1月にやるべき税務② 法定調書の作成、法定調書合計表の提出


今月は、税金に関する手続きが目白押しです。
1月の税金に関する手続きシリーズ②ということで書いてみたいと思います。
これを読む多くの人は、どこかにお勤めでお給料をもらっている人だと思いますので、そんなみなさん向けの記事で書いていきます。
へ~、会社ってそういうことをしてるんだ。
自分の税金ってそういう流れで計算されるんだ。

などと、多くの人がよくわかっていない税金について、少しでも多くの人が、へ~と思ってくれれば幸いです。

ちなみに、前回の記事はこちら。
みなさんの住民税が計算されるための情報が、どのように伝達されているかというお話でした。

支払調書の作成  支払調書作成の目的は?

支払調書という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
フリーで働いている人で、例えばどこかで講演をしたり、行政の仕事に携わって報酬をもらったりしたときに、もらったことがあると思います。
支払調書は、1年間で支払先ごとに、支払った内容の種類ごとに作成れます。
例えば、会社が顧問税理士に毎月報酬を払っているとします。
その会社は、1月31日までにその税理士に前年1月1日から12月31日までいくら支払ったのか、源泉徴収税額がいくらだったのかを「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」というものを作成して、一定金額を超えた人の分は、税務署に申告しなければなりません。
支払調書には、たくさんの種類がありますが、どれも原則的には個人について支払ったものです。
法人について支払ったものは、基本的には作成されません(税理士法人に支払ったものでも作成されますので、例外もあります)。
支払調書は何のために作成されるでしょうか?

それは、個人の人に1年間でいくら支払ったかを報告させることで、国税が課税漏れがないように情報収集をするためです。
このくらいの報酬なら申告しなくてもいいかな、と思ってある収入を除外していたりすると、税務署からお尋ねが来るような仕組みになっているのです。
お~、怖い。


法定調書の種類

源泉徴収票や支払調書などを総じて、法定調書と呼びます。
法定調書には、こんな種類があります。

ざっと60種類です。
いや、そんなにあったんですね。専門家であるはずの僕もびっくりです。
一般的に会社で作成されるのは、「給与所得の源泉徴収票」、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書報酬」、「不動産の使用料等の支払調書」といったところでしょうか。


「給与所得の源泉徴収票」は、役員さんや支払金額が500万円以上の人などが税務署に提出されます。
(えっ、じゃぁ、そんなに稼いでない副業は申告しなくていいの? と思ったあなた。そういうわけではありません。すべての給与情報は、お住いの市区町村に報告されていますので、申告しないとお尋ねが来ます)。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書報酬」は、税理士や司法書士などの士業の人や、デザイナーやイラストレーターなど、様々な報酬が対象になります。その報酬の種類によって、提出される範囲が決まっています。
これについては、支払いを受けた側の人も相手の会社や行政からもらうことが多いと思いますが、直接の支払先に対して提出する義務は特にありません。ただ、これがあると、確定申告も便利ですので、一般的には支払先に対しても送付してあげる会社が多いです。

「不動産の使用料等の支払調書」は、家賃や地代など個人の大家さんに支払ったものなどを提出します。
ということは、ここの駐車場代は申告しなくてもいいや、なんてやっちゃだめですよ、ということです。
これも金額によって提出の範囲が決まっています。

一般的には、上記のものを作成し、提出しますが、業種によって、作成するものが違ってきます。
例えば、保険会社は、「生命保険金・共済金受取人別支払調書」を作成して提出するので、誰にいくら保険金が入ったのか、ある程度税務署には筒抜けです。
保険はちょっと複雑ですが、保険料負担者と受取人が異なっていると、税金を納める義務が生じてきたりします。
普通の人は、よくわからずに、ほったらかしにしていて、税務署からお尋ねが来て、課税されるというケースが多いです。

証券会社は、「特定口座年間取引報告書」を作成して提出します。
これは、株取引をしている人にはお馴染みですね。
誰がいくら株式で儲かったのかも筒抜けです。
株式の場合は、源泉徴収されているので、上場株式の場合は課税漏れということは起こりませんが。

みなさんが気を付けなければいけないのは、2か所からお給料をもらっていたり、何か副業をして報酬をもらったりしていたとき、ある程度の情報は、1月31日までには行政には伝わっているということです。
それらの情報がマイナンバーで紐づけられているので、一目瞭然なのだと思います。
2月から始まる確定申告で、申告しなければいけない人は申告をしますが、申告された確定申告書と、各所から集まった情報とを照合して、漏れがないかをチェックするといったことをしているのです。


法定調書合計表

上記の様々な種類の法定調書をまとめて、1枚の紙で、1年間にどのくらいの支払いをしたのか、源泉徴収税額がいくらだったのか、税務署には何人分申告したのかなどをまとめて申告するのですが、それが法定調書合計表です。
これも1月31日までに上述した法定調書(源泉徴収票や支払調書)と一緒に提出します。
支払調書さえ作成できてしまえば、合算するだけなのですが、書き方がよくわからないという方が多いです。
一度、書いてしまえば、基本的には毎年同じような事項を書くと思いますので、控えを取っておくと、翌年のために便利です。
合計表にも種類があって、特殊なものもあります。
会社によっては複数種類の合計表を作成することもありますが、普通は一般的なものを1枚提出します。


はい、今日は、法定調書について書いてみました。
ほとんどすべての会社や事業主さんが、個人の人にいくら支払ったのかを今頃、取り纏めていて、1月31日までに税務署に申告される、ということがわかったのではないでしょうか。
1月はいわば、確定申告に向けての準備期間といった感じでしょうか。
会社から、様々な法定調書が届くと、今年もやらなきゃな、という気分になる納税者の方も多いと思います。
僕も、税理士として、あぁ、これから忙しい時期が始まると思って、だんだんと気が引き締まってきます。
といっても、普段もそれなりに忙しいんですよ。

以前に、こんな記事も書いているので、参考にどうぞ。

それではまた。
次回は、償却資産の申告の話をして、1月の税務の話は終わりにする予定です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?