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日常の慣れ

ターリ・シャーロット | TALI SHAROT
認知神経科学者。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
およびマサチューセッツ工科大学教授。

ターリ・シャーロットは、
日々の生活の中で身近にあるものに目を向けることで、
もっと幸せに生きられると言っています。

2025年を迎えて、多くの人が自分の人生を振り返り、
もっと充実した生き方をするために、
何ができるかと考えていると思います。

その中で
「仕事には満足していて、家族にも愛され、
家も居心地がいいのに、なぜか日々の幸せに
影響を与えていないように感じる」という疑問が
浮かぶかもしれません。

人生には人間関係のトラブルやネット上での失礼な態度、
職場の非効率さなどの良くない面もありますよね。
私たちはこうした慢性的な問題に慣れてしまい、
改善しようという気も起きにくいのです。
つまり、いつも自分の周りに存在しているものを
意識しなくなるのです。

慣れとは脳の基本的な特性であり、常に存在するものや
頻繁に起こるものに対して、次第に反応しなくなる傾向を
指します。

例えば、コーヒーショップに入ったとき、
最初は淹れたてのコーヒーの香りを感じますが、
20分もするとその香りを感じなくなります。
これは嗅覚ニューロンが慣れるからです。
私たちは、人生のもっと複雑な局面にも
このように慣れてしまうことがあります。

そこで、敏感さを取り戻すことが課題となるんですね。
素晴らしいものに対して、再び喜びを感じるように
したいですよね。一方で、見えにくくなった問題点を
認識して、努力すれば状況を変えられるかもしれません。
どうすれば慣れから脱却できるのでしょうか?

経済学者ティボール・シトフスキーの
「喜びは、欲望が不完全かつ断続的に満たされることから
生まれる」という言葉が
がヒントになります。

好きな曲を思い浮かべてください。
それを最初から最後まで通しで聴くのと、
途中で何度か止めながら聴くのでは、
どちらのほうが楽しめるでしょうか?
研究では、中断しながら聴いたほうがその曲を楽しめる
という結果が出ています。中断することで慣れが解消され、曲が再び流れるたびに喜びのレベルが跳ね上がるのです。
慣れに対抗して喜びを最大化するためには、
いいものを少しずつ楽しむ必要があります。

一方で、家事や事務作業などの面倒な仕事は、
一気に終わらせてしまいましょう。
研究によると、不快な騒音を聞く場合、休憩を挟むよりも
ずっと聞き続けるほうが、苦痛が少ないことが
わかっています。休憩が入ると慣れがなくなり、
再び苦痛が増すからです。

日々の生活で、
自分にストレスや不安を引き起こしているものを
考えてみましょう。背景に響き続けるエアコンの音のように、常にそばにあるため、それがどの程度
自分に影響を与えているのか気づかないかもしれません。

2025年は、日常のルーティンからいくつかの要素を排除し、新しい要素を加えてみるのも良いかもしれませんね。
それらが生活にどのような影響を与えるか見極め、
幸福や目的意識をもたらすものを残し、
そうでないものを排除するように工夫してみましょう。

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