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【映画コラム】二番目の妻・一夫多妻の愛

アジアンドキュメンタリーズは不思議だ。ここいらでいいかな、もうやめようかな、と思っていても、関連動画で面白そうな映画がたくさん出てくる。Netflixやprimeビデオでもドキュメンタリー映画の取り扱いはあるが、ここまで真に迫ったドキュメンタリー映画を取りそろているところはない。若干きな臭い感じがいいのだろうか。やめるにやめられない。

さて、今回は一夫多妻をテーマにした映画を2本見たので紹介したい。

イランの遊牧民族における重婚の話だ。一番目の妻は、夫の言いなり。二番目の妻に対して嫉妬していないわけではないが、そこまで強く主張するわけでもない。
二番目の妻は、地域の慣習で兄の友人だった夫のところへ嫁ぐしかなかった。しかし、自分でなんでもできるため、夫の存在も一番目の妻の存在も必要としていない。そんな中、夫は新しい提案をする。

イランのこの民族の中では重婚は珍しいことではないらしい。また、この家庭は夫が病気で働けない関係で、二人の妻が全ての仕事を行う。男児は学校へ行き、教師か技術職になることを望まれるが、女児は結婚することが幸せだと夫が決めてしまい、学校は4年生でやめた。
妻も女児も労働力だ。新しく家畜を100頭増やすために、労働力が足りないから、新たに妻を迎えようと提案するあたりは、日本と大きな差を感じた。
日本だったら、自分が働けなくなったら、それ以上大きく儲けを出そうなんて考えない。今あるものである程度満足しようとするだろう。自分が働けなくなっても、家長として妻達を働かせて稼ぎを大きくしようとするあたりが、女性を働き手としてしか見ていない傲慢さを感じた。

こちらはインドネシアのバリ島の映画だ。
2名の妻がいる家庭、5名の妻がいる家庭、10名の妻がいる3家庭が出てくる。
妻が2名と5名の家庭には共通点がある。どちらも2番目以降の妻と結婚する時には独身だと嘘をついていた。さらに、夫は妻へ暴力を振るっている。
妻同士は仲が良くなく、顔を合わせても言葉は交わさない。その一方で、子供同士は仲が良いらしい。
家庭内での夫の権力が強くて、妻が言いなりになる状態でないと、後から後から妻を迎えることは難しい。妻がそれを許さないからだ。
夫は仲の良い家庭を築きたいとか、耳障りの良い事を言う。そして、妻の意見は聞かないのに、職場の上司の話は聞くのだ。さらに、子供の教育費などは妻の財布から出ているらしい。
10名の妻がいる夫は、地域の権力者だった。こちらは妻同士の仲が良くて、みんなが夫との結婚を望んだそうだ。夫は共産党の大量粛清を指示したリーダーだったらしい。権力が強かったり、力が強かったりする夫がいると、妻は”言いなり”になってしまうのかもしれない。夫と妻の力関係が対等な家庭ではじ重婚は起こらないということなのかもしれない。

イランの例は働き手。バリの例は女。人として対等に扱われていない。
イスラム教では4人まで妻を持てるというが、全ての妻には公平に接することが法律や宗教で定められているらしい。
意外と世界中には一夫多妻の家庭が多いことに驚いた。そして、求めるものが異なることにも驚いた。
幸せな結婚はあるのだろうか。(普通に結婚すればあるのかも)

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