伝統の一戦って対戦回数が史上最多ってだけだからじゃないぞ!
コブ山田です。
ようこそいらっしゃいました。
今回は、人材の流動化を是と考える別の理由について、記します。
08月06日(木)、阪神甲子園球場にて読売ジャイアンツが6番手ピッチャーとして増田大輝内野手を起用した際に、反対派の方からこのような意見がありました。
「伝統がある読売巨人軍がこんなことをやってはいけない」
なら21世紀に誕生した東北楽天ゴールデンイーグルスだったら何の問題もないことなのか、読売ジャイアンツも同じNPBのプロ野球チームだろうが、縛りプレイをしろと言うのかと突っ込みそうになりましたが、それはさておき、よく、“伝統”という言葉が出てきました。そこで、辞書で引いてみましょう。
伝統:ある民族・社会・集団の中で、思想・風俗・習慣・様式・技術・しきたりなど、規範的なものとして古くから受け継がれてきた事柄。また、それらを受け伝えること。
なるほど。
…あれ、じゃあこれは?
古典:学問・芸術のある分野において、歴史的価値をもつとともに、後世の人の教養に資すると考えられるもの。多く、著述作品についていう。他、古くからの定め。古代の儀式や法式。
言葉を言い換えただけのような気もしますが、実は、違いがあります。
デーモン小暮閣下が、2009年にあったNHKの番組にて、大相撲について語る際、こう述べていました。
「古典は、古くから伝わるものにそのまま手を加えず、受け継いで行くもの。一方、伝統は、その文化や芸能に宿っている精神であり、それを守るためにはむしろ形にこだわってはならず、時代に適合した形をとる。それが伝統を守ることにつながる」
というもので、一例が春日野理事長が指揮して作り上げた両国国技館です。砂かぶりや枡席は相撲に絶対必要であり、残しました。一方、後方にボックス席を新設するなど、新しい要素もいくつかあります。これが伝統を守ることではないかと思う、と。
この点から考えていても、増田大輝の登板は何の問題もないと思います。2020年シーズンは過密日程であり、最終的に優勝することを目標とした戦いをする。さらには、NPBでも試合時間短縮の取り組みを行っており、堀岡続投よりも善な判断だということです。内野手が登板してはいけないというのは、どちらかと言うと古典に近いと感じます。更に言うと、固定観念です。
巨人軍の伝統というものを私が考えても、“紳士たれ”という言葉につながるあり方や行動規範の方だと思うのです。その行動規範も、近年の不祥事で、どうなってしまったのかとも思わざるをえませんけれども。
団体や組織が持続するための行動規範として、伝統が存在する場合があると思います。この伝統はブランドにもなり、門を叩く人をスクリーニングしてくれる効果も期待できます。金髪でプレーしたいプロ野球選手が、FAで巨人に移籍したいとは思わないでしょうし、逆に巨人でプレーしたかったら事前に地毛の色に戻してくるはずです(笑)
この伝統が、人を苦しめてしまうこともありえます。そのため私は、人材の流動化を是とする考えでいます。
学校は難しいですが、人間、その職場ばかりが人生ではありません。読書したり、友人と話したりしているうちに、違和感が出てくることもあります。
その違和感が大きくなったら、苦しみが膨らまないうちに、さっさと出る準備をしましょう。
厳密には、上述の例に当てはめると、伝統のつもりの古典ですね。
世の中は大きく変化しています。
トヨタ自動車ですら、トップが終身雇用はもう難しく、ついには副業も容認の方針まで出しました。
新しい産業や商品が出てきて、一歩踏み出そうにも、現所属組織が保守的で手の挙げようがないとなると、もったいないことこの上ないでしょう。
一例だと、すごくかわいいイラストを描ける才能もあるのに、法律で定められている公務員ならともかく、その企業では伝統的に副業が禁止だからLINEのスタンプ販売ができないとか。
終身雇用が難しくなってくるのに、その伝統がうまくその人に適合していくならともかく、可能性の阻害要因になるなら、こだわり続ける必要はまったくありません。
伝統の本質は、何なのか。
納得いくまで考える価値があることだと思います。
ありがとうございました。