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1対1のコーチングと、1対Nのコーチングから感じる、対話の力

みなさん、こんにちは。落合敦子と申します。

コーチェットでは、普段、コーチ・カウンセラーとして、1対1のコーチングやカウンセリングをさせていただいていると同時に、1対Nのコーチングとして、マネージャチーム向けのコーチングトレーニングや、チームコーチングを提供させていただいています。

今日は、1対1のコーチングと、1対Nのコーチングを提供させていただく中で感じることをお話させていただければと思います。ひとりのコーチの個人的な体験談として、聞いていただけたら嬉しいです。

コーチングって、結局のところ何をしているの?

まず、コーチングとは何をしているのかな、というのを自分なりに言葉にしてみると、、、ひとことで言うなら、相手が、自分で答えを見つけて前に進むことを、対話を通して、応援し支援する営みなのかなと思います。もうすこし細かく言うと、コーチングは、信頼する相手との対話を通して、聴き手(コーチ)の問いかけをきっかけに、話し手(クライアント)が安心して内省を深め、しっかりと傾聴されることによって思いや考えの言語化が促進され、その言語化によって思考や感情が整理され、その結果、自己変容や前進がかなえられていくこと、なのかな、と思います。

この「聴き手」と「話し手」のかかわりが生み出す力は、職業コーチとクライアントの場合でも、社内における上司と部下の場合でも、仲間や同僚同士のピアコーチングの場合でも同じだなと思いますし、そもそも、ひととひとが、対話をすることの効果なのかなと思います。

1対1のコーチング(的なかかわり)が、生み出す効果は?

人は、話を聴かれると、どんなことが起こるのか。これまでセッションをさせていただいてきた中で感じる、1対1の対話が話し手に生み出す効果としては、以下のようなものがあると思います。

  • 聴き手が理解しようと共感的に聴いてくれることによる、話し手自身の自己受容

  • 聴き手が自分の判断を脇に置いて聴いてくれることによる、安心感と信頼感

  • 聴き手に肯定的にかかわられ、応援されることによる、勇気づけ

  • 聴き手が一緒に問いを考えてくれることによる、新たな視点や発想の獲得

  • 自分自身が抱える課題やテーマを、あえて言葉にすることによるメタ認知

多くのクライアントとセッションをさせていただく中で感じるのは、「話を聴く」というのは、その人の「存在の承認」だということです。しっかり話を聴いてもらえる関係性や場があるからこそ、その人は、自分について自分でOKが出せ、自己受容ができ、課題に冷静に向き合うことができ、それに取り組んでいく勇気を得るのだなと思います。それが、対話の力であり、「コーチング的な関係性」が生み出す力だなと思います。

コーチェットでは、1対1でのコーチングを提供するだけではなく、そういったコーチング的なかかわり方を、人を育てる立場であるリーダーの皆様にお伝えし、リーダーの皆様が、周りの方々に対して、上記のようなサポートをしていけるように、いわば後方支援をさせていただいています。

では、1対Nのコーチングでは何が起こるのか

一方で、1対Nのコーチングでは、どんなことが起こるのでしょうか。1対Nのコーチングでは、コーチと参加者の間の、複数の「1対1の関係」と、複数の人が同時にいることの「横の関係」と、2つの側面があるかなと思います。

1対Nのコーチングでも、先に書いた「1対1の効果」が、ひとりのコーチと、それぞれの参加者の方との間で生まれているなと感じることがあります。もちろん、1対1のコーチングに比べると浅くなるところはありますが、1対Nのチームコーチングの中でも、参加者の方から、「個別にコーチングをされている感覚があった」とフィードバックをいただいたことがあります。

そして、なによりも、1対Nのコーチングでは、参加者同士の「横の関係」が、本当にパワフルな効果を生むなと感じます。

これまでセッションさせていただく中で感じる、1対Nにおける、横の関係が生み出す効果としては、以下のようなものがあるかなと思います。

  • 他者(仲間)の想いの言語化を聞く、という体験。コーチに対してそれぞれの仲間が答えていることを聞くことによって、同じテーマについて、異なる立場の人の目線に立ち、世界を見ることにつながっていると思います。その結果、チームの中に、多様な視点があるということの理解や、異なる意見をお互いに尊重することにつながっているように感じます。

  • 同じく、仲間の言語化を聴いた結果、同じ考えを持っていたということを知ることによって、仲間に対する、安心感や、信頼感の高まりもあります。チームトレーニングでは、日ごろ一緒に仕事をしている同僚が集まって研修をしますが、その対話の中で、グループに分かれてアイデアを出し合っても、合わせてみると、これまで言葉にしたことがなかったけれど、同じ思いを持っている人がたくさんいて驚きました、というフィードバックをいただくことがよくあります。

  • お互いの自己開示がなされることや、同じ経験を共有することによる、連帯感。自分の想いを話し、仲間の想いを聴くことで、チームのセッションが始まる前と比べると、どんなチームも、ぐっと連帯感が高まるように感じます。

  • 「I」とか「You」といった主語から、「We」の主語への転換。一人一人の利害から、それを超える、より大きな共通の目的に向かっての、共同体意識が生まれるように思います。

  • ポジティブなエネルギーの伝播。ひとりが嬉しいとみんなが嬉しい、ひとりが楽しいとみんなが楽しい。1対1のコーチングでも、相手のエネルギーが上がってくることを感じますが、1対Nの時には、それが増幅される感覚があります。

先日行ったワークのひとつに、承認のワークがあります。コーチングのスキルの一つである承認を実践練習するために、チームで、みんなの前で、お互いに承認の言葉を贈りあうものです。ハードなビジネスの環境の中で、目標達成指向が強く、その結果、日ごろ、相手の「足りていない」ところに目が行きがちなコミュニケーションが起こりがちな中で、あえて、素晴らしいなと思う相手の「できている」側面に目を向けて、言葉にして、伝えあうワークです。「長年一緒にやってきた同僚なので、言わなくてもお互い分かっていると思っていた(がそうではなかった)」とおっしゃった方もいました。あえて、言葉にして伝えあうことで、チームに、連帯感や、温かさや、前向きなエネルギーがぐっと生まれました。短いワークでしたが、「これでもう今日はおなかいっぱいです」とおっしゃった方もいるくらいでした。チームでのトレーニングやセッションの開始時には、なんとなく緊張し、とどまりがちな空気感が、チームで行う対話のセッションが進むにつれて、笑顔が増え、言葉が増え、場が温まっていく、その感覚はとてもすてきだなといつも思っています。

それが、チームが持つ力かなと思いますし、ひとりではうみだせない力だなと思います。

ひとに影響力を持つ、言葉の力と対話の力

言霊、という言葉があります。ひとつひとつの言葉には、その人の、想いや、意図や、背景があり、だからこそ、影響力があります。対話は、それをお互いに、贈りあい、受け止めあうことなのかなと思います。1対1、もしくは、1対Nの関係性の中で、言葉や対話のもつポジティブな力を活かして、ひとやチームが前に進む瞬間に立ち会うことができるコーチという役割は、本当に豊かな仕事だなと思っていますし、これからも、人や、チームが持つ力を、応援できたら、と思っています。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!

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