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推しに女がいた話

わたしには、推しがいた。

世間一般的に、推しといったら、地下アイドルや、舞台俳優の卵、やたらと顔面偏差値の高い声優を、連想させるが、そのどれにも、属さない。

わたしは、スケートボードやスノーボード、サーフィンといった、いわゆる「横乗り系」のライドを、ほんの少し、嗜んでいた。

最近は、スケートボードもオリンピック種目になったけど、もともと、「イエーイ」「スタイルゥ~」「オーケェー」的な、カルチャー色の強い、スポーツ。

だからこそ、その道1本で食べていくのは、至難の技。

現役のライダーとして、大会に参加する傍ら、メーカーの広告塔としてプロモーション活動に参加したり、会社員を続けながら、遠征費を賄って、転戦を続ける選手もいる。

わたしの推しは、いわゆる、その道一筋、プロのライダー。(仮面じゃないです)(横に乗る方です)

一般人を、推して、すでに、20年の年月が過ぎ去ろうとしています。(風の中のすば…)

小学生の頃、20代前半と思しき彼が書いたであろう、コラムを読んだ。世界的な活躍に値する、素晴らしい才能と、確固たる勝利哲学みたいなものを、それはもう、プンプンに漂わせた文章だった。

当時の、キレッキレにとがったスタイルが、それはそれは、かっこよくて、いつか、会ってみたいという気持ちと共に、思春期を過ごした。(まだ会えていない)

わたしが、高校に入学して、苦虫を噛んでいた頃、彼は、結婚して、子供が生まれ、離婚した。(まだ会えていない)

そこから、今まで、ずっと独身でいることは知っている。わたしに出会うその時を待っているのだと思っていた。(だからまだ会えていない)

だが、しかし、最近、インスタグラムに、見慣れない犬が登場するようになった。新しい犬=新しい恋の予感(ロマンスの神様、願いをか…)嵐を呼ぶ犬に、胸がざわつく。

誕生日の写真。パリピ主役の隣で、新ざわつき犬を抱いた女性が鎮座。(犬に罪はない)(ざわつき犬ってなに)

女の勘って恐ろしい。ゴシップ根性を実らせ、お相手女性のインスタグラムを発見。バリキャリキラキラ系ピラティスインストラクターだった。(絵に描いたような敗北)(えぇ、会ったことありませんけどね)

2ショット写真もないし、公表しているわけではないけど、新ざわつき犬と共に、仲良く暮らしていること、間違いなし。(新加勢大周もビックリ)

会ったことないけど、面識もないけど、マリアナ海溝くらい深い、喪失感に駆られています。たぶん、これは、20年越しの失恋です。失恋ショコラティエです。

いや待て、わたし。よく見てごらんよ。そんなに、かっこよくないかもしれないぞ。(エベレスト級の失礼)洗練されたスタイルに騙されていただけじゃないか。(まぼろし~)

新加勢大周犬だって、愛亀と比べると、大したことない。それに、フリーランスの君たちと違って、会社員のわたしは、確定申告に行かなくていい。(そこか)

20年来の推しに、女がいた。すべては、余計なお世話犬が、教えてくれた。

ミシシッピアカミミガメなら、顔の判別が出来ずに、相手の女性に、たどり着かなかったかもしれない。

匂わせ投稿をするなら、亀にしてほしい。ミシシッピニオイガメとか。名前からして、匂わせてるし。

最後に、我が家の匂わせ亀。電気毛布の上に乗せたら、このドヤ顔。いや待て、なに、この顔。

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