれています。
麒麟は、平和な世に姿を見せる霊獣、白沢は徳のある王に忠告を与える霊獣で、家康公の偉大さを表しているとも言われます。
そして、右手には将軍着座の間、左手には法親王(出家して僧籍に入った皇族)着座の間があります。
◆石の間◆
人間界と神のいる本殿をつなげる場所です。
◆本殿◆
入口扉の上に獏(ばく)の彫刻。
獏というと夢を食べる霊獣と言われますが、実は鉄や銅も食べるそうで、徳川の世の平和・軍縮への強い願いの象徴でもあります。
次回は、眠り猫などのお話です。
(つづく)