シリーズ〝全部行く〟『森のカフェと緑のレストラン』
なんて素敵なんだろう!と思った場所には行ってみたくなる
別に不思議なことじゃない。だれだってそう思うでしょ
そこに集められたすべての場所が みんな違ってみんないい場所に違いないと思うから
と言ってはみたものの、これまで何度もそんなふうに思いながら、一つとして
「全部行けた」ためしがない。
結局全部は行けなかった「シリーズ全部行く」をご紹介しよう。
第1章 国立公園
最初は小学生のころだった。
自由研究で日本の国立公園を調べた。
実は、自宅からそう遠くない場所に「磐梯朝日国立公園」があって、実際に訪ねてみると、子供ながらに「なんて綺麗な景色!!」と思った。
国立公園すげー
で、調べてみる事にした。夏休み自由研究である。
当時のことだからインターネットもないし、情報源は図書館の本だけ。
それでも僕はきれいな景色に魅了され、国立公園全部行ってみたいと思った。
国立公園は全部で34ヶ所あるが未だに12公園に行けてない(何年経ったんだ!)
北海道には6ヶ所。うち2ヶ所(利尻礼文サロベツ、大雪山)は未踏。
東北には3ヶ所、全制覇。
関東には6ヶ所。うち2ヶ所(尾瀬、小笠原諸島)は未踏。
中部には5ヶ所。うち1ヶ所(妙高戸隠連山)は未踏。
近畿には3ヶ所、全制覇。
中国・四国には3ヶ所(瀬戸内は近畿にもまたがるためダブルカウント)。2ヶ所(大山隠岐、足摺宇和海)未踏。
九州には9ヶ所。うち5ヶ所(西海、奄美群島、やんばる、慶良間諸島、西表石垣)は未踏。
小学生の時に夢見た国立公園全制覇は、未だに夢のままだ。
第2章 世界遺産
三つ子の魂百までとはよく言ったもので、きれいな場所、絶景好きは大人になっても変わらなかった。
1993年に白神山地と屋久島が日本で初めて世界自然遺産に登録されたのをきっかに、世界遺産を調べ始めた。趣味が高じて世界遺産検定2級も取った。
調べてみると、別に景色が良いとか絶景だとかだけで決めているわけではなく、地形・地質、生態系、生物多様性などが地球上で学術上普遍的価値を有することが登録の条件となる。
1993年当時は、自然遺産、文化遺産を合わせても600件くらいだったので、
「死ぬまでに全部みられたらいいなぁ?」
みたいな淡い期待を抱いていたが、その後ものすごい勢いで増え続け、2024年1月現在で、当時の2倍1199件(自然遺産227件、文化遺産933件、複合遺産39件)となった。
特に自然遺産は、地球上のありとあらゆる場所に散らばっていて、全部回るのは到底不可能だと、さっさと諦めてしまった。
全部行くのは早々に白旗を揚げたけれど、いまも世界遺産を回る情熱は衰えておらず、直近のオーストラリア旅行でも、シドニーの「オペラハウス」とメルボルンの「王立展示館とカールトン庭園」、ハイドパーク・バラックスなどの「囚人遺跡群」の3ヶ所を見てきた。
これで、訪ねた世界遺産数は、海外36ヶ所、国内(23ヶ所中)18ヶ所の計54ヶ所となった。54/1199だから踏破率はたったの4.5%だ。
恥ずかしくて「全部行く」なんて言えやしない。
第3章 ホテル
妻と結婚をする前、ホテルジャンキーズクラブというコミュニティーに入っていた。
そんな柄じゃなかったのに、あちこちの素敵なホテルに泊まり歩こうよ!ということで意見が一致。そのネタ元となったのが、
『海のみえるホテル』
『高原と湖のホテル』
という1998年同時発売の2冊シリーズだった。帯には恥ずかしげもなく
「だれにも教えたくないリゾートホテル」と書かれている。笑
僕たち夫婦は、だれにも教えたくない秘密のハイダウェイを求めて
「全部行こう!」と誓ったのだ。
「海編」では、桐山秀樹さんが、「僕がこのホテルを選んだ理由」と題して、
「できるだけ小規模で落ちついて海と向き合えるホテルを選んだ。日本のシーサイドリゾートの可能性を探っていただけたら、、」と書いている。
といいつつ、沖縄から選ばれているのがブセナテラスビーチリゾートだったりするのである。
首都圏近郊からは、横浜のニューグランド、インターコンチネンタル、パンパシフィックホテルに加えて、お台場の日航東京なのだから、みなとみらいやお台場にリゾートホテルが立ち並んだ頃の時代の空気が伝わってくる。
一方の「高原と湖」の方も、47のホテルが紹介されているが、行ったことがある(宿泊してない場合も含め)ホテルの名前だけ紹介しておこう。
(1)アルファーリゾートトマム(現・星野リゾート、リゾナーレトマム)
(2)ホテルMt.レースイ(夕張)
(3)ホテルグランデコ(裏磐梯)
(4)裏磐梯猫魔ホテル(裏磐梯)
(5)ホテルプルミエール箕輪(猪苗代)
(6)白馬東急(白馬)
(7)白馬リゾートホテル・ラ・ネージュ(白馬)
(8)上高地帝国ホテル(上高地)
(9)リゾナーレ小淵沢(現・星野リゾート、リゾナーレ八ヶ岳)
のたった9ヶ所である。笑 9/47で踏破率は19.1% 情けない。
行った場所が東日本と北日本に偏っているのは、福島出身東京在住だからだ。
ご容赦いただきたい。
実は、星野リゾートにはマーケティング的な興味を持っていて、何軒か泊まってみたところ、とても上質で豊かな時間が過ごせたので、「星野リゾート全部行く」と決めたのだけれど、やはりものすごい勢いでホテル数が増えていて、到底無理だろうと早々に諦めてしまった。
ホテル再生で名を馳せた星野リゾートであるからして、星野リゾートになる前のホテルと、なった後のホテルに泊まって、何が変わったのか研究していたこともあった。
『星野リゾートの事件簿』2009年刊 日経BP社
『星野リゾートの教科書』2010年刊 日経BP社
が出版された頃だ。
関係者でも何でもない、私みたいな人間がホテルを泊まり比べて
「星野リゾートって一体何なのだろう?」
と考えたくなる、そんな魅力が星野リゾートにはあった。
noteには「星野リゾート全部行く」をテーマに書いてるOLさんがいて、密かに応援しているのだ。
僕は、「全部行く」と決意した案件を何一つ「全部いけてない」のだから、他人様を応援するくらいが身の丈だろうと思ったりするのである。
第4章 森のカフェと緑のレストラン
ネタ元は、ぴあムックである。
妻の実家がある千葉版を皮切りに、埼玉版、首都圏版(サムネは首都圏版の表紙の一部)を入手した。
行ってみることが前提なので、あまり遠くのものは買っていないけれど、神奈川版、東海版、静岡版、関西版、東北版、北海道版、福岡版などいろんな場所のものが出ているので、お住まいの近くのカフェを探してみると良いかもしれない。
緑が豊かでロケーションがすばらしいので、わざわざ訪ねる価値もあると思う。
このほかにも、『dancyu』の餃子特集に載っていた「餃子屋全部行く」とかもチャレンジしたことがあるけど、これももうちょっとでコンプリートはできなかった。
【まとめ】
これまで、いろいろな「全部行く」にチャレンジしてきたけれど、ひとつとしてミッションをコンプリートできたものはなかった。
でもまあ、それくらいでいいんじゃないかとも思う。
行きたい順に行きたい場所に行っているというよりは、行く機会があった場所や近場で行きやすい場所に行ってるケースが圧倒的に多い。
時間の制約もあれば、交通・宿泊費などお金の制約もある。
星野リゾートに全部泊まった場合、一体いくら必要なのか試算してみようと思ったこともあったけど、あまりに虚しいので辞めた。笑
こうして振り返ってみると、何かに興味を抱いて、そのことにアンテナを立て、情報を収集して、関心の幅を広げたり、行ってみようと計画したり、そうしたことをしてる時は、幸せだったなと思う。
思い立っては「全部行く」と意気込んではみたものの、何一つ達成できていない事実から思うこと、それはコンプリートの喜びよりも僕が挑戦そのものを楽しんでいたからなんじゃないかと思う。
挑んで結果を出すことも大切だけれど、僕は、何かにチャレンジしながら生きる人生そのものを楽しんでたんじゃないかと思うのだ。
リザルトよりもプロセスを大切にした人。
シリーズ「全部行く」を振り返って、僕はそんな自分を見つけ愛おしく思っている。
※ みなさんは、どんな「全部行く」にチャレンジしたことがありますか?
コメントなんか寄せてもらえたら、嬉しいです。