かき氷に恋する夏
今年の夏はかき氷と共にあった。
「小さな幸せを味わいたい」
そんな目論みから始まったかき氷探求。
猛暑のある日、お目当ての映画を観るまで時間があった。
「かき氷でも食べるかあ。暑いし」
思いつきで映画館から程近い湯島のサカノウエカフェへ。(ホントに坂を登ったとこにある。)
小さなお店の前は人が並んでいて、店員さんからテイクアウトをすすめられる。「近くの湯島天神に休憩スペースがあるので、そこで食べれますよ。」とのこと。
神社でかき氷食べたの人生初かも。とても風流な思い出になった。
フワフワのピスタチオクリーム、甘いミルクティーシロップひたひたの氷。そしてフランボワーズの大人な酸味。昨今のかき氷の味のクオリティに驚愕。そして美味しさと共に体が涼んでいく。
なんとも幸せな体験。
「今年の夏はかき氷だ。」
そう、湯島の神様の前で誓った。
翌週、かき氷がしょうもなく食べたくなった。
そしてマッサージの帰りに神楽坂のAKOMEYAへ向かう。サカノウエカフェとは違い、店内は空いていて、イートインスペースでゆっくり味わうことができた。桃のかき氷。時がとまる程に美味しい。桃より桃、桃をとにかく堪能。濃厚な酸味と甘み、アクセントの紅茶のパウダーが爽やかに香る。幸せが過ぎる。
かき氷への探求心が日に増して強くなっていく。時間があれば都内のかき氷屋さんをリサーチする日々。そして、かき氷業界では一目置かれている日暮里はひみつ堂。夏場は長蛇の列で並ぶのは必至だが、運よくも日曜閉店前に店内へ入ることができた。
パインのシロップがたっぷりとフワフワな氷に覆い被さる。若いアルバイトの店員さんが目の前で懸命に氷を削るのも臨場感。シロップへの拘りを感じる。日が暮れた夏の夜道をパインの余韻を感じながら歩いた。
こうして、私のかき氷ライフは順調すぎる程、順調にスタートを切った。
かき氷の甘美な魅力に、私はますます沼にはまっていくのである
つづく。