流行り廃り
こんな記事を読んだ。
厚底ランニングシューズは、ほとんどの市民ランナーには合わない。むしろ市民ランナーには害になる可能性が高い。そのうえ値段も高い。でも、売れている。シューズを売っている企業は消費者に見合った商品よりも、消費者の購買欲をくすぐるものを売っていて、それに消費者は気づいていないといった内容の記事。
要するに、流行りやトレンドに流されずにちゃんとシューズ選べよ、と。
全くもって正論だと思いました。
厚底のランニングシューズ、特にカーボンプレートが入っているレース用のシューズは、ほとんどの市民ランナーには必要のない代物。
宝の持ち腐れ。豚に真珠。猫に小判。と、言ったらさすがに言い過ぎか。
かくいう僕も、売り手の戦略にやられて厚底レースシューズに少なくないお金を払った身なんですけどね。
身銭を切って厚底のシューズを履いているからこそ見えてきたのは、その必要性の希薄さ。
必要無いんですよ。正直。
僕はフルマラソンを3時間以内で完走するのを目標にして走っています。ちなみにこれは、キロ4分15秒というペースで走ることで達成できるタイム。
ピンとこないかもしれませんが、実際にこのペースで走ってみるとけっこう速いです。
フルマラソンを3時間以内で完走する人数は、マラソンイベント参加者全体の10%にも届かないはず。市民ランナーにはかなりハードルの高いタイム設定と言えます。
そんなタイムを走るのに厚底シューズが絶対に必要かと問われたら、必要ではない、と僕は答えます。
他の、カーボンプレートの入っていない、中厚底くらいのシューズでも走れます。しっかりと練習さえ積めば。それでも、僕は厚底レースシューズを履いている。
なぜ履くのか?
それは、流行っているから。
この答えが1番ピタッとくる。身も蓋もない理由だけど。よくよく考えてみれば、この理由にしか行き着かないんです。1秒でも速く走りたいから、という理由も考慮しました。でも、本当にシューズのおかげだけでタイムが縮まっているのかは分からないから。
じゃあ、本当に早く走れる確証のない、4万円近くする、それでいて耐久性は驚異的に低い厚底レースシューズをなぜ買うのか?
流行ってるから、トレンドだから、ということになる。みんなが履いているから。
思うに流行りというものは、買い手が作るものではなくて、売り手が作るもの。厚底ランニングシューズブームも、もとを辿ればナイキが仕掛けたもの。
ナイキは、ケプチョギとサブ2マラソンというふたつの広告塔を使って、厚底レーシングシューズを世に送り出し、今となっては厚底レーシングシューズは市民ランナー界隈でもスタンダードとなった。
もちろん、プロのランナーたちが厚底シューズを履き始めてから、マラソンの世界記録が次々と塗り替えられた、という事実があったからこそスタンダードに成りえた。厚底レースシューズがプロランナーのパフォーマンス向上を助けたのは間違いないです。
でもそれは、プロランナーの話であって、同じことが市民ランナーにも当てはまるのか考えた時、答えは、たぶん否。
だから僕は、厚底シューズは必然ではない、と考えるわけです。
それでも僕は、履きますけどね。ケガをしない程度に。