忙しく流れる時間の中で、大事なものを大事にしたいと願うあなたに。【前編】
「将来の幸せのために」という言葉が、
”安心”を求めるわたし達に不安を持ってくる。
向き合いたくない過去が、
ずっと心の隅に居座ってメモリ容量を減らしている。
起きているあいだ、
頭の中では思考が止まらない。
目の前にあるものの輪郭を、
その時々に捉え切れていない。
走り続けるわたし達は、
いったい、いつに生きているのだろう。
マインドフルネス、
みたいな言葉が流行っているように。
この社会を生きる人達は、
今を生きられてないんじゃないかと、
気付き始めたのかもしれない。
大事なことはわかっている。
それでも、ゆっくり考える時間なんて。
そう思って、いつの間にか終わってしまう
”毎日”が積み重なっていた。
それでも、”今”を諦めたくない想いが、
この学び舎に導いたのかもしれません。
この町で暮らした、4ヶ月。
人と共に過ごした余白のある4ヶ月。
ここでわたしは、今を生きはじめました。
〈著:Chee〉
前へ進むのに必要なだけの「息継ぎ」がある
わたしは、大学卒業後2年間、
生きづらさを抱える若者が、社会に出ていくための支援の仕事をしていました。
その仕事を選んだのは、
自分自身が不登校や心の病を経験したから。
自分の体験したことから、人が生きる力になる。
人間の繊細な部分に触れるからこそ、
大変な難しさもある。
そして、喜びも成長もある。
素晴らしい仕事を、させてもらっていました。
そんな中で、考えるようになりました。
”わたし自身”は、どう生きたいのか。
どこで、誰と、どんな生活をしたいのか。
「社会人」になって毎日走ってきたけれど、
自分の現在地はどこなのだろう。
それに、
いつも何処かでしんどさのような、
”何か”がある気がしていました。
でも、それは自分が未熟だからなのだと。
多少の”消耗”はしょうがない、と。
そんな風に、
見ないフリをして溜まっていた負債から、
エネルギー不足も感じていました。
そうして、決して、
ネガティブな思考ではなく。思いました。
もう少しだけ、
”前に進んでいくために”、
「息継ぎ」する時かもしれない。
-このタイミングで浮かんできたのは、
ありたい自分を生きていくために、必然だったのかもしれません。
そこで思い出されたのが、「フォルケ」でした。
日常に「余白」を取り戻すための抵抗
わたしは大学時代、デンマークに留学していました。
そこで滞在したのが、フォルケホイスコーレ。
試験も成績もない、仲間や先生と共同生活を送る学び舎。
学校に行けなかった、
”ふつう”に生きることに、難しさを感じていたわたしにとって。
新しくみる学びの形も、
”立ち止まる”ことが当たり前な
「余白」の文化も、
「世界」を広げてくれるものでした。
かけがえのない、経験。
自分の生き方をかたちづくってくれた、
大きな原体験でした。
でも、いつの間にか、
その存在感はなくなっていて。
日本に帰り、”日常”に戻っていくと、
気がつけば自分の目の前には、
「しないといけない」「がんばらなきゃ」
をひたすら並べていました。
それでも、
本当になくしてしまったのではなかった。
たしかに、自分の中に残っていた。
「あの時間、あの感覚は、間違いなく。
自分の今、これからに必要なものだ」
そう思ったんです。
しかし、世の中は自由に動ける時ではありませんでした。
感染症流行の影響で、海外に行くことも難しく。
「フォルケ」へたどり着くのには、長い道のりに思えました。
そんな中でも、
オンラインの学びの場やイベントをめぐっていて、
”デンマーク”などにアンテナを張っていました。
いつも通り、FacebookやPeatixで検索をかけていた時。
目に止まった
「北欧流4ヶ月の学び舎」の文字。
”ご縁”と”不安”の歓迎でとびこめた
はじめは他のイベントと同じように、
「とりあえず見ておこうかな」くらいのテンションでした。
しかし、見ていくうちに、
”ご縁”を感じずにはいられなかったんです。
思ったとおり、
そこには「フォルケ」がありました。
でもただそれだけじゃなく、
「Nordfyns Højskole(ノーフュンス・ホイスコーレ)」の名前が。
わたしがまさに、
留学していたフォルケと連携していて。
HPには、見たことのある校舎が、顔が。
親近感が湧きました。
CMCとは「Change Makers' college」。
陸前高田市広田町という、
人口約3000人のちいさな漁師町。
そこにある、
「持続可能なライフスタイルを探求する」
生きることの学び舎です。
4ヶ月の移住滞在を中心にした、
学びをつくっていて。
全国、海外から若者を中心に、
さまざまな人々が訪れます。
それに、わたしは復興ボランティアで
2012年から東北に足を運んでいました。
震災当時、わたしは学校に行けず、
家にこもっていたのですが。
どうしても、何事もなかったように、
ただ”日常”に戻ることはできませんでした。
そして、大学時代に年に一度
訪れていたのが陸前高田。
社会と繋がれなかったわたしが、
何かできることを考えさせてもらえた地域。
大学を卒業してから、
関わりを持てていなかったのですが、
またここで結びつくとは思いませんでした。
しかし、いくらご縁があったとしても、
「4ヶ月」という時間。
まだこの国では、
”社会人”は、毎日「働いて」お金を稼いで、
生活していくことが”一般的”。
そんな中、
”経歴”のうち、
4ヶ月も”空白”にして「学ぶ」。
全く引っかからなかった訳では、ありません。
それでも、
わたしは「そうじゃない」方を選んでもいい、
そんな世界を、やっぱり信じたい。
と、思ったんです。
人との暮らしも、
自分に向き合う、ということにも、
不安がなかった訳ではありません。
むしろ、結構なエネルギーを使うことは
想像していました。
でも、だからこそ。
自分をそこに置きたい。
そこに向き合った”自分”で、
「これから」を生きていきたい。
きっとこれは、
そのためにつながった”ご縁”なんだ、と。
”社会人”なら3年目になる、春。
いちど仕事を辞め、期待も、「不安」も胸に、岩手へ向かいました。
後編はこちら⬇︎
【Change Makers' collegeについて】
ご覧いただき、ありがとうございます。
こちらの記事は、4ヶ月のプログラム参加者のエッセイです。
この学び舎に訪れる人は、
長期プログラム参加者ではありません。
この生きることの学びや、
人と自然の深いつながりの残る町の「暮らし」
を味わってみたい。
そんなあなたとの出会えることも、
この町で、お待ちしています。
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