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鳴動ワークショップ開始!
先日9月30日(土)、ワークショップの第一回目が開催されました!遅ればせながらのレポートをお届けします。
このワークショップは10月29日(日)松本市四賀地区での公演に向けてのスタートとなります。観劇の予約も下記で絶賛受付中ですので、是非いらしてくださいませ。
https://www.quartet-online.net/ticket/1029meidou
さて、そんな今回のワークショップの内容は…
・気功を取り入れたウォーミングアップ
・フィールドワークの共有
・民話の回し読み、お話の中に潜む『音』の洗い出し、
・『川』を皆の『声』で表現
・『怖い』音の体験談を共有しつつ、イメージを膨らます
・楽器(と言うかモノ)で『怖い』を表現
・室内の『音』を探す
・室内の『音』を皆で楽しむ+民話に合わせて
…と、盛りだくさん。これでいて次回持ち越し分があると言う…すごいですね。
講師はお二人。
一人は大隅健司さん。音と声のパフォーマーでバンドのみならず演劇などにも音や声で活動されています。上田では2018年の街中演劇祭の「ししおどりのはじまり」にもゲスト参加されていました。その後のいろんなご縁もあって、現在は上田市 真田町に在住。音楽的アプローチがメインになります。
もう一人は当研究会の会長でもある姫凛子さん。余興、俳優での活躍がめざましいですが、ボイスパフォーマーの一面もあります。今回は演劇的アプローチをメインとして参加。
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前半:民話をメインに
民話を主体にした前半では、民話そのものやフィールドワークの動画や写真で具体的なイメージを膨らましていきます。民話を回し読みした後、「どこに音が入るか?」を皆で探します。戸を叩く音や雨音は当然として、人が動けば音がついてくる。感情にも景色にも音がある。…結果、ほぼほぼ全部となりました。皆で感心しつつも、これがワークショップラストへの伏線となっていきます。
フィールドワークの様子はこちらも。
そして、実際の表現へ。まずは分かりやすいところとして、『川』を声で表現してみます。一周目は『サラサラ』とか『ごうごう』とかいわゆる擬音が出てきましたが、講師の大隈さんのアドバイスを挟んで、二周目は文字にならない音へ。唸り声のような、囁きのような、吐息のような、そんな音たちが重なってうねりを作る。今回のテーマでもある倍音音楽という一人で複数の音を出す表現も存在はするのですが、やはり個性の違う身体がそれぞれの感覚で奏でた音が重なっていくのは、一人ではできないこと。街中かつ室内にも関わらず、自分の身体が自然の川の一部になったような心地よい体験でした。
後半:音をメインに
さらに音へフォーカスを移しつつ、後半へ。
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大隈さんが何やらシンバルを数枚引っ張り出し、凸部を下にしてドラムスティックで擦り始めます。いわゆるガラスを引っ掻くキィキィ音に、薄い金属の振動が加わり重さと深みを持たせたようになる。不思議で確実に不快な音。『怖い』。「上手」とおだてられながら無心で擦っているうちに自分自身が「怖い」になっていくような没入感がありました。
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やがて、シンバルがコマのように回され、シンバル同士が不規則に擦り合う。その中に物が投げ入れられ、四方に飛び散る。「こういう偶然な音が自然で楽しいんですよ」と、大隈さん。
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ひとしきり、『怖い』に浸った後は自由に音を探します。部屋の床、壁、机、窓。叩く、こする、撫でる。手で、スティックで。椅子を叩く、座る、引き摺る。本をめくる、閉じる。これが…気持ちいい…。
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各々で浸った後は『影響を受け合う』をやります。場にいる相手の音を真似たり、合わせたり、間を埋めたり。前半の川にも似て、個性の違う音が一体感を持っていく。楽譜がない合奏。心地よく重なっていく。難しく考えずとも気づいた人がお互いを埋め、偏りや歪みもまた心地よい。正解がない分、本能的な心地よさを味わえた気がします。
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そして、終盤。合図もなく凛子さんが民話を読み上げ始めます。その声も楽器の一つとしつつ、自然と皆で音を重ねていく。前半に皆で探した音のイメージも手掛かりになりつつ、結局は思い思いに…。フィールドワークのお地蔵さまの動画で印象的だった鈴の音を再現するような余韻を残しつつ…一つの物語が出来あがりました。
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恐らく、音遊びのたぐいは子供のころに通過しており、物を叩けば音が鳴るという当たり前の発見や感覚はあの頃に帰ったようでもあります。もちろん、大人ならではの知恵と気付きを発揮もそこに加わっている訳で。シンプルながらも何やら贅沢な遊びに感じました。
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最後、お時間があったので「再現性はあるんですか?」と質問してみました。ワークショップや即興の場であれば、そんなものは不要な訳ですが、職業としての表現としてはそれなりに求められてしまうのかなぁと思っての質問でした。結論としては、やはり再現性を求めるものではないとの回答でしたが、途中『研ぐ』という言葉が出てきたのが印象的でした。即興なりの稽古や打ち合わせは存在する。その中で「これは」という音が生まれたら、それを拾い集めて「研いで」いく。昔、仕事の先輩に「センスは磨くもの」と教わりましたが、それと似た感覚かなと嬉しくなりました。あと数回ながらも、少しでも本番に向けての『研ぐ』が出来たらなぁと思います。
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まとめ
さて、このレポート、『音』のワークショップを文字で表現すると言う挑戦になっておりますが、少しでも伝わりましたでしょうか?ちょっとした運動不足解消の意味でも体感いただければ、幸いです。
ワークショップは引き続き上田市で10月21、22日に開催。昨年の会場にもなった犀の角からほど近い施設となります。欲を言えば、下記ご予約のうえ、パフォーマンスにも参加いただきたいところですが…この際、ふらりと思い付きでも是非。
https://www.quartet-online.net/ticket/meadow_work1
文 としえ
令和5年度 信州アーツカウンシル助成事業
ちいさがた未来民話研究会