日本の評価って、なんだろう?
京都はかつてないほどの猛暑が続く2024年の夏。それでもかつてないほどの観光客が京都に来ている。最近のことではない。子供の頃から京都は観光の街だった。それが今では年間何千万人が観光に来る街になった。しかも京都に限らず、奈良や大阪、北海道や飛騨高山など、わたしたちがほとんど気にしていない小さな観光地も対象になっている。漫画やアニメ、日本映画の影響とも言われるが、もしかしたら我々が認識する以上に世界が日本を評価するようになったのかもしれない。
最近の分析では、2050年には、日本が世界の文化的な中心になるという説があるらしい。これには特別な根拠がないが、直感的にリアリティを感じる。かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン(エズラ・ボーゲル著)」という本が世界中で話題になったというが、その時代の「日本賛美」とは少し違うものだと思える。やはり一つの国の何かが国際的に高く評価される場合には、その国が軍事的にあるいは経済的に、世界の1位、2位、あるいは3位に位置しているというような客観的な評価が前提になっている。しかし、最近の日本の文化に関する評価は、そういったものとは直接的には何の関連もない。正直言って、日本はそれほど元気がいいと思えない。経済の視点で見るとどやや落ち目にあるとみるのが妥当だ。細かく取り上げるのも大変なので、イメージでつかんでもらうために、いま世界で高く評価され、世界の多くの人々の賞賛を受けているものを考えてみたい。
幾層ものレイヤーが重なる、日本のサブカルチャーのうねり
おもに注目を集めているのは、アニメ、ジブリ、宮崎駿、ワンピース、ナルト、スラムダンク、ガンダム、ドラゴンボール、新世紀エヴァンゲリオン、鬼滅の刃、進撃の巨人、ドラえもん、忍者ハットリくん、漫画喫茶、ユニクロ(GU)、神道、侍ロード、忍者、和食、和牛、ラーメン、京都、奈良の鹿、猫カフェ、抹茶、スィーツ、金継、カツカレー、とんかつ、ラーメン、餃子、シティ・ポップ、ジャパン・エキスポ、コスプレ、ファッション、化粧品…など。ざっくり考えても相当なアイテムだが、これ以外にもまだまだ人気の日本アイテムは数多くあるだろう。こうして考えてみれば、これは一昔前の日本ブームとはこの圧倒するような層の厚さが異なっている。これらが相乗的に増幅しているのだろうか。今日も少なくない数の外国人観光客が、自宅前の道路をゴロゴロとスーツケースを引いて去っていく。このような観光客グループが行き交う光景を日々見るが、京都観光で地元の事業主が潤っている実感は伝わってこない。しかし、こういう商品のライセンスや販売をしている日本企業は相当に儲かっているはず、と考えるのが自然だ。ところが、ほかの地域は知らないが、京都では観光ビジネスに奇妙な現象もおこっているらしい。
事業主が海外資本でも、企業の売り上げは伸びている?
京都では、老舗旅館、料亭や店舗が事業主が外国資本に変わってきている。円安が追い風になって事業は右肩上がりだといわれている。こうした報道は時に悲観論的な描き方をされる。しかし、事業主がだれであっても、日本の伝統文化や日本特有のものが流行するのは、ライセンスをもつ会社にとっては相当な利益と思える。日本社会の悲観的な見方は、市場を奪われたように表現するメディアの影響もあるだろう。企業は何かを作って販売して利益を得る。量産して多くの商品を売ることが目的だ。それならば、売れることは歓迎すべきといえる。それらは日本国内から国境を越えて、遠い国で大人気となり、日本サブカルチャーとして評価されている。
漫画喫茶をキーステーションに広がる、日本サブカルチャー市場
先だって、フランスで漫画喫茶を経営して成功している人物をテレビ番組が取り上げていた。10数年前に漫画喫茶をはじめたそうだ。事業をはじめた頃は漫画が一般的ではなかった。しかし、今では漫画喫茶の草分けとして人気を得ている。今では取り扱う漫画は2万冊になった。現在は漫画を文学と同じように認め、家族で漫画喫茶を利用することもあれば、アルバイトでお金を貯めて漫画を購入する若者もいた。興味深いのは、漫画やアニメが特別のものではなく、身近なサブカルチャーとして世界に広がるようになってきていることだ。
【𝗖𝗜𝗧𝗬 𝗣𝗢𝗣 - 𝗩𝗢𝗟. 𝟭】日本の80年代のシティポップ | Japanese City Pop Compilation (Butasagi Selection)
登録者:ブタサギ / BUTASAGI
日本サブカルチャーの評価とのつきあいかた。それが自分のテーマといえる。
日本サブカルチャーが国際市場に広がっていることを見聞きする。小さいころから見慣れたアニメや漫画、おにぎりやラーメン、ずっと昔に流行したポップスもある。こうしたものが評価され、「?」な気持ちを抱えることもある。しかしこれからわたしたちは、こういう評価を受け入れ、つきあいかたを学んでいくことこそ、わたしたちのテーマなのかと思うことがある。
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