【映画コラム】関心領域 Zone of the Interest
失敗した。
私は、食事を後回しにする癖がよくある。
食事は平日であれば、お腹の具合が仕事に影響するので食事を取るが、休みの日はついサボりがちになる。1日一食もザラだ。
今日は、3連休明けの平日。仕事から帰ってきたら大変空腹だった。
私はいつも風呂が優先だ。
食事を先にすると、満腹で眠たくなってしまい、風呂まで辿り着かないことがしばしばあるからだ。
今日は寒かったので、お湯を溜めた。好みの入浴剤を入れて、見たかった映画をレンタルしたが、その映画が悪かった。空腹に拍車をかけて、映画のせいで具合が悪くなった。
Amazonプライムでレンタルを始めたので、早速見てみることにした。
とても楽しみにしていた映画だ。
私は、ジャンプスケア(大きな音や突然現れるなど、驚かせるような仕掛け)がとても苦手だ。だからホラーは避けているし、お化け屋敷も極力入らない。
友人の話だと、この映画は音がとても大切なので、ぜひ映画館で見るのが良いのだそうだ。しかし、そこはビビリな私。とてもではないが、「(より怖がるためには)音がいいから映画館で見なよ」と言われて、とてもではないが言われた通りにするほどの勇気はない。
でも、話はとても気になっていたので、小さいスマホの画面で見られるようになるのをずっと楽しみに待っていたのだ。
さて、この「関心領域 The Zone of Interest」はA24の映画である。A24と言えば、「ミッドサマー」で有名だ。まさしくそんな風な、いや〜な感じのする映画だった。
「関心領域 The Zone of Interest」は、アウシュビッツ強制収容所の隣に建てられた、所長家族の家での話だ。強制収容所からは、絶えず何かの機械の音がするのだが、所長家族はそんなことには気を止めず、セレブな生活を送る。
ポーランド人の使用人を何人も召し抱え、プールサイドでパーティーを楽しむ。
この所長夫人がどうもいけすかない。所長の転勤が決定した時も、頑なに自分たちはここに残ることを主張し、結局所長のみ単身赴任になった。自分のセレブな生活を捨てたくないだけに見える。見る限り、所長夫人がしたことは、ご飯を食べて、お風呂に入って、子供を洗っているだけだ。
所長本人は大変優秀で出世頭なようなのに。妻は何をしているのか。働け。
(ナチスにおける「大変優秀」が本当に褒められることなのかはまた別だが)
ユダヤ人は金融業が得意だ、という話を聞いたことがある。
皮肉なのか、ジョークなのか、事実なのかはわからない。(無知故に失礼があったらお詫びする)
ただ、毛皮やダイヤを持っているような描写を見ると、戦前は抑圧されることなく他国の人と遜色なく生活していたことがわかることが切ない。
この映画はとにかく効果音の音が大きい。セリフにかぶるわけではないが、「大きいな」と感じるくらいには大きい。
とにかくずっと赤ちゃんが泣いている。
そして、画面が真っ暗になったり、真っ赤になったりするときに、これまたいや〜な低い「ごうん、ごうん」という音をひたすら聴かせるのである。
この妙な気持ちになる絶妙にいや〜な音は、確かに映画館で聴くと効果的なのだろう。
いや〜な音を聞かせるが、決して直接的に残虐な場面は映らない。
「輸送」「競売」「処理」「囚人労働」など、仄めかす言葉は出てくるし、1回だけ泣き叫ぶ声が聞こえる場面がある。しかし、様子ははっきりとは映らない。
このほんのりといや〜な感じが、ゾワゾワと気持ち悪く、最高に素晴らしい映画だった。
この妻に対するいけすかなさはなんなのだろう。妬みだろうか。
私も、ご飯を食べて、お風呂に入って、子供を洗うことだけして過ごしたい。
とりあえずこの妻は働け。