ヨーガの教え #3 - ヨガの本質 Yogas chitta vritti nirodhah -
ヨガをやっている方なら、1度は聞いたこのがあるフレーズではないでしょう?
この言葉は、インドの古典的な哲学書「ヨーガ・スートラ」(Yoga Sutras)の冒頭に登場する非常に有名なフレーズです。
この言葉は、ヨーガの本質と目的を簡潔に述べています。
言葉の意味
Yogas:ヨーガ、結合、統合
Chitta:心、意識
Vritti:思考の波、心の動き、心の変化
Nirodhah:制御、制御すること、止めること
このフレーズを一文で翻訳すると、「ヨーガとは心の変動を制御することである」となります。
死滅させる心とは何か?
1. 正しい知識
苦しみを生まない非煩悩
3つ正しい知識
自分で直接感じたこと
事実に基づく推測
教典に従った教え
ただ教典に書かれた聖者の言葉は信じて良い
2. 間違った知識
人間は見聞きしたことが間違っていることが多く、苦しみを生みやすい
3. 推理(妄想)
推理、妄想が間違っていることがある
4. 睡眠
心が止まっているように思いがちだが、寝ている時は真暗な暗黒(タマス)と心が繋がっているとされている
5. 記憶
過去にあったことを思い出すこと。
過去の記憶によってトラウマや思い込みができてしまう。
これらがあると、自分の本質が見えなくなってしまうので、これを止めましょうということです。
ヨーガ・スートラの背景
「ヨーガ・スートラ」は、インドの哲学者パタンジャリ(Patanjali)によって紀元前200年から紀元後200年の間に編纂されたとされています。
この書物は、ヨーガの哲学と実践についての短い格言のような言葉(スートラ)で構成されています。
ヨーガの目的
パタンジャリによれば、ヨーガの最終的な目的は心の変動を制御し、心の静寂を達成することです。
これにより、自己の真の本質(プルシャ)と一体となることができます。
実践方法
「ヨーガ・スートラ」は、心の変動を制御するための具体的な方法やステップも提示しています。
これには、アーサナ(ポーズ)、プラーナーヤーマ(呼吸法)、プラティヤーハーラ(感覚の制御)、ダーラナ(集中)、ディヤーナ(瞑想)、サマーディ(超意識の状態)などが含まれます。
アーサナなどについては、コチラをご覧ください!
まとめ
「Yogas chitta vritti nirodhah」は、ヨーガの哲学を簡潔に示した重要な言葉であり、心の静寂を目指すためのガイドラインとして広く理解されています。
この言葉は、ヨーガの実践者が心の平安と自己実現を追求する際の基本的な指針となります。
チッタ(心の状態)について
さらに、チッタについて深掘りしてみたい思います。パタンジャリはチッタについても言及しています。
以下で心の5つの状態について詳しく説明します。
チッタの5つの状態
1. キッタ(Kshipta)
説明
この状態は、心が散漫であり、無秩序に動き回る状態を指します。
心があちこちに飛び回り、集中できず、安定しない状態です。特徴
外部の刺激に敏感で、感情や欲望に容易に影響されます。
この状態では、瞑想や深い思索が難しく、心が静まることがありません。
2. ムーダ(Mudha)
説明
この状態は、心が鈍っている、または無知に覆われている状態を指します。怠惰や無関心、無知が主な特徴です。特徴
心は混乱し、明瞭さや洞察を欠いています。
思考が鈍く、意欲や動機に欠け、無気力な状態です。
3. ヴィクシッタ(Vikshipta)
説明
この状態は、心が部分的に集中しているが、まだ完全に安定していない状態を指します。時折、集中力が得られるが、すぐに散漫になることが多い状態です。特徴
瞑想や集中の練習をすることで、一時的に心が静まります。
外部の刺激や内的な思考によって再び散漫になりやすい状態です。
4. エーカグラ(Ekagra)
説明
この状態は、心が一つの対象に完全に集中している状態を指します。心が安定し、深い集中が可能な状態です。特徴
瞑想や集中の練習によって達成される状態で、心が静かで明瞭、内的な洞察が得られる状態です。
この状態では、外部の刺激に影響されにくくなります。
5. ニルッダ(Niruddha)
説明
この状態は、心の動きが完全に制御され、静止している状態を指します。ヨーガの最終目標である心の完全な制御と静止が達成された状態です。特徴
瞑想の最終段階であり、心が完全に静寂であり、深い内的な平和と統一感が得られます。
この状態では、心の動揺や乱れが一切なく、悟りの境地に達することが可能です。
まとめ
これらの心の状態を理解し、練習を通じて心を制御し、最終的にはニルッダの状態に達することを目指すのが、ヨーガの実践の一つの側面とされています。
心の異なる状態について
パタンシャリは心の異なる状態についても説いています。
以下に各状態について詳しく説明します。
心の異なる状態
1. クシプタ(Kshipta)
意味
散乱した状態詳細
この状態では、心は非常に不安定で、注意があちこちに散らばっています。
集中することが難しく、外部の刺激に頻繁に反応します。
この状態では、心は常に動き回り、静けさや安定性が欠けています。
2. ムーダ(Mudha)
意味
鈍い、無知な状態詳細
この状態では、心は鈍く、無知で活力がありません。
怠け心や無気力が特徴であり、認識力や理解力が低下しています。
この状態は、無関心や無感動に伴うことが多いです。
3. ヴィクシプタ(Vikshipta)
意味
散漫な状態詳細
この状態では、心はある程度の集中を持つものの、依然として散漫であり、外部の刺激に容易に引き寄せられます。
集中と散漫が交互に現れ、安定した集中を保つのが難しい状態です。
4. エーカグラ(Ekagra)
意味
一心不乱の状態詳細
この状態では、心は一つの対象に完全に集中しています。集中力が高く、他の思考や感情に邪魔されることなく、一点に集中することができます。
この状態は、瞑想や深い思考において理想的とされます。
5. ニルッダ(Niruddha)
意味
完全に制御された状態詳細
この状態では、心は完全に制御され、静止しています。すべての思考の波(ヴィッティ)が鎮まり、心は完全な静けさと清澄さを持っています。
この状態は、ヨーガの最終目標であるサマーディ(深い瞑想の状態)に達するための理想的な状態です。
まとめ
これらの心の状態は、ヨーガの修行者が自己の心の状態を観察し、理解し、制御するための指針となります。
それぞれの状態を認識することで、どのように心をより集中させ、最終的には完全な静けさと制御を達成するかを学ぶことができます。
いかがでしたか?
【Yogas chitta vritti nirodhah】
やっぱり、奥が深いですね。
心を制御出来るようになれば、大いなる叡智と繋がることが出来るようになりますね。
まだまだ修行ですね。
大いなる叡智と繋がり、生まれてきた今世の目的や過去世からの宿題を思い出し、今生をより良く過ごせるようになりたいものですね。