
【読書録】上級国民/下級国民ーリベラル化する社会の分断
リベラルな社会は能力主義で、現代の知識社会では知能による分断が起きている、、「言ってはいけない」分断の正体を知る、現実を知る良いきっかけとなりました.解決策が明示されていないからこそ、考えさせられる内容でした.
こんばんは.リケジョサラリーマンのcocoです.
最近、橘玲さん著の『上級国民/下級国民』という本を読みました.
読書録ということで、本の概要・印象に残ったこと・考えたことをシェアしたいと思います.
本の概要
本書は2019年に出版された比較的新しい新書です.
知人に薦められて手に取ったのですが、タイトルは『上級国民/下級国民』、表紙には
やっぱり本当だった.
みんな薄々気付いている「言ってはいけない」分断の正体
と赤字で書いているという、なかなか過激そうな本だなというのが第一印象でした.
普段このような本を読まない私が読もうと思った理由は、次の3つです。
「今日本や世界で起きている分断の事実について知りたい」
「令和の日本がどのような社会になるかを知りたい」
「知った上でどうあるべきかを考えたい」
本書は、
Part1「下級国民」の誕生
Part2「モテ」と「非モテ」の分断
Part3「世界を揺るがす「上級/下級」の分断
という3パートで構成されており、
リベラル化・グローバル化が進む現代で起きている、また今後起こりうる“分断“について、データを用いながら淡々と書かれています.
とても読みやすい文章で、
日本や世界ではどのような分断が起こっているのかを知り、
その上で“わたし“はどうあるべきかを考える良いきっかけになりました.
本の中には“解決策“といったものは明示されておらず、
だからこそ一人一人がその人なりの考えを巡らせることができます.
印象に残ったこと
本書の中で特に印象に残ったことを紹介したいと思います.
Part1 「下級国民」の誕生
ここでは日本について「平成で起こったこと」「令和で起きること」が書かれています.
特に印象に残ったのは
平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません
という一文です.
政治家は有権者の票を得るために政治を行い、結果としてひたすら対症療法を繰り返すというのです.
「そうあるべきではない」と思うものの、現実に目を向けると確かにそういう歴史を辿っているなと納得してしまいました.
Part2 「モテ」と「非モテ」の分断
このパートで印象に残ったのは
「マジョリティのアンダークラス」である「非モテ」の存在はこれまで黙殺されてきた
という一文です.
LDBTQといった「見えやすいマイノリティ」ではなく、マジョリティの中でのアンダークラスという分断は注目されにくくなっている構造である、という残酷に感じてしまうリアルがいくつかの例を用いて述べられていました。
こういったマジョリティの分断が、日本だけでなく世界の国々で怒っているというのです。
Part3 「世界を揺るがす「上級/下級」の分断
現代は「私の人生は自由に選択する」という価値観が当たり前である
リベラルな社会です。
このリベラル化社会についての
リベラルな社会の本質は「本人の意思で格差が生じるのは当然だ」というような「能力主義(メリトクラシー)」だ
誰もが自己実現できるリベラルの理想世界は、究極の自己責任の世界だ
という記述が印象に残りました。
そして、このようなリベラル化する社会=知識社会では知能によって分断が起こり、中流階級が崩壊しつつあるというのです。
この「知識」による分断が起こるということは、知らないことを学べば学ぶほど痛感するファクトであり、自分から必要な情報に触れていくことの大切さを改めて感じました。
考えたこと
私が本書を読み終えて感じたことがあります。それは
みんなが同じ方向を向く(同じ考えを持つ)ということの難しさ
です。
著者は先進国のマジョリティは
リバタリア;進歩的な価値観を身につけ、能力主義にも適応。グローバル化や移民の受け入れにも寛容
と
ドメスティックス;個人の権利より地域社会の秩序を重視し、宗教や伝統的な権威を尊重)
という2つの階層に分断されていると述べています。
こういった価値観の違いによる分断をなくすのはかなりハードルが高そうだと感じました。(実際の身の回りの人々を思い浮かべてみても)
この問題に対して、”個人としてどうしたいか”と”社会が良くなるためにどうすればよいか”を考えてみたのでシェアします。
■個人としてどうしたいか
個人としては、同じ価値観をもつ人たちと関わり関係を築きたいと思いました。そのためには、ただ待っているだけではだめで、自ら行動しようと思いました。
行動するというのは、例えばコミュニティに所属する、興味のあることにチャレンジする、発信するなど。
■社会が良くなるためにどうすればよいか
分断をできるだけなくし皆が幸せに生活できる社会になるためには
・”利己主義”にならず、異なる価値観を受け入れるマインドを持つこと
・助け合いの精神、リスペクトの気持ちを忘れないこと
が大切だと思います。
先程と意見が矛盾するようですが、価値観を共有できる人たちと過ごす一方、多様性を受け入れるマインドは忘れてはいけないと思う、という意見です。
異なる価値観を受け入れるためには、そもそも価値観が違う人達の存在に気づくことが大切で、そのために人々が交流する場が増えればいいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
読書録ということで、最近読んだ橘玲さん著「上級国民/下級国民」を紹介しました。
冒頭にも書きましたが、この本には結論が書かれておらず「分断が起きている」という事実を知りそれについて考えるきっかけを与えてくれるような本です。
とても読みやすいので、ぜひ読んでいただきたいなと思います。
以上
いいなと思ったら応援しよう!
