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靄のまにまに、昼寝とおなじく、

実家に帰ると長くお昼寝をしてしまう。
自分の家だと、やらなければいけないことばかり浮かぶのでそうはならない。人が近くで生活している気配に、安心して気が緩むのかもしれない。

「聞いてほしいことがある」という連絡に、少し遅れてどうしたのと返事をした。「やっぱりもう大丈夫」というので、迷ったけれど食い下がってみた。「うーん、なんかね」と言葉が続いて、少しほっとする。

大きな不安に襲われたとき、誰かに共有することで薄めたいと思う。でも、上手く想いを形にできないときもある。伝わらなければ傷つくし、それなら口にしないほうがいいかも、ということになったりもする。もしくは、他のことでなんとなく気が紛れて、耐えられないほどだったはずの不安が一瞬去ったりする。そうして出てくるのが「やっぱりもう大丈夫」。

そのまま消えてくれればいいのに、不安は再度手元に戻ってくる。しかも、一度胸に閉じ込めた靄は、だんだん「自分だけで抱えていかなければならない」ように思えてくる。手放し方がわからなくなる、ということなのかもしれない。私にもそういう靄がある。半年に一度くらい、心は厚く包まれる。白んでしまって元の道にうまく戻れなくなる度、孤独に押しつぶされそうになる。時間が経てばすっきり晴れるし実際なんとかなるのだけれど、心に一生飼い続けたくはないなと小さく思うのだった。


靄を抱えこもうとする瞬間を目の当たりにしたときは、「お節介お姉さんでいいや」と割り切ることに最近決めた。本当に不要なら断られるだろうし、私あなたの話なんぼでも聞きますのアピールをしてみる。今回は上手くいったのだと思う。繊細な世界に迎え入れてくれてありがとうの気持ち。

その上で、私は何者でもないのだということも改めて知覚する。何者でもないからこそできることと、何者でもないからこそ手を引くべきライン。見誤れば信頼は遠いものになる。

雑音を立てても、すやすやソファで眠ったりする。そんな空気が、あなたと私の間にも流れるといい。

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