【実験企画】日焼け止め規定量VSベースメイク重ね塗り 日焼け止めを重ね塗りしなくても紫外線は防げる!?
連日の猛暑で、少し外を歩くだけで日焼け止めもメイクもドロドロ・・・
そんな日は特に紫外線ダメージが気になりますよね。
日焼け止めはSPFの高さだけでなく、「塗る量」や「塗り方」も大切です。
高SPFの日焼け止めを使っていても、適正量をムラなく塗らなければ、本来の効果を発揮できません。
COCO.libraryでは以前、「日焼け止めの一度塗りでは平均して適正量の半分程度しか塗れていない」という研究結果¹⁾と「日焼け止めを適正量塗るためのメソッド」を紹介しました。
上記記事で紹介したメソッドとは「日焼け止めを重ね塗りすること」。
日焼け止めの使用量について調査した研究で、日焼け止めを2度に分けて重ね塗りするだけで、塗布量を2mg/cm²(規定量)まで高めることができたと報告されています²⁾。
※規定量とは国際規格で定められたSPF測定時の日焼け止め塗布量(2mg/cm²)を指します。
とはいえ、「朝の忙しい時間に日焼け止めを重ね塗りをするのは正直、面倒…」「塗る量が多くなると使用感もベタつくし、白浮きすることもあるから実践できない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ある日、COCO.libraryの会議で日焼け止めの塗り方の話になり、女性メンバーが揃って「日焼け止めを規定量重ね塗りするのが面倒で、下地やファンデーションを重ねることで代用している」ということが判明しました。
そこで、本当に代用できるのか確かめたい!と盛り上がり「日焼け止め規定量 VS ベースメイク重ね塗り」で紫外線防御効果に差があるのか実験してみることにしました。
【実験】日焼け止め規定量VSベースメイク重ね塗り
被験品
・日焼け止め(SPF50+/PA++++)
アネッサ パーフェクトUV マイルドミルク NA
・化粧下地(SPF38/PA+++)
クレ・ド・ポー ボーテ ヴォワールルミヌ
・ファンデーション(SPF25/PA+++)
クレ・ド・ポー ボーテ タンクッションエクラ ナチュレル
・パウダー(SPF/PA記載なし)
イニスフリー ノーセバム ミネラルパウダー
UVラベル(日油技研)
紫外線を受けたときに無色から有色へと変化する。
・UVAラベル:白 ⇒ 青
・UVBラベル:白 ⇒ ピンク
※色が薄いほど、UVから防御できている。
試験方法
1.スライドガラスに被験品を塗布
・無塗布
・日焼け止め半量(1mg/cm²)
・日焼け止め規定量(2mg/cm²)
・メイク重ね塗り:日焼け止め半量+化粧下地+ファンデーション+パウダー
※化粧下地・ファンデーション・パウダーは、実際にスライドガラスと同面積の肌に塗ってみて、違和感のない(薄すぎず濃すぎない)量を塗布した。
※塗りムラがあると結果に大きく影響するため、カットしたクリアファイルを使用して出来るだけムラがないように伸ばした。
2.下の図のようにスライドガラスを重ねる
3.白画用紙にUVラベルを貼り、その上にスライドガラスを乗せる
4.快晴の日の窓際に10分間置いた後、UVラベルの変化を観察
試験結果
UVAラベルは、図4を見ていただいたらわかるように、無塗布では開始10秒で青く変化するほど感受性が高いので違いがわかりにくいですが、よく見るとUVA・UVB共に「無塗布>日焼け止め半量>日焼け止め規定量・メイク重ね塗り」の順に薄くなっており、日焼け止め規定量とメイク重ね塗りはほとんど差がありません。
上記結果から、メイク重ね塗り(日焼け止め半量+化粧下地+ファンデーション+パウダー)は、日焼け止めを規定量塗った時と同程度の紫外線防止効果があると推定できます。
また、写真ではわかりにくいですが、実物を目で見ると、被験品の塗り方が大きく影響してしまう1層しかない日焼け止め規定量より、複数層あるメイク重ね塗りのほうが紫外線を防げている様子でした。
実際に肌に塗る際も、塗りムラがあると日焼け止めの効果は下がってしまうため、塗りムラを防ぐという意味でもメイクを重ね塗りすることは日焼け防止に有効であると考えられます。
まとめ
今回はUVラベルを使った簡易な実験であり、人によって塗り方も違うので、実際の肌でも同様の結果になると断言はできませんが、日焼け止めをたっぷりベタベタに塗ってからメイクをするのは億劫だな…と思っていた方にとっては嬉しい結果ではないでしょうか?
絶対に日焼けしたくない!という方や、長時間外で活動する方は日焼け止めを重ね塗りして規定量たっぷり塗ってからメイクするほうが安心ですが、外に出るのはオフィスへの通勤時だけという方や、ベタつき・白浮きが気になるという方は、日焼け止めを一度塗り(規定量の半分程度)した上にUV防御効果のある下地やファンデーションを重ねれば、日焼け止めを規定量塗った時と同程度の日焼け防止効果はありそうです!
まだまだ暑い日が続きますが、紫外線は夏だけでなく一年中降り注いでいます。
紫外線ダメージから肌を守るために、日焼け止めについてもっと深く知りたいという方は、以下の特集も読んでみてください。
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(執筆:なな)
【参考文献】
1)Relationship between sun-protection factor and application thickness in high-performance sunscreen: double application of sunscreen is recommended , Teramura T, Mizuno M, Asano H, Naito N, Arakane K, Miyachi Y , Clin Exp Dermatol.37(8):904-8, (2012)
2)サンスクリーンの長期使用効果,水野 誠,日本香粧品学会誌,41(2):113‐118,(2017)