体の「火事・コゲ・サビ」とは?テロメアと老化の秘密に迫る
どーもー、ココカラジョイです。
(ちょっとチャラい感じではじめてみました^^;)
夏になると無性にカレーが食べたくなります。
突然ですが中高年のみなさん!
カレーと加齢どちらが気になりますか?
(無理やりこじつけてきたぞオイ 笑)
誰しもが病気にならず いつまでも 健康で若々しくいられたらどんなに幸せなことでしょう。しかし!現実は加齢に伴って何らかの変化を感じているのではないでしょうか…。
胸にそっと手を当て、ここ数日のご自身を振り返ってみましょう。
外見の部分で言うと、白髪が増えたり、しわ・たるみ・しみが気になったり。身体機能で言えば、疲れやすくなったり、目がかすんだり、足腰が弱くなったなど、実感されている方も少なくないと思います。
(えぇ、筆者も少なからず感じておりますとも。)
今回の記事では、この老化を知る上で非常に重要なキーワードを紹介します。もしかしたら、一度は皆さん聞いたことがあるかも知れません。
それは「テロメア」です。
テロメアが短くなることが細胞老化と関係していることが知られています。
なんだテロメアかぁ。
えっ?テロメア?なにそれ美味しいの?
とお思いのイケオジ予備軍のみなさま!ただテロメアについて説明するだけでは芸がないですので、テロメアが短くなる原因、テロメアが短くなることを予防するキーワードについてもご紹介したいと思います。
さて、ココカラジョイの腕の見せ所です(←うわぁハードル上げてるよぉ)
❖ テロメアとは
私たち生物は誰でも遺伝情報を持っていることは知っていると思います。いわゆるDNAやゲノムと呼ばれるやつですね。その他に染色体という言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか。そうそう、下の図のような形をしているやつです。
染色体についてここでは詳しく説明しませんが、染色体は鎖のようにたくさん繋がったDNAをコンパクトにまとめたもので、染色体の中にはたくさんの遺伝子が存在しています。約37兆個あるといわれている体の細胞すべてに染色体は存在します。上図の染色体の端っこに注目してください。なんだか今にもほどけそうですが…、染色体の端っこに存在して、染色体がほどけて傷つかないように保護している部分がテロメアです。
テロメアは短くなる
実は細胞が分裂を繰り返すごとに、このテロメアは少しづつ短くなることがわかっています。
健康な細胞は十分な長さのテロメアを持っているので、細胞は正常にはたらくことができるのですが、テロメアがある程度の長さまで短くなると細胞の老化が始まり、最終的には細胞は死んでしまいます。
細胞の老化… 細胞が死ぬ… といわれても、なかなかピンとこないですよね。ごもっとも。
では次に、テロメアが短くなると高まるリスクについてお話ししていきます。
短くなるとどうなる?
老化や様々な病気のリスクが高まると言われています。(ここまでは容易に想像つくと思います)具体的には、将来「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」などの生活習慣病や「肺疾患」「認知症」などの疾患リスクが高まるといわれています。
テロメアとがんとの関係
もしテロメアが短かくならなかったらどうでしょう?
「短くなると老化が始まるんだから、長いってことは逆に老化知らずでいつまでも元気な細胞を保てるってことだね!」と思うかも知れませんね。実はテロメアが短くならない能力を獲得した細胞がいるのです。それはがん細胞です。がん細胞は、細胞分裂で短くなったテロメアを修復できる能力を獲得しています。そのことによって無限に増殖できてしまう恐ろしいやつなのです。
これらのことから、テロメアの長さは細胞の寿命や健康状態を示す重要な指標として考えられています。
❖ 一つ興味深い研究を紹介します
70歳以上の双子1826人を対象としたデンマークの研究です。この研究では双子の見た目の年齢を評価したところ、老けて見える人の方が寿命が短かったことを報告しています。また、白血球のテロメアの長さも調べており、見た目年齢がテロメアの長さと相関していることも示しています。つまり、同じ年齢であっても生活環境が老化に大きく関係していることを改めて示しているとも言えるかもしれません。
原著論文はこちら
Kaare Christensen et al.Perceived age as clinically useful biomarker of ageing: cohort study.BMJ.2009 Dec 10;339:b5262.
❖ テロメアが短くなる原因
ではここからはテロメアが短くなる原因についてお伝えしたいと思います。テロメアは加齢によって短くなることはもうおわかりですね。ただ、加齢で片付けてしまったら歳をとらないようにしましょうと言っているようなもので、ここで話が終わってしまいますので、ここではテロメアがより短くなってしまう具体的な原因について3つ紹介したいと思います。
3つの原因
①炎症
②AEGs
③活性酸素
①炎症
みなさんの体が風邪をひいたり蚊に刺されると、熱を出したりその部位が腫れたり、いわゆる炎症反応を起こすことは経験していると思います。炎症は時間が経てば症状は治り、病気や怪我は回復しますよね。このように比較的早期に治る炎症のことを急性炎症と言います。一方で老化細胞との関りが指摘されているのが慢性炎症と呼ばれるものです。
炎症は基本的に一定期間が過ぎれば治るはずですが、慢性炎症では炎症反応がずっと続いている状態です。火事で例えるならば、急性炎症は水などをかければすぐに消し止められるのですが、慢性炎症は見えないところで火種がくすぶり続けている状態です。つまり炎症はからだの「火事」とも言われています。
ではなぜ、慢性炎症がテロメアを短くするのでしょうか?炎症が起こると体内の免疫システムが過剰に働き、細胞にダメージを与えます。このダメージがテロメアを短くするのです。つまり、慢性炎症によって細胞が継続的にダメージを受けていることがテロメアが短くなる要因です。
慢性炎症を起こす原因は様々ありますが、特に注意しなければいけないのが肥満です。
あっ、今もしかして少しドキッとしました?
そうです、中高年の天敵である肥満です。脂肪細胞は炎症を起こす物質を放出することがわかっています。肥満の人は脂肪組織の蓄積が増大していますので、たくさんの炎症物質が放出され全身で軽度な慢性炎症がずーっと起きている状態です。慢性炎症が起こると細胞老化も進みますので、肥満はテロメアを短くする天敵と言えるでしょう。
②AEGs
AEGsという言葉はあまり聞いたことがないかもしれませんが、糖化終末産物(Advanced Glycation End Products, AGEs)のことをいいます。
糖質は体を動かすために必要で、体温を保ったり脳のエネルギー源になったりする重要な栄養素でありますが、過剰に摂取された糖はヒトの体を作っているタンパク質と結びついて老化物質が作られます。これがAGEsです。
《 過剰な糖質 + タンパク質 = AGEs(最終糖化産物) 》
例えば、小麦粉と砂糖と卵からできたドーナッツを想像してみてください。ドーナツを油で揚げると、こんがりきつね色になりますよね。そして糖分が多いと焦げやすくなりますね。まさに、このこんがり焦げた部分がAGEsなのです。
ドーナツであればきれいなきつね色は美味しそうで良いのですが、これが体のなかで起こっていると想像したらどうでしょうか?
このことからAEGsは、からだの「こげ」とも言われています。
お肌の場合、こげといわれるAEGsが蓄積してしまうと、皮膚の細胞の新陳代謝が抑制され、コラーゲンやエラスチンといった健康的な若さを保つ成分が失われたり、肌の弾力や水分が減少することで、シワやたるみ、くすみの原因となります。さらに、AGEsによっても細胞で炎症がおこり、テロメアが短くなります。AEGsはタンパク質と糖が結びついたものですので、血糖値が高い状態はAGEsを生産しやすくなります。糖質をたくさん取ると肥満の原因ともなりますので、先ほどの炎症と併せて糖質の取り過ぎは2重の意味でテロメアを短くしてしまう可能性があります。
③活性酸素
最後は活性酸素です。これはご存じの方も多いかも知れませんね。細胞がダメージを受け、酸化の原因となるものです。からだの「サビ」とも言われています。
慢性的なストレスは糖質コルチコイドの分泌を誘発し、活性酸素の生成をもたらします。
さらに、私たちが活動を行うためには、呼吸により体内に酸素を取り込んで活動のエネルギーを作り出します。しかし、取り込んだ酸素のすべてを消費できずに2~3%の酸素は余分なものとして体内に残り、活性酸素やフリーラジカルに変化します。
活性酸素は悪者と思われていますが、免疫機能などにおいて重要な役割を果たすため、必要な存在ともされています。
例えば、免疫細胞の一つである白血球は活性酸素をつくり出して病原体を攻撃します。
また、免疫機能を担う細胞の一つであるナチュラルキラー細胞も活性酸素を用いてがん細胞やウイルス感染細胞を攻撃します。
「なんだ!活性酸素って大事じゃん~」と思いますねよ?
しかし、活性酸素やフリーラジカルの生成が抗酸化作用を上回ると、細胞を酸化させて老化が促進されるだけでなく、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化など生活習慣病や免疫力低下、さらにはがんのリスクも高まってしまいます。
さらには、活性酸素やフリーラジカルが、細胞やDNAにダメージを与えることによってテロメアも短くします。普段は活性酸素から身を守る酵素や抗酸化物質が働いてサビを防いでくれていますが、それ以上に活性酸素が作り出されると、守りきれずに老化が進んでしまいます。この細胞のサビを防ぐことがテロメアの短縮を防ぐことにつながるのです。
❖ まとめ
今回はテロメアを短くする原因を3つ紹介しました。お気づきかもしれませんが、紹介した3つの原因は単独で起こっているわけではなく相互に関係しあっています。
例えば、活性酸素は炎症を起こす原因でもありますので、炎症によってAGEsも作られやすくなります。
わたしたちが若々しくイケている中高年になるためには、テロメアが短くなるのを少しでも防ぎ、老化の進行を遅らせることがとっても大切です。
しかしながら、今のところテロメアの長さを維持したり伸ばしたりするだけでは不老不死には至らないでしょう。
ではどうすれば良いのか。
正の影響と負の影響のバランスがカギとなるのでしょうか。
今回はテロメアが短くなる原因をお伝えしましたが、次回はテロメアが短くなるのを予防し、健康寿命を延伸させるための生活習慣をお伝えしてきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?