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手に入れたレコードが可愛いので紹介する【第3回】

 クラシックレコードの醍醐味は沢山あるけれど、探していていちばん楽しいと感じるのは、知っている曲や知っている演奏者の録音であっても、どんなデザインのジャケットに出くわすかは全く予想が付かないところ。

 ジャケットベースでレコードを紹介するこのコーナーも今回で3回目。前回に引き続き、デザインの素敵なクラシックレコードを3つほどピックアップして紹介しようと思う。 

モーツァルト 3台のピアノのための協奏曲 ヘ長調 K. 242

 1枚目はモーツァルトの3台のピアノのための協奏曲。のちにピアノ2台編曲版もモーツァルトが作っていることから、そちらが演奏されることが多いようだけど、これはなんと3台版。しかもメニューイン一家による演奏。ピアノ奏者は右からヘプシバ・メニューイン、妹のヤルタ・メニューイン、ヘプシバの息子ジェレミー・メニューイン、そして指揮はヴァイオリニストとして有名なユーディ・メニューイン。この曲はザルツブルクのロードゥロン伯爵の夫人アントニーナと2人の令嬢のために書かれた協奏曲で、第3ピアノパートはまだピアノに未熟であったジュゼッパが弾くことを想定していたため、割と平易に書かれている。きっと息子ジェレミーと演奏するために3台版を選んだに違いない。ピアノ弾き一家で共演するのは連弾以外では難しそうと思いきや、この曲という選択肢があったのだね。ピアノをホールに3台運び入れるのは大変そうだけれど。

しっかりグランドピアノまで用意してもらって幸せそうなジェレミー。そして赤いカーディガンを着ているユーディ・メニューインがお洒落な大学教授という感じがして好き。色彩のしっかりしている人物が彼しかいないのでなんだか主役みたいだ。アシュケナージ、バレンボイム、フー・ツォンの3名が共演している録音を載せておく。


モーツァルト ピアノソナタ イ短調 K. 310
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K. 331
ヴィルヘルム・ケンプ(Pf)

 2枚目はケンプの弾くモーツァルトのピアノソナタ。このケンプの横顔はかなり上手く描けていると思うのだけどどうでしょう。普段人物の顔が大きく書かれているレコードはあまり好まない僕でもこれは佇まいが良いのでジャケ買いをした。目の辺りもしっかり描き込まれてているし、色味も良い。録音ももちろん十分良いのだけど、ジャケットも薄い箱のようにしっかりとした作りになっていてちょっと贅沢なものを手に入れたような気分になれた。300円のセールにまで売れ残っていて、どうして誰も買わなかったのだろう。


ストラヴィンスキー『ペトルーシュカ』
コンスタンティン・イワノフ指揮 ロシア国立交響楽団

 3枚目はストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』。上部には英語で、下部にはロシア語でタイトルが書かれている。『ペトルーシュカ』はパペットを主人公としてロシア版ピノキオのような物語なので、国内版だと藁人形のイラストが使われるジャケットを多く見かけるのだけど、このレコードではアレクサンドル・ベノワによるデザイン画が使われている。彼は実際に『ペトルーシュカ』のデザインを担当した舞台監督で、このデザイン画は第1場の海軍広場に於ける謝肉祭のもの。「ペトルーシュカの部屋」や「ムーア人の部屋」の場面も同じくベノワ画のデザインが残っているので、探せばジャケットに使われているレコードが見つかりそう。

 配信ではパペットがデザインされている、ピエール・モントゥー指揮の録音を載せておく。

 今回もレコードコレクションの一部を覗いていただきありがとうございます。友人各位、気になるものがあったら一緒に鑑賞しましょう。次は何のレコードを取り上げようかな。

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