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「自分自身を説明してください」会員さまに聞いた本のこと Vol.9
「自分自身を説明してください」
本記事を書くにあたって行った取材で、1番はじめに飛び出した話題です。
皆さんはすぐさま答えられますか?
こんにちは、冒頭の問いかけに、見事に答えに窮してしまったco-ba hiroshimaスタッフです。
さて本日は、会員さまにご利用いただいている本棚の中から
注目の1冊をご紹介いたします。
こちら随時更新予定です!
会員さまをつなぐ本棚
co-ba hiroshimaでは会員さまにご利用いただいている本棚がございます。
こちらでは会員さまのお仕事にまつわるものや、興味がある分野の書籍
会員さまの人柄やスキルを紹介するカードを掲示し、会員さま間の会話やビジネスのきっかけとなる役割を果たしています。
このシリーズでは、そんな会員さまの本棚の中から「オススメの1冊」を
会員さまへのインタビューを通して紹介して参ります。
本日のご登場は
本日、本を紹介していただくのはこちらの会員さまです!
山本 功さん
広島と瀬戸内エリアを拠点にTAMENTAI GALLERYという
アート事業に取り組まれています。
自分自身が自分自身であることを説明することがいかに困難であるか、と思い悩んでいた大学生のころに出会った1冊について語っていただきました!
自分自身を説明すること
さてご紹介いただいた1冊がこちら
『自分自身を説明すること』
ジュディス・バトラー=著
佐藤嘉幸+清水知子=訳
刊行年月: 2008年8月
自分自身が何者であるか、何をしているのか説明するとき、その説明する言葉は社会と規範によって既に意味づけられている———こうした問題を説明する本とのこと。
他者との関わり合いにおいて主体は形作られ、他者への責任=応答可能性において正体は自らを変革する。道徳が暴力に陥る危険性を問い質し、普遍性の押し付けによって個性を圧殺する論理的暴力の論理に抗いつつ、危機の時代に「私」と「あなた」を結び直して希望の隘路(あいろ)を辿る、剣呑(けんどん)な哲学。
こちら引用して参りました…
皆さん、哲学です。本日はハードなテーマ笑
こちらを山本さんから伺ったお話をもとにご紹介して参ります。
主体的であろうとすればするほど、既存の概念に寄ってしまう
さて、冒頭の一文に戻ります。
「自分自身を説明してください」
山本さんからお話を伺う際、開口一番に質問されたのですが、答えに窮し、いきなり沈黙してしまいました笑
山本さんはいつも自己紹介に困っているそう。
言葉は優しいですがこれが「自分自身を説明すること」の問題です。
(いや、私も自己紹介なら言えることは多少ありますよ!)
例えば私で言うなら
・広島大学4年生
・一昨年11月より、co-ba hiroshima学生アンバサダー
・学生ながらにカフェのポップアップ出店、学生向けキャリア支援
・地域創生コンテンツとして広告媒体を企画中
このように、自分を紹介する言葉が出てきます。
しかし山本さん曰く、この言葉が自分を説明する本質なのか?という問題と向き合う必要があるのだそう。
私の例を挙げるのであれば、広島大学の4年生であること、co-ba hiroshimaのアンバサダーであることは、私自身を説明しているのではなく、社会的に分かりやすい既存の概念の枠に自らを当てはめているに過ぎないのです。
(答えに窮するダブルパンチです…)
短く分かりやすいことが正義
山本さんの場合、アートに携わるお仕事をされておりますが
co-ba hiroshimaの他の会員さまの会社のホームページをデザインするなど、実際には様々な事業を行っています。
ご自身のお仕事に就いての説明の仕方はヒトによって変えなければならず、特に初対面の人には言葉を選びながら説明するそうです。
本来、「自分自身の説明」はこのように、その状況や文脈、説明相手に合わせて行うものです。にもかかわらず、簡単な説明で許容される人と、そうでもない人がいます。例えば仮に同じ収入があったとしても、公務員には「将来も安定でいいわね」といったかと思えば、「クリエイターだなんて、不安定なのだからいつまでも夢見てないで就職しなさい」といった「大人の助言」はありふれています。こうした言説の差異の背景には、ある種の社会的権力関係の不均衡があるのではないでしょうか。
このほかにも、「フリーランス」という説明も引っ掛かりがあるものです。社会的マジョリティではなく、何をしているのか、どんな生活を送っているのか、説明が一筋縄に行かない人も多いはず。
起業や独立の選択をした人にとって、この部分の説明コストは無視できないものなのではないでしょうか。
「普通」でないことの具体例として、「オタク」に対する不寛容さについても触れていました。
「例えば『オタク』と呼ばれる人が自分の好きなものを語ろうとするとき、たいていの人はそれを聞いていない。」と山本さんは指摘します。「『自分自身を説明すること』において『普通』ではないことに対して個の社会は必ずしも優しくない」と嘆いていました。
パトラーの文章を通した自分との対話
うわ…難しい…
私と同様にそう感じた、そこのあなた!
ここに本日ご紹介する書籍が登場します。
「私たちが行い、語るとき、私たちは自分自身を顕わにしているだけでなく、誰が語る存在であるかを決定する理解可能性の図式に影響を及ぼし、それを切断し、見直させ、その規範を強固にし、もしくはそのヘゲモニーと闘っているのである」(p.242-243)
哲学という学問のため明確な答えが記されているわけではありません。自分自身を認知すること、表現することと向き合う上で、切り離すことのできない他者と社会は、自分自身よりも先立って存在している———自分自身の説明について何か違和感を感じたときは、パトラーの言葉を通して向き合ってみてはいかがでしょうか?
コワーキングスペースを詳しく知りたい!
今回はco-ba hiroshimaにある本棚の中から、オススメの1冊をご紹介しました。
ちなみに本日「自分自身を説明すること」をテーマにお話いただいた山本さんが、自己紹介のために書かれた記事がこちら👇
非常に面白い記事ですのでこちらもご一読ください!
山本さんへのインタビューはこの後、AIやベンチャー企業、実体験が及ぼす影響などに話が展開しましたが、そちらはまた別の機会に。
こちら会員さまへのインタビュー記事は随時更新予定です!お楽しみに!
会員さま間の会話のきっかけにもなっている、個性が現れる本棚を
足をお運びいただいた際はぜひご覧ください!
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