桜の季節に早朝の佐保川を歩く
奈良の桜の名所の一つ、佐保川。
コロナ禍で昨年や今年は比較的減少したものの、桜の季節の川沿いは毎年多くの人で賑わいます。
桜は落ち着いてゆっくり見たいという気持ちもあり、数年前から早朝に花見をするのが恒例となりました。
人のほとんどいない桜満開の佐保川を歩くのは、まだ冬の寒さを残す空気も含めて実に心地良いものです。
年度の変わり目でもあることから、一年を省みて、次の一年を想う時間にもなっています。
頑張って成果を挙げ、新たな挑戦が始まる事になって、期待と決意と不安が入り混じった気持ちで歩いた年がありました。
挫折と絶望で今年が最後かもしれないとうつむいて歩いた年もありました。
それでも、来年もまたここに来よう、たとえどんなことがあっても、ここに桜を見に来られたならそれだけで万事良し。
いつしかそんな心の拠り所にもなりました。
私にとって桜咲く佐保川は、一年のゴール地点でありスタート地点でもあります。
早朝の桜はただ静かに咲いていますが、生きてきたことを祝福しているようであり、生きることを応援してくれているかのようです。
いつかスタートしてもゴールできない年が来るでしょう。
それでも、幾百年先の誰かが今の私と同じように早朝の佐保川を桜を感じてくれるかもしれません。
そんな人たちの為にも、早朝の佐保川に静かに咲き誇る桜はいつまでものこしたい奈良の景色です。