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『子どもを叱って良いのです!』

私が幼児教育の講師をしていた時も、初めての子育て中の新米ママはもちろん、
ベテランママでさへも、その頃から世に広がっていた『褒めて育てましょう』の影響は大きく、

『子どもを怒ってはいけない』

という偏ったアドバイスを真に受けてしまい、

「怒らなくてはいけない場面でも、子どもを怒っちゃいけないんですよね?」
とご相談される方がとても多かったのですが、実は今も『ねばならない』に囚われてしまっている方が実に多いのです。

私はその度に、
「子どもの命に関わることは怒っていいんですよ」
と伝え続けています。

「悪いこと」や「危険なこと」、「自分や他人を傷つけること」はしっかり教えていく必要があります。
かけがえのない命を守るために、怒る場面は必ずあると思うのです。

誤解の無いように付け加えると、決して暴力を推奨しているのではありません。
もう少し言葉を厳密に選択するならば「叱る」ということでしょうか。

昨今、過剰な『体罰批判』から、大きな声をあげることも憚られる時代になってきましたが、
子育てにおいて、その弊害が目立って来たようにも思います。

特性のある子は特に、また繊細なお子さんも家庭で叱られる経験がなく、耐性が付いていない状態で学校や社会へ出てしまうと耐えられないことも。

一生、理不尽なものに打ち当たらず、ずっと守れる環境を用意してあげられる…というのなら、問題もないのでしょうが、一般的にはそれは無理な話だと思います。

ですので、「全く怒られたことの無い子」というのは、予防接種を全く受けず無菌状態で育て無防備のまま野に放つのと同等と言ってもよく、
加えて兄弟児がなく兄弟ケンカの経験も無いとしたら尚の事です。

『褒めて育てましょう』の偏ったアドバイスのため、子どもを怒れない親も増えています。
そして『褒めて育てる』しか教えられず、怒り方がわからない方が多いのです。

『褒める』の方が簡単なのです。

私は常に教育はバランス良くある方が良いと思っています。
偏れば、大なり小なり必ず弊害は生まれます。

ですので、私は耳心地の良いことばかり言う方は信頼できません。
理想だけでは子どもたちは生きていけないし、この世は理不尽だからです。

確かに、褒めるだけで育てられるならそれに越したことはないでしょう。
けれど、この理不尽な世を生き抜いていかなければならない子どもたちを、正論だけでは守れないのです。

また、子どもを怒ってしまった親が自分を非難してしまうことも哀しくあります。
余裕のない中でいっぱいいっぱいになり、一生懸命に子育てしている親を、
私は一辺倒に批判はできません。
子育てをしたことのある方は如何に大変なのかわかると思いますし、
支援も少なく、想像を絶する大変な子育てをしている方がたくさんいます。

余裕があれば上手く対処できることも、余裕がなければ難しいのは当たり前です。
感情的に怒ってしまうこともあるかもしれません。
そんな時はどんなに小さいお子さんでも、理解出来ないと思っても、
「疲れてしまって」や「余裕が無くて」などなぜ感情的になってしまったのか理由をしっかり伝え、
そして素直に「ごめんなさい」と謝りましょう。

これは、子どもにとっても『親が必ずしも完璧で絶対ではない』という学びにもなります。
親だって人間です。
そして、子どもと共に成長するまだまだ不完全なものです。
完璧であるはずはないのです。

ユッタ・バウアー作の絵本『おこりんぼママ』
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そして、私が勧める怒り方は『褒め怒り』です。


怒り方については、テレビで京都大学ips細胞研究所の山中伸弥先生が日本ラグビー界を代表するスター選手として活躍した平尾誠二さんの

「人を叱るときの4つの心得」
①プレー(行動)は叱っても人格は責めない。
②後で必ずフォローする
③他人と比較しない
④長時間叱らない

を紹介されていてとても素晴らしいと思いました。

他でも、
・人格を否定しない
・行為のみを怒る
・理由をゆっくり丁寧に説明する
などの情報はよく目にします。

…が、何分、余裕のない子育て中の方が、この怒り方が出来るかというと、
私は出来ません(笑)

ですので、例えば、
悪いことをしたのに謝らず言い訳をする子に
「天才的な言い訳をしない!」や、
「あなたの賢い頭で考えなさい!」

など、『褒め怒り』とは、子どものことは尊重し愛情を示し、悪いことは怒るやり方なのです。
『褒めながら怒る』という感じでしょうか。

子どもたちが自分を傷つけるような時は、
「母さんが命をかけて産んだ大事な身体を傷つけるなんて、例えあなた達でも許さない!」と怒鳴りました。
怒鳴りながらも愛を叫ぶ方法です(笑)

もちろん、なぜ悪いのか子ども達が理解出来るようにしっかり伝えるという事が大事なのですが、
お子さんに合ったポジティブワードをいくつか用意しておき、一言付け加えるだけなので、怒りすぎてしまったな…という時にも付け加える事ができますし、親もストレスを溜め込まずに済み、
何より、子どもたちにとっても学びも多いのです。

そして繰り返しになりますが、余裕がなく感情的に怒ってしまったら謝ればいいのです。
決して自分を責めるだけで終わらないで下さい。
次に繋げる一歩を、少しずつでいいので、上手に怒れるようになりましょう!

『褒め方』の情報は良く出てきます。
例えば、
すぐに褒める、褒めの3秒ルールや、
結果だけでなく過程を褒めるなどです。

今回は、誰も教えてくれなかった1番簡単にできる『怒り方』をお伝えしました。

怒るには何よりも先ず信頼関係があってこそ成り立つのですし、
『怒る』って、『褒める』よりも難しいのですが、
是非『褒め怒りのスキル』を極めて頂きたいと思います。

学びは常にバランス良く♪
光があれば闇がある
善があれば悪がある
生があれば死がある
喜びがあれば怒りがある…

「怒ってはいけない」ではなく、褒め方と怒り方を学びましょう!


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